著者
上岡 裕美子 篠崎 真枝 橘 香織 山本 哲 宮田 一弘 青山 敏之 富田 美加
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.97-101, 2021-04-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
13

背景 : 理学療法学生において効果的な臨床参加型実習に向けた実習前の客観的臨床能力試験 (OSCE) のあり方を検討するため, 実習前OSCEと実習到達度との関連を明らかにすることを目的とした. 方法 : 理学療法学科4年生79人を対象に, OSCEと知識試験成績, 実習中の経験症例種類数, 実習到達度を分析した. 結果 : OSCE成績は知識試験成績, 経験症例種類数, 実習到達度と有意な相関関係にあった. 特にOSCEの実施技術要素は実習到達度の診療補助および評価分野と有意な相関を認めた. 考察 : OSCEは臨床ではない状況で能力を評価するものであるが, 実習終了時点での臨床実践力と関連性があることが示唆された.
著者
青山 敏之 阿江 数通 相馬 寛人 宮田 一弘 梶田 和宏 奈良 隆章 川村 卓
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.91-100, 2021-02-01 (Released:2021-01-13)
参考文献数
44
被引用文献数
3 2

The yips represent a disorder that makes it challenging for an individual to perform automatic and coordinated movements in sports activities. The cause of the yips is not sufficiently clarified, and limited information is available regarding throwing yips in baseball. Therefore, this study was designed to clarify the incidence and characteristics of the throwing yips among college baseball players. Total 107 players of the college baseball team participated in the study and completed the questionnaire by answering questions about their experience of the yips (loss of control to throw the ball accurately for more than 1 month), the symptom intensity, and changes observed in the symptoms in different situations. The 47.1% of players met the definition of throwing yips. The symptoms of the yips were more pronounced with short-distances and low intensity of throwing. Moreover, there were various subjective symptoms, such as the issue about co-contraction of the upper limb, sensory function, body ownership, and movement planning. Various physical symptoms associated with throwing yips suggest that the yips are not only a disorder of motor skills, but result from movement disorders. The present results show that the occurrence of the yips depends on the throwing condition; this finding provides useful insights into the mechanism and the treatment of the yips. Interdisciplinary studies that aim to elucidate the cause of the yips and develop effective intervention are necessary.
著者
青山 敏之 阿江 数通 相馬 寛人 宮田 一弘 梶田 和宏 奈良 隆章 川村 卓
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.91-100, 2021
被引用文献数
2

<p>The yips represent a disorder that makes it challenging for an individual to perform automatic and coordinated movements in sports activities. The cause of the yips is not sufficiently clarified, and limited information is available regarding throwing yips in baseball. Therefore, this study was designed to clarify the incidence and characteristics of the throwing yips among college baseball players. Total 107 players of the college baseball team participated in the study and completed the questionnaire by answering questions about their experience of the yips (loss of control to throw the ball accurately for more