著者
馬場 景子 中野 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.33, 2005 (Released:2005-09-13)

山芋(自然薯)は、日本にある在来種の代表的なものである。しかし儀礼食として捉えられることが、今までほとんどなかった。馬場・中野は、山芋がとろろ飯として調理され、正月に食べられることに着目し調査を行なってきた。 調査から、正月に食べられるとろろ飯には、日常的に食べられるとろろ飯とは異なり、ハレの食としてとろろ飯を食べる文化的な理由が明らかになってきた。正月のとろろ飯の食習の特長の一つは、地域により、付加された意味が異なっている点である。民衆を中心に行なわれてきた行事一般に言えることであるが、中心から周辺に伝播されるに従い、本来の意味が失われ、伝播の途中から別の意味が含まれることがある。正月のとろろ飯食習は、まさにこの文化伝播の代表的な例である。 しかしこの食習は単に一地域の行事食ではなく、東日本を中心に正月の行事を関わりの深い行事食として分布傾向は、東北地方、甲信越、中部にはこの食習慣が多く分布している。東高西低の分布を示している。 本発表では、次の三点に焦点をあてる。(1)分布状況(日本での分布)(2)付随する行事(3)節句としての正月料理このことを考察することにより、正月のとろろ飯研究の重要性を示唆していく。
著者
馬場 景子 中野 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.3, 2006 (Released:2006-09-07)

〔目的と背景〕正月に食べられるとろろ飯は、餅の形・年取りの魚と同様に日本の東西文化の指標になる可能性を明らかにした。日本の民俗学研究では、在来種である山芋に関しての調査が行われてこなかった。そのことが儀礼食としての山芋調査が行われなかった理由の一つである。先行調査により山芋が儀礼食であることを想定し、山芋の調理法の一つであると考えられるとろろ飯に注目した調査を行ってきた。その結果、正月に食されるとろろ飯は、正月の儀礼食であることを明らかにした。さらに東日本を中心に分布していることも明らかにしてきた。本発表では、この儀礼食の東西分岐の分布集積地が愛知県知多半島であることの可能性を示唆する。〔方法〕資料調査、アンケート調査〔結果〕調査により、正月のとろろ飯は儀礼食としての役割を果たしていることが明らかになった。さらに東西文化の食の一つとなる可能性が高いとの推論を出すことができた。愛知県の知多半島での調査結果を示し、分布状況から、伝播起点を想定する。
著者
都築 正喜 馬場 景子 市﨑 一章 神谷 厚徳 伊関 敏之
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

視覚障害のある学生の英語教育において、音声の取り扱いはかなり難しく、教育の現場では試行錯誤を続けてきた。発音記号やイントネーション符号などのプロソディの取り扱いは暗中模索の状態であった。本研究は、従来ほとんど取り組まれてこなかった視覚障害のある学生の英語発音を改善するための指導法と教材研究に特化して研究を行った。その結果、今回導入した、点字プリンタ「ロメオアタッシュ」を有効活用することにより、英文教材の点字化を推し進め、先行研究で一部稼働に成功していた、音調文字式符号と音調音符式符号の併用を可能とした。視覚障害のある学生のための英語補助教材も点字式補助符号を併記して有効活用への道を開いた。
著者
馬場 景子 中野 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.30, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 正月のとろろ飯の調査開始から、正月に食されるとろろ飯は、年取りの魚や雑煮の餅の形と同様に、東西文化の指標となる儀礼食であることが判明した。とろろの材料である山芋は、日本の農耕文化の発達過程において稲に先行する作物であり、儀礼食として東日本を中心に連綿と食されてきた食であったにも関わらず、全国的な調査が行われていないのが現状である。その結果、正月のとろろ飯は、郷土食として位置付けされているに留まっている。本研究では、正月のとろろ飯を東西文化の指標となる儀礼食であると捉え東西文化の分岐集中地域を、調査より知多半島であることを確認した。【方法】 知多半島の市町村の教育委員会に調査を依頼し、地域特徴が明確になる中学校に在籍する生徒の父兄にアンケートを実施した。また地元の郷土学習会へもアンケートを実施し、世代差間の調査を行った。【結果】 アンケートの結果から知多半島では一月二日の朝にとろろ飯を食べることが多いことが分かった。また一月二日は、知多半島では予祝儀礼である「仕事はじめ」の儀式が行われていることから、半田市ではこの儀礼と結び付き正月のとろろ飯が食されていた。また半田市に隣接する武豊町では、松の内に食する習慣があり、必ずしも正月のとろろ飯が一定の日程で行われている行事ではなく、日程のバリエーションが存在することが判明した。さらに全国的に見た場合は、明治初年の改暦により儀礼の意味に差が存在することが判明した。儀礼のバリエーションとしては、新しい儀礼食の発生を意味するで、あろう事例も発見できた。分布に関しては、北高南低の分布傾向があった。
著者
馬場 景子 中野 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.34, 2008 (Released:2008-08-29)

