著者
星 正治 坂口 綾 山本 政儀 原田 浩徳 大瀧 慈 佐藤 健一 川野 徳幸 豊田 新 藤本 成明 井上 顕 野宗 義博 原田 結花 高辻 俊宏 七條 和子 遠藤 暁 佐藤 斉 大谷 敬子 片山 博昭 チャイジュヌソバ ナイラ ステパネンコ ヴァレリー シンカレフ セルゲイ ズマジーロフ カシム 武市 宣雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

放射線による発がんなどのリスクは、ほぼ広島・長崎の被ばく者の調査により評価されてきた。その結果は国際放射線防護委員会(ICRP)での議論を経て、国内法である放射線障害防止法に取り入れられている。しかし原爆は一瞬の被ばくであるが、セミパラチンスクでは長時間かつ微粒子による被ばくである。従ってそのリスクは異なっている可能性がある。本研究は共同研究による被曝線量とリスク評価である。測定や調査は、1.土壌中のセシウムやプルトニウム、2.煉瓦、歯、染色体異常による被曝線量、3.聞き取り調査による心理的影響、4.データベースの整備とリスク、5.微粒子効果の動物実験などであり、被爆の実態を解明した。
著者
佐藤 斉華
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.95-117, 2007-06-30

本論文は、ネパールのチベット系ヨルモにおいて急速に過去のものとなりつつある嫁盗り婚(略奪婚)という結婚締結の一選択肢がいかに語られているかを考察することを通じ、グローバルな広がりを持つ「開発」という「近代」的価値言説との交叉において構築されつつある彼らの現在の一段面を照らしだそうとするものである。比較的近年までかなりの規模で嫁盗りを実践してきたと見られる彼らが、この慣行について自ら積極的に語ることは現時点では基本的にない。知りたがりの外部者(例えば筆者=人類学者)に促されて語るとしても、例外なく否定的に、消え去るべき「昔のこと」として語るのみであり、その語り口は近代(西欧)が嫁盗り婚に向けた「過去の」「野蛮な」慣習という視線と一見軌を一にするとも見える。しかし、語りの内容や語る行為において遂行されること(=発話のパフォーマティヴな側面)を子細に腑分けしていくにつれ浮かびあがってくるのは、彼我の類似性・同一性であるより、むしろ彼我の間に横たわる距離であった。即ち、彼らによる嫁盗り婚の否定は、「女性の権利」や「解放」といった嫁盗り婚否定を支える「近代」的価値観の採用によるものではない。それは彼らにおいてローカルに培われてきた価値観の、さらなる純化/強化(=社会的対立/宗教的秩序攪乱の回避)にむしろその根拠をおいている。またそれは確かに、「進歩」を掲げる近代的世界に向けた彼らの積極的参画の働きかけではあった。だがこれらの発話は、彼らの近代世界への参画を一義的に促進する効果を持つというより、その根底にある価値観の異質性とともに、開発への一途な信奉と(既にそれを手放した「開発された」中心に身をおく立場からは)見えるその素朴さにおいて、近代世界における彼らの周縁的位置をむしろ再-構築してしまうという、相矛盾する動きの同時遂行ともなっていたのである。
著者
佐藤 斉華
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.73-95, 1998-06-30

