著者
仁平 裕太 山田 育穂 関口 達也
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100228, 2017 (Released:2017-05-03)

近年の日本では,緑被率に代わり,緑視率が人の意識に与える影響についての注目が高まってきている.特に,建物が密集する都心部において緑を確保することの重要性は高く,実際に,緑の基本計画に緑視率向上の政策が示されている自治体も存在する.また,緑視率が人に与える影響についての研究も複数存在するが,植生の配置が人々の意識に与える影響を充分に評価できているとは言いがたい.そこで本稿では,都市部における植生の量・配置を定量的に指標化し,人々の景観に対する主観的評価に与える影響を分析する.そして、得られた知見を適切な植生配置の一助とすることを目的とする.重回帰分析を用いて植生の量と配置が人々の評価に与える影響について分析した結果,目線上部にある植生は,高評価につながることが示された.つまり,植生を多く配置できない場合,中木や高木を中心に植栽を整備する方が景観上好ましいことが示唆された.
著者
関口 達也 林 直樹 寺田 悠希 大上 真礼 杉野 弘明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.23-00006, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

新型コロナウイルス感染症の蔓延(コロナ禍)は,人々の日常生活の様々な場面で大きな変化を引き起こした.本稿では,このうち東京都内在住の一般の人々の食料品の購買行動に起こった行動・意識の変化に着目する.コロナ禍が始まり,緊急事態宣言下を経てさらに一定期間が経過し現在までの食料品の購買行動の変遷状況を整理することで,今後の類似事例発生時の対策検討に役立てること,さらに「買い物不便」に対する人々の意識構造とその変化を把握することが主な目的である.東京都を対象としたアンケート調査の結果を用いて,人々の食料品購入行動(例:店舗選択,交通手段,買い物頻度など)や意識に対する変化の内容と,コロナ禍前の状況との乖離度合いを,複数時点の比較分析から明らかにした.
著者
関口 達也 林 直樹 杉野 弘明 寺田 悠希
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.465-474, 2017-12-30 (Released:2018-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This study aims to analyze the conceptual and spatial recognition to “Jimoto” of people by using an online survey data. The result showed that both recognitions of “Jimoto” were classified into several groups and each group had own feature. The result also showed these “Jimoto” consciousness were formed through the life events and daily lives of people. We also analyzed the relationship of these recognitions and undesired change to their “Jimoto”. The results indicated that people didn’t desire specific change if the connections between them and their “Jimoto” were formed by concrete objects or intimate people. These “Jimoto” consciousness sometimes comes from outside of each region and spreads over administrative boundaries. This suggests the necessity of the systems that enable people to participate regional development projects from the outside or cooperation of several local governments.
著者
関口 達也 貞広 幸雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.269-282, 2015-05-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
22

本稿では,簡便かつ多面的に商業環境の評価を行う新たな手法の提案を行う.具体的には,1)総充足度,2)安定度,3)重要度,の三つの指標を用いて,地域における商業環境を複数の観点から評価する方法を提案する.仮想的な地域と実地域へ手法を適用し,各指標の性質を検討した結果,以下の知見が得られた.1)いずれの指標も,地域の店舗の立地・規模の差異を考慮した評価が可能である,2)総充足度は地区の店舗の充足性を評価し,店舗数の増加に対して指標値の増分には一定の逓減性がみられる,3)安定度は各地区の総充足度が少数の店舗に依存するか否かを判断する指標で,充足度と併用すると,地区の総充足度の特定の店舗への依存性を評価できる,4)重要度は各地区の総充足度の向上に大きく貢献する店舗が高く評価される指標で,充足度,安定度との併用により,地域の総充足度の向上に最も寄与している店舗の閉店が及ぼす影響を視覚化できる.