than 1 month), the symptom intensity, and changes observed in the symptoms in different situations. The 47.1% of players met the definition of throwing yips. The symptoms of the yips were more pronounced with short-distances and low intensity of throwing. Moreover, there were various subjective symptoms, such as the issue about co-contraction of the upper limb, sensory function, body ownership, and movement planning. Various physical symptoms associated with throwing yips suggest that the yips are not only a disorder of motor skills, but result from movement disorders. The present results show that the occurrence of the yips depends on the throwing condition; this finding provides useful insights into the mechanism and the treatment of the yips. Interdisciplinary studies that aim to elucidate the cause of the yips and develop effective intervention are necessary.</p>
著者
青山 敏之 金子 文成
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1O2001, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】運動イメージ想起に伴う脊髄反射の変化に関しては多くの相反する結果が報告されており,未だ一定の見解が得られていない.本研究の目的は運動イメージ想起によるH反射と伸張反射の振幅の変化を比較することにより,運動イメージ想起がγ運動ニューロンを介した脊髄反射の利得調節に及ぼす影響を明らかにすることである.また,その効果がイメージ想起する運動の強度や方向に依存して変化するかを明らかにすることである.【方法】十分な説明の上同意の得られた健常者を対象とした.測定肢位は椅子座位とし,実験用に作成された伸張反射測定装置の上に左下肢を載せ安楽な姿勢を保った.測定開始前,被験者は足関節底屈・背屈の随意性最大収縮(MVC)と50%MVCを実施した.そして,それぞれの強度の運動イメージ想起を行えるよう練習した.筋電図は表面皿電極を使用し,前脛骨筋,ヒラメ筋,腓腹筋からH反射と伸張反射を記録した.H反射は脛骨神経の電気刺激により導出した.伸張反射は角速度を3段階に設定し,足関節の他動的な背屈運動に伴う伸張反射を記録した.実験課題1:安静保持,足関節背屈運動イメージ想起(背屈イメージ),足関節底屈運動イメージ想起(底屈イメージ)とした.想起する運動イメージの強度はMVC時のものとした.実験課題2:実験課題1の条件に加え,想起する運動イメージの強度を50%MVCとした底屈・背屈イメージを実施した.統計学的解析はH反射,伸張反射の振幅に関して条件を要因とした反復測定による一元配置分散分析を実施した.【結果】実験課題1:H反射では条件を要因とした主効果はなかったが,伸張反射では底屈イメージ時に安静時よりも有意に振幅が増大した.実験課題2:背屈イメージではH反射,伸張反射ともに想起する運動の強度の変化に伴う主効果はなかった.底屈イメージでは,H反射の振幅に変化がなかったが,伸張反射ではイメージ想起する運動の強度がMVCの時のみ安静時よりも有意に振幅が増大した.【考察】H反射と伸張反射ではそれぞれの反射回路に筋紡錘が含まれるかどうかに相違がある.つまり,反射回路に筋紡錘が含まれる伸張反射はそうでないH反射に比べγ運動ニューロンによる筋紡錘の感度変化の影響を受けやすいといえる(Jeannerod, 1995).よって,本研究において運動イメージ想起に伴い伸張反射の振幅が選択的に増大したことは,運動イメージ想起がγ運動ニューロンを介した脊髄反射の利得調節に寄与している可能性を示唆する.さらに,その効果はイメージ想起する運動の強度と方向に依存するといえる.【まとめ】 本研究ではH反射と伸張反射を用い運動イメージ想起が脊髄反射の利得調節に及ぼす影響について検討した.その結果,運動イメージ想起により選択的に伸張反射の振幅が増大した.これは運動イメージ想起がγ運動ニューロンを介した脊髄反射の利得調節に寄与していることを示唆する.
著者
本多 輝行 渋谷 正直 青山 敏之 高木 己地歩 川崎 皓太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0796, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】胸腰椎圧迫骨折(圧迫骨折)後,疼痛やバランス能力,歩行能力の低下によりADLが低下するケースは多い。また,急性期病院での入院期間延長により,廃用症候群や認知機能の低下をきたし,回復期病院へ入院するケースも多く認める。しかしながら圧迫骨折患者の歩行予後について急性期での報告はあるものの回復期病院退院時の報告は少ない。また圧迫骨折受傷前の歩行能力が考慮されていない報告が多いという問題点がある。よって本研究では圧迫骨折患者の回復期病院入院時の身体能力や認知機能などの因子が,回復期リハビリテーション実施後の歩行予後に与える影響について,受傷前の歩行能力を基準として調査することを目的とした。【方法】対象は回復期病院である当院に入院した圧迫骨折患者54名(81.5±8.2歳)とした。対象者の群分けはFIMの歩行能力を利用し,受傷前の歩行能力と比較して低下した群19名(低下群)と,変化なしまたは向上した群35名(維持向上群)に群分けした。調査項目は性別,年齢,急性期入院期間,回復期入院時の認知機能と疼痛,バランス能力,受傷前・回復期入院時の歩行能力,ADLとした。認知機能はHDS-R,疼痛はNRS,バランス能力はFBS,ADLと歩行能力はFIMを用いてカルテより後方視的に調査した。