民族問題/ナショナリズムという表現が示す問題群は, 国民国家の規約体系を挟むそれ「以前」/「以後」の「民族」の動態を考察することを要求する。本稿は, 1990年の民主的体制への転換以降, ネパール複合社会を縦横に走る社会・宗教・民族的境界がより顕在化/問題化している状況を受けつつ, 北東ネパールの一地域に由来する「ヨルモ」という民族範疇の変容過程を検討することにより, その一断面を切り取ろうとするものである。「ヨルモ」は元来地名であるが, 伝統的に, 文脈に依り指示範囲を微妙に変えつつその(主な)住民や言語にも柔軟に適用されていた。近年カトマンヅの一遇に形成されたヨルモ・コミュニティのなかで, 従来とは性格を異にする「ヨルモ」の用法が特に90年代に入り急速に広まっている。即ち固定的な社会文化的実体=民族の名としての使用であり, 「ヨルモ」をめぐる社会・文化・言語・地理的諸境界間のズレは克服されるべき課題となったのである。新たな用法のなかでは, このズレにどう対処するかにより二つの方向性が現れた。「ヨルモ」により多くの成員を取り込もうとし結果として文化的異質性の拡大するのも黙認する拡大派と, 「ヨルモ」の人口がたとえ目減りしても文化的均質性の水準維持または向上を優先しようとする純粋派であり, 両者の間を「ヨルモ」の境界は揺れ動くことになる。「ヨルモ」は, 伝統的用法に加えて移住地での議論の過程を包含し, 幾重もの位相がずれながら重なってせめぎあう重層的かつ動態的な様相を呈することになる。こうした「ヨルモ」をめぐる事情は, 国民国家概念の浸透にされされた少数民族の反応と対応の一例であり, またその浸透が民族的範疇についての意識と言説の複雑なダイナミクスにいかに寄与するかということの例示ともなっているのである。
著者
奥野 裕佳子 冨田 和秀 関本 道治 青山 敏之 滝澤 恵美 橘 香織 大橋 ゆかり 佐藤 斉 二宮 治彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】平成26年度文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」採択事業である多職種連携医療専門職養成プログラム(Coordinated,Continuing,Medical Staff Education Program:CoMSEP)には,筑波大学医学医療系(臨床検査),本学放射線技術科学科・理学療法学科およびその関連病院が参加している。学部課程から卒後までの継続的なプログラムを通して,チーム医療の教育を進めるとともに広い視野を有する臨床実習指導者の養成を目的としている。今回は,プログラム内容の紹介および履修生を対象としたアンケート結果および取り組み状況を含めて報告する。</p><p></p><p>【方法】プログラムは,1)卒前教育にあたる「学部教育プログラム」と2)卒後教育にあたる「履修証明プログラム」より成る。学部教育プログラムでは「生体機能診断ワークショップ」と称し,3年生を対象に2学科ずつの合同演習を年に4回実施している。理学療法学科は医学医療系との合同演習を行い計65名が参加した。履修証明プログラムは,e-learningの履修と集中開講によるスクーリング,合同公開講座より成る。e-learningは3学科の教員による授業科目で,全60時間である。スクーリングは,60時間を年12回に分けて休日を中心に開講し,さらに年1回の合同公開講座への出席を含め,計1年のプログラムとなる。履修生は,臨床検査技師,診療放射線技師,理学療法士であり,卒業大学および勤務病院の制限は設けていない。なお,平成27年度の履修生は理学療法士9名を含む計29名であった。今回,履修生を対象に1)学部教育プログラムと2)履修証明プログラムに関するアンケートを各プログラム後に実施した。</p><p></p><p>【結果】1)学部教育プログラムでは,他分野への興味・関心について「高まった」「ある程度高まった」との回答が9割を超えていた。また,ワークショップの将来性の意義について,意義があると「感じた」「ある程度感じた」との回答が8割を超えていた。ワークショップの満足感についても「満足できた」「ある程度満足できた」との回答が9割以上であった。2)履修証明プログラムでは,9割以上の履修生から「非常に効果的な内容であった」との評価を受けた。しかし,e-learningの講義および課題の提出については,履修生全員より「難しかった」との回答がみられた。特に専門外の講義では難解な説明が多かったこと,課題が難解で時間を要したことが主な理由であった。また,スクーリングの出席率は平均49%であった。欠席理由として勤務,学会,私用によるものが大半であった。</p><p></p><p>【結論】本プログラムでは履修生より高い満足度を得られ,理学療法学生・理学療法士においても専門性の向上と他職種連携への理解を推し進めることが可能と考える。一方,履修証明プログラムのスクーリングでは,履修状況の改善に向けて日程調整に配慮した運営を行っていく。なお,履修による効果について,追加調査等さらなる検討が必要と考える。</p>
著者
佐藤 斉華
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.309-331, 2008-12-31

