著者
小坂 英輝 楮原 京子 今泉 俊文 三輪 敦志 阿部 恒平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.493-504, 2013-11-01 (Released:2017-12-08)
参考文献数
16

本論では,平野側に大きく湾曲する形状をもつ逆断層のセグメンテーションを検討するために,北上低地西縁断層帯・上平断層群南端部に発見されていた断層露頭を精査した.また,断層露頭周辺の断層変位地形の記載をあわせて行い,断層活動履歴,平均上下変位速度および単位実変位量を求めた.断層露頭の断層は,新第三系の凝灰岩が段丘堆積物に対して48°以上の高角度で衝上する構造をもち,右横ずれ変位を伴う逆断層である.その断層活動は最終氷期後期以降に少なくとも4回,平均上下変位速度は0.3±0.1 m/千年程度,単位実変位量は2.4~3.4 mと推定される.これらの諸元は上平断層群中央部のそれらと同等であり,上平断層群南端は断層セグメントにおいて活動度が低くなるとされる断層末端の特徴を有しない.すなわち,湾曲という断層の平面形態は必ずしも断層セグメントの認定基準にならないことを示唆している.