著者
青木 香保里 藤本 尊子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.247, 2003 (Released:2004-05-25)

目的:高度化、複雑化する現代社会にあって、生活を構造的に把握する視点の有無は生活にたいする認識と実践のありようを左右する。こうした状況下にあって教育の役割は一層重要になる。本研究では、生活を構造的に把握するための枠組みの検討と整理を試みるとともに、教育における実習の現代的再構成の意義について述べる。方法:文献研究による。なお、本研究の適用対象としては学校教育における家庭科教育を主として考えるが、家政教育、生活科学教育などへの拡張も可能であると考えている。結果:私たちの生活は人間の生産的な活動を基盤に成立している。人間の生産的な活動は「労働の生活」「職業の生活」として具体化する。労働するうえで必要となるエネルギー、すなわち労働力は、主として職業の生活において必要とされ消費される。また、労働力を回復する場として主となるのが家庭生活である。生活の総体からみた家庭生活の役割は、「労働力の再生産」にあることになる。したがって、「労働力の消費」「労働力の再生産」から構成される人間の生活活動は、その両側面を職業と家庭によって構造的に枠組みされていることになる。ゆえに、よりよい生活の実現のためには、労働を「労働力の消費」と「労働力の再生産」から双方向的に分析・総合する認識と実践が不可欠である。労働の多様化に伴い「労働とは何か」が見えにくくなっている現在、生産・消費と密接不可分な関係にある労働にたいする認識形成と実践化に向けて、教育において単なるものづくりに終始しない実習を積極的に位置づける必要がある。
著者
日景 弥生 青木 香保里 志村 結美
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.125-135, 2017 (Released:2018-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The purpose of this research is to clarify perspectives of teachers without the license of home economics education (LHEE) by comparing those with the LHEE. Perspectives of teachers with the LHEE were better than those of teachers without the LHEE. Additionally, the teachers with the LHEE thought that problem solving ability was more important, and they utilized resources such as homes and community which were the basis of students’ livelihood. However, teachers without the LHEE had almost no time to research materials for teaching some subjects in addition to home economics education, and they were able to take the line of least resistance such as worksheets. The quality of home economics education was influenced by difference between teachers with the LHEE and those without the LHEE. In order to ensure study opportunity, the boards of education need to prepare support system for teachers without of the LHEE, and reform teachers’ license system immediately.