統計学的解析については,性別はカイ二乗検定,FIMはMann-WhitneyのU検定,年齢・急性期入院期間は対応のないt検定を用い,有意水準はp<0.05とした。また認知機能,疼痛,バランス能力,歩行能力,ADLを測定時期(入院時・退院時)と群(低下群・維持向上群)を要因とした二元配置分散分析を用いて統計学的解析を行った。【結果】認知症等の影響により疼痛の数値化が困難な2名(低下群1名,維持向上群1名),傾眠や不穏等の理由によりHDS-Rの検査を実施できなかった7名(低下群6名,維持向上群1名)は欠損値として解析対象から除外した。統計学的解析の結果,性別,年齢,急性期入院期間,受傷前歩行能力には有意差はなかった。HDS-R,FBS,FIMは交互作用がなく時期の主効果が有意であり,入院時と比較して退院時に有意に高かった。同様に群の主効果も有意であり,維持向上群が高かった。NRSについては交互作用と単純主効果の結果より,両群ともに入院時と比較して退院時に改善が得られたが,その改善度は低下群で有意に低かった。【考察】本研究により圧迫骨折受傷前の歩行能力に有意差は認めなかった。しかし回復期入院時のバランス能力や歩行能力などの身体機能は低下群で有意に低く,圧迫骨折受傷を契機に両群の身体機能に差が生じたと考える。また回復期入院時の疼痛は両群に有意差を認めないため,自覚的な疼痛の程度が身体活動の制限に結びついた可能性は低い。このことから,リハビリテーション開始時期や臥床時間など急性期病院における何らかの対応の差が,両群の回復期入院時の身体機能の差に結びついた可能性がある。また回復期入院時に見られた,両群の身体機能の差は退院時まで持続しており,急性期においていかに身体機能を維持向上させるかが,回復期退院時の歩行予後に重要であると考える。疼痛は両群ともに有意に改善したが,低下群でその改善の程度が低かった。すなわち回復期入院時の疼痛の程度ではなく,その改善度が回復期退院時の歩行予後に重要な因子となる可能性があるということである。低下群において疼痛の改善度が低かった理由は本研究からは不明だが,疼痛の遷延化に結びつく骨折部位へのストレスへ配慮して急性期・回復期でのリハビリテーションを行うことが歩行予後の面からも重要であるといえる。一方,NRSによる疼痛評価は主観的な要素を含んでいる。そのため向上群の高い身体機能の獲得,あるいはADLの拡大で得られた自己効力感が疼痛の自覚的な評価の改善に結びついている可能性も否定出来ない。これらを考慮し,回復期病院である程度の疼痛が残存していても,疼痛の改善に固執しすぎず,身体機能やADLの改善に着目した介入もバランス良く取り入れる必要があると考える。今後の課題として,両群における回復期入院時の身体機能の差異や低下群における低い疼痛の改善度について,急性期病院での対応の差や自己効力感の観点から更なる調査を進める必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】理学療法において,受傷前の歩行能力を獲得することは主要な目標の一つとなる。本研究は,圧迫骨折患者が回復期病院退院時に受傷前の歩行能力を獲得できるかどうかに関わる因子に関して検証したものであり,入院時の予後予測に基づき適切な理学療法を提供する上で有用な知見となると考える。
著者
奥野 裕佳子 冨田 和秀 関本 道治 青山 敏之 滝澤 恵美 橘 香織 大橋 ゆかり 佐藤 斉 二宮 治彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】平成26年度文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」採択事業である多職種連携医療専門職養成プログラム(Coordinated,Continuing,Medical Staff Education Program:CoMSEP)には,筑波大学医学医療系(臨床検査),本学放射線技術科学科・理学療法学科およびその関連病院が参加している。学部課程から卒後までの継続的なプログラムを通して,チーム医療の教育を進めるとともに広い視野を有する臨床実習指導者の養成を目的としている。今回は,プログラム内容の紹介および履修生を対象としたアンケート結果および取り組み状況を含めて報告する。</p><p></p><p>【方法】プログラムは,1)卒前教育にあたる「学部教育プログラム」と2)卒後教育にあたる「履修証明プログラム」より成る。学部教育プログラムでは「生体機能診断ワークショップ」と称し,3年生を対象に2学科ずつの合同演習を年に4回実施している。理学療法学科は医学医療系との合同演習を行い計65名が参加した。履修証明プログラムは,e-learningの履修と集中開講によるスクーリング,合同公開講座より成る。e-learningは3学科の教員による授業科目で,全60時間である。スクーリングは,60時間を年12回に分けて休日を中心に開講し,さらに年1回の合同公開講座への出席を含め,計1年のプログラムとなる。履修生は,臨床検査技師,診療放射線技師,理学療法士であり,卒業大学および勤務病院の制限は設けていない。なお,平成27年度の履修生は理学療法士9名を含む計29名であった。今回,履修生を対象に1)学部教育プログラムと2)履修証明プログラムに関するアンケートを各プログラム後に実施した。</p><p></p><p>【結果】1)学部教育プログラムでは,他分野への興味・関心について「高まった」「ある程度高まった」との回答が9割を超えていた。また,ワークショップの将来性の意義について,意義があると「感じた」「ある程度感じた」との回答が8割を超えていた。ワークショップの満足感についても「満足できた」「ある程度満足できた」との回答が9割以上であった。2)履修証明プログラムでは,9割以上の履修生から「非常に効果的な内容であった」との評価を受けた。しかし,e-learningの講義および課題の提出については,履修生全員より「難しかった」との回答がみられた。特に専門外の講義では難解な説明が多かったこと,課題が難解で時間を要したことが主な理由であった。また,スクーリングの出席率は平均49%であった。欠席理由として勤務,学会,私用によるものが大半であった。</p><p></p><p>【結論】本プログラムでは履修生より高い満足度を得られ,理学療法学生・理学療法士においても専門性の向上と他職種連携への理解を推し進めることが可能と考える。一方,履修証明プログラムのスクーリングでは,履修状況の改善に向けて日程調整に配慮した運営を行っていく。なお,履修による効果について,追加調査等さらなる検討が必要と考える。</p>