ニマ(仮名)は、「女は(嫁に)行く」ことが現在までなお揺るぎない規範性を保持しているネパール・ヨルモ社会に生きる、未婚の中年女性である。本稿は、社会的規範により抑圧され周縁化されている個人が、この規範との緊張を孕んだ関係のもとでいかなるエイジェンシーを発揮するのか、いかに自己を構築しその生存の場所を切り拓くのかという問いを、このニマが語るライフ・ストーリーを通して探究しようとするものである。興味深い事実は、婚姻を命じる規範がその一端を構成するところの、彼女にとって抑圧的な社会的編制のもとで生きることを余儀なくされながらも、彼女自身がこの婚姻規範を繰り返し肯定し、自らの「逸脱」性を率直に認めていることである。規範への全面恭順とそれが含意する自らの逸脱性の受容という、一見平板な身振りのもとで彼女が紡ぎだす語りを辿るにつれ浮かびあがってくるのは、しかし、規範への一面的な服従とは程遠いものであった。自己否定をあえて引き受けつつも自己の生存をしたたかに確保し、明示的には規範を肯定しながらもこの規範から逃れでていこうとする志向を滲ませる彼女の言葉は、体よい要約を拒み、不分明なその声は構造に折り込み済みのエイジェンシーを越えでる潜勢力を宿す。もちろん、そのような潜勢力がいかなる展開を遂げる(あるいは遂げない)かについて、軽々しく予断するのは不可能なことである。
著者
南 真木人 安野 早己 マハラジャン ケシャブラル 藤倉 達郎 佐藤 斉華 名和 克郎 谷川 昌幸 橘 健一 渡辺 和之 幅崎 麻紀子 小倉 清子 上杉 妙子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

2008年、マオイストことネパール共産党(毛派)が政権を担い、王制から共和制に変革したネパールにおいて、人民戦争をはじめとするマオイスト運動が地域社会や民族/カースト諸団体に与えた影響を現地調査に基づいて研究した。マオイストが主張する共和制、世俗国家、包摂・参加の政治、連邦制の実現という新生ネパールの構想が、大勢では変化と平和を求める人びとから支持されたが、事例研究からその実態は一様ではないことが明らかになった。
著者
木村 真三 三浦 善憲 高辻 俊宏 三宅 晋司 佐藤 斉 遠藤 暁 中野 正博
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

チェルノブイリ原発事故発生から30年後の被災地域において、一年間にわたってホールボディカウンタによる住民の内部被ばく調査、陰膳法による食事調査を行い、関連を分析。内部被ばく調査では、予備調査で最大23,788Bq/body, 本調査で最大7,437Bq/bodyの放射能が確認され、冬季は高く、夏季は低い傾向がみられた。食事調査では、年間合計で1,446サンプルを分析。森林由来のキノコ、ベリー類や牛乳で高い放射能が確認され、最大は乾燥キノコで24,257Bq/kgであった。30年経過時点でも食事から放射性物質を取り込んでいる実態が明らかになり、食生活の観点から被ばく予防を行う必要性が確認された。
著者
星 正治 ズマジーロフ カシム 遠藤 暁 石川 正純 高田 真志 佐藤 斉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

加速器を使ったホウ素中性子捕捉療法のシステムを開発するため、水流によるターゲット冷却システムを新規に開発した。放射線医学総合研究所の3MeVの陽子を照射し目的とする単位面積あたりの必要な冷却能力を達成した。これにより実機の設計に入る事が可能となった。加速器を使った試験は6回行った。線量評価のための測定器として新しくボロン入りのポリエチレンとボロンの入っていないポリエチレン使用した電離箱を作成し実用可能な事を証明した。