著者
小川 智美 関屋 昇
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.119-122, 2002-06-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
9

本研究は,股関節屈曲運動における骨盤大腿リズムを矢状面及び横断面内において把握することを目的とした。男子学生9名(平均年齢23.2歳 ± 3.7歳)を対象とし,ジャイロセンサーを用いて,背臥位での膝関節屈曲を伴う右大腿挙上の自動運動を測定した。その結果,大腿挙上運動開始直前から10°まで骨盤の前傾方向への運動がみられ,10°から90°に至るまで骨盤後傾運動1°に対し股関節屈曲運動6°の割合で直線的に変化した。骨盤には後傾運動以外に大腿挙上側への横断面内での回旋運動が生じ,大腿挙上10°に至る頃には最終回旋角度の約半分の範囲に達した。以上の結果から,骨盤大腿リズムの存在が明らかとなり,今後股関節屈曲運動の評価及び治療に考慮していく必要性が示唆された。
著者
関屋 昇
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.139-143, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

歩行開始の運動制御を理解することは、定常歩行と同様に重要である。健常者の歩行開始は、下腿三頭筋の活動低下およびこれに続く前脛骨筋の活動により開始される。これらの筋群の作用による足圧中心の後方移動が起こって、身体が重力に引かれて前方に回転することにより、前方への重心移動が開始される。この基本パターンは年齢に関係なく一定であるが、足圧中心の後方移動は子供や高齢者では小さくなる。また、大人でも子供でも、最初の一歩の終了までに必要な時間は歩行速度には依存せず、生体力学的条件により決定される。パーキンソン病の歩行開始は、振り出し開始までの時間が延長することが特徴的である。
著者
久保 雅昭 関屋 昇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0422, 2004

【目的】<BR> <BR> 厚生労働省の医療改革により入院在院日数が削減され、以前よりも早期の予後予測や効率的な理学療法が要求されているように思われる。また、入院患者の情報収集についても同様であり、このためには病棟との連携が必須である。当院では、脳神経外科病棟(以下脳外)において、今まで週1回リハビリカンファレンスを開催しているが、患者情報の交換が十分であるとはいえない。最近、脳外での朝・夕の申し送りが廃止され、ウォーキングカンファレンス(以下WCF)が開始されたため、効率的な情報交換を目的にリハビリテーション科(以下リハ科)でも週1回参加することになった。リハ科の参加開始1ヶ月の時点で、連携に関する問題点を明らかにすることを目的として、アンケートによる意識調査を行った。<BR><BR>【方法】<BR> 対象<BR> <BR> 当院脳外に勤務する看護師20名(女性18名、男性2名)経験年数1から30年(4年以下は9名)。リハ科に所属するPT7名・ST1名の8名、経験年数1から4年(女性7名、男性1名)。<BR><BR> WCF開始1ヶ月時にアンケート調査を行った。アンケートの内訳は、患者とその家族関連(以下Pt)5項目、自らの業務関連(以下M)4項目、他職種との連携関連(以下R)5項目、設備関連(以下H)1項目の15項目とした。各項目について、評定尺度(5・7段階)を用いて調査した。これらを経験5年以上の看護師(以下N)、経験4年以下の看護師(以下N4)、およびリハ科で集計し、Nとリハ科、N4とリハ科、NとN4の組み合わせで傾向と要因を比較した(評定尺度の中立要素を基準にポジティブ、ネガティブ要素と定義した)。<BR><BR>【結果】<BR><BR> 各項目の回答率は100%であった。N・N4・リハ科間において最も共通性が認められたのは、H項目のネガティブ要素であった。次はM項目の中立要素に共通性がみられ、NとN4間ではポジティブ要素への共通性も認められた。そしてR項目では、N4とリハ科間にネガティブ要素、NとN4間に中立要素の共通性があった。最もバラツキが大きかったPt項目では、ほとんど共通性は認められなかった。<BR><BR>【考察】<BR><BR> 今回リハ科と病棟の情報共有化について意識調査をWCF開始1ヶ月時に行った。Pt項目のバラツキから情報の共有化が良好でないことが推測され、現状の情報交換方法では限界とも考えられる。また、R・M項目に共通性がないことについては、リハ科だけの要因としてWCFへのとまどいや経験年数、病棟頼りの情報収集等が考えられる。また、看護師とリハ科の設備不足への共通性から患者サービスという視点は同じであること、看護師の業務に対するポジティブな姿勢から、リハ科の積極的な発言やWCFについての探求・応用が、今後の患者の情報共有化に重要であり、各職種間の連携を深めることになると考えられる。<BR>【まとめ】
著者
本島 直之 関屋 昇 山本 澄子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11570, (Released:2019-09-28)
参考文献数
34

【目的】立位での大腿拳上運動は日常生活動作と密接な関わりがある。そこで,立位大腿拳上運動を三次元的に解析し,大腿挙上,骨盤傾斜および体幹運動の関係と,それらへの加齢の影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常成人20 名(若年者,高齢者各10 名)とし,運動課題は静止立位と立位からの片脚大腿拳上運動とした。三次元標点計測により体幹傾斜,体幹屈曲,骨盤傾斜,大腿傾斜角度および骨盤と体幹の位置を,床反力計測により足圧中心位置を求め,それらの関係を検討した。【結果】立位姿勢は両群に差は認められなかった。骨盤後傾,骨盤側方傾斜および体幹前屈運動は若年者,高齢者ともに大腿挙上角度に対して一定の割合で直線的に増大し,その割合は高齢者において小さかった。【結論】立位での大腿挙上運動における体幹・骨盤・大腿リズムの存在と加齢の影響が明らかとなり,大腿挙上運動を評価する際に体幹も含めて行う必要性が示唆された。
著者
関屋 昇
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.668-676, 2008-10-18 (Released:2008-10-24)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The six major determinants of gait, as proposed by Saunders et al., were reviewed. The results showed that each of the first three determinants (pelvic rotation, pelvic list, and stance phase knee flexion) have only a minor effect on decreasing the vertical displacement of the center of gravity (COG). The major determinant of COG displacement is heel rise, and the second is the inclination of the lower extremity in the stance phase. In spite of the assumption that decreasing the COG displacement decreases gait energy consumption, the energy required for walking with a flat COG trajectory increased dramatically. Therefore, the major gait determinants as defined by Saunders et al. should be corrected in terms of both the COG displacement and energetics.