「正月のとろろ飯」習慣を単に郷土食としてではなく、東西文化の分岐の指標と規定できる食習慣であることを今までの調査で明らかにしてきた。さらに「正月のとろろ飯」の東西分岐地域は愛知県知多半島であることを聞き取り調査により推定した。知多半島の市町村の教育委員会の協力を得て、各中学校の父兄および郷土研究会の会員を対象に2006年8月から12月の期間にアンケート調を行った。今回の発表では、アンケート調査の結果をもとに、「正月のとろろ飯」習慣が集中的に現存する知多半島での、当該習慣の推移、伝播経路、とろろ飯に付随する行事食の発生を報告する。
著者
馬場 景子 中野 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.30, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 正月のとろろ飯の調査開始から、正月に食されるとろろ飯は、年取りの魚や雑煮の餅の形と同様に、東西文化の指標となる儀礼食であることが判明した。とろろの材料である山芋は、日本の農耕文化の発達過程において稲に先行する作物であり、儀礼食として東日本を中心に連綿と食されてきた食であったにも関わらず、全国的な調査が行われていないのが現状である。その結果、正月のとろろ飯は、郷土食として位置付けされているに留まっている。本研究では、正月のとろろ飯を東西文化の指標となる儀礼食であると捉え東西文化の分岐集中地域を、調査より知多半島であることを確認した。<BR><B>【方法】</B><BR> 知多半島の市町村の教育委員会に調査を依頼し、地域特徴が明確になる中学校に在籍する生徒の父兄にアンケートを実施した。また地元の郷土学習会へもアンケートを実施し、世代差間の調査を行った。<BR><B>【結果】</B><BR> アンケートの結果から知多半島では一月二日の朝にとろろ飯を食べることが多いことが分かった。また一月二日は、知多半島では予祝儀礼である「仕事はじめ」の儀式が行われていることから、半田市ではこの儀礼と結び付き正月のとろろ飯が食されていた。また半田市に隣接する武豊町では、松の内に食する習慣があり、必ずしも正月のとろろ飯が一定の日程で行われている行事ではなく、日程のバリエーションが存在することが判明した。さらに全国的に見た場合は、明治初年の改暦により儀礼の意味に差が存在することが判明した。儀礼のバリエーションとしては、新しい儀礼食の発生を意味するで、あろう事例も発見できた。分布に関しては、北高南低の分布傾向があった。
著者
北山 長貴 馬場 景子
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成23年度に必修科目化された小学校外国語活動の教材は次年度に『Hi, friends!』となった。本研究は新教材『Hi, friedns! 1, 2 』の語彙と表現の分析を行った。特別支援教育、特に視覚障害児童には音声教材の整備充実が急務である。本研究では平成26年に「小学校外国語活動5年生用、Hi, friends! 準拠音声ペン教材 Hello English 1」、平成28年に「小学校外国語活動6年生用、Hi, friends! 2 準拠音声ペン教材 Hello English 2」を作成した。工学機器と触図教材を活用した補助教材の使用により晴眼者と同等の教育情報が保障される。
著者
北山 長貴 馬場 景子
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は視覚障害を持つ小学生が英語を学ぶための副教材として二次元ドットコードを利用した音声ペンによる学習支援のための教材作りをした。初年度は盲学校において小学部の英語の授業参観を行い必要な教材の支援方法を探し、教材を作成した。2年度目ではその結果をシンポジウムで紹介した。本研究の3年度目となる平成25年度には、これまで使用されていた小学校英語のテキスト『英語ノート』が『Hi,friends!』に改訂された。その内容が異なり現場では戸惑があった。そこで最終年度は2冊の教科書の内容比較を行った。今後、音声ペン利用の教材作成には教材変更に対応できるよう入力情報の汎用性が必要であることがわかった。
著者
滝川 桂子 馬場 景子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.87-91, 1999-03-31

本研究は, 先行研究からの流れを受けて, 文部省認定・工業英語検定試験(以下, 工業英検)から工業英語の専門性と英語教育との接点を見出す目的をもっている.さらに目的を包括するために, 高等教育機関におけるESP(English for Specific Purposes)教育の適応性を考察する.今回は, 四年制大学工学部に在籍する学生128名に工業英検4級と3級の試験問題を与え, その得点状況を比較分析した.結果, 4級及び3級の選択問題に関しては先行研究を裏付ける結果となったが, 3級の特徴である記述問題では被験者全体の得点率が極めて低調であり, 英語教育の見地から大きな課題を残す結果となった.つまり3級の記述問題では単に工業の知識だけでは克服できない, 英語の文章力の問題が大きく影響を与えていると考えられる.現段階ではtechnical termやjargonという語彙教育中心と思われているESP教育に次なる展開を見出すことが可能になってきた.