著者
馬場 美智子 岡井 有佳 小原 雅人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00160, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
19

木造住宅が密集し,細街路や袋小路の路地で構成される歴史的な市街地においては,大地震発生時の道路閉塞が消火活動に支障をきたし,大きな被害が発生する事が懸念される.本研究では,京都市内の上七軒通の周辺地区を対象に,無電柱化事業による防災効果を明らかにした.第一に,大地震発生時の道路閉塞による消防活動への影響と,無電柱化による防災効果を定量的に分析するための方法を構築した.次に,京都市無電柱化事業実施区間の中でも景観系事業が行われた対象地区において発生しうる大地震を想定して,無電柱化事業の消防活動への影響を実証的に分析し,無電柱化によって消火が困難となる区域が減少し防災効果があることが示された.
著者
馬場 美智子
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
no.5, pp.327-334, 2003-11
参考文献数
10
被引用文献数
2

Land use planning and management is not utilized in Japan for disaster management although it is considered one of the countermeasures and under the investigation of its applicability. Also, risk management is a rising framework for disaster management in these years. In this paper, land use planning and management method is studied to extract essential factors through the case study of Wellington City of New Zealand from the risk management perspective. Then, the land use planning method incorporating management point of view and applicable for the municipal government is developed based on the foundlings from the case study.
著者
馬場 美智子 岡井 有佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.610-616, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

近年、水害が頻発、激甚化する可能性がある中、河川の氾濫による水害リスクの高まりが懸念され、水害対策へのより一層の取組みが求められている。河川整備による限界がある中、土地利用・建築規制などのソフトな対策も合わせた複合的な水害対策が求められている。そのような状況の中、滋賀県は流域治水条例を制定し、総合的な治水対策に取り組んでいる。本論文では、土地利用・建築規制に焦点をあて、滋賀県の流域治水条例について都市計画制度の側面から分析を行った。また、フランスの水害対策に関わる都市計画と比較し、制度と運用面から(1)適用地域の範囲、(2)一貫した都市計画制度、(3)国と自治体の役割と責務の3点から課題を明らかにした。
著者
川上 雅彦 中村 清一 金子 日和 滝沢 潤 馬場 美智子 三上 正志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.467-471, 1998
被引用文献数
1

医院と総合病院医師の禁煙指導に違いがあるであろうか。アンケートにより都内の医院医師245人(C群)と総合病院医師366人(G群)を比較した。その結果喫煙率は両群とも本邦の一般市民より低率であり, 年齢による傾向は見られなかった。診療中患者に喫煙状態を聞いている医師の割合に差がなかったが, 聞いている医師の間では, 疾患により必要があれば聞く医師に比し, 全員/ほとんど全員に聞く医師はG群で多かった。喫煙患者に禁煙アドバイスをしている医師はC群で多かったが, している医師の間では積極的にしている医師がG群で多かった。C群では医師自身の喫煙状態や喫煙に対する態度が禁煙指導の熱意と関連したが, G群ではこの関連を認めなかった。以上より, C群の医師は患者に禁煙アドバイスを行いやすい環境にあること, G群には専門診療分野の性格上これを行いにくい医師と禁煙指導に積極的な医師がいることが推測された。
著者
新谷 歳三 馬場 美智子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00163, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
10

災害時の基礎自治体への主な人的支援スキームは,「被災市区町村応援職員確保システム」として制度化された.加えて基礎自治体は,他の自治体間との応援協定の締結を進めているが,それらが災害時にどのように機能するかが十分に検討されているとは言えず,基礎自治体の受援計画が機能しない可能性が指摘されている.そこで本研究では,応援職員派遣と倉敷市の受援対応の状況を客観的に把握するために,平成30年7月豪雨で倉敷市が受け入れた応援職員やその支援業務の実態を分析し,(1) 人的支援スキーム毎に受援プロセスや特性が異なることを踏まえた運用,(2) 応援協定による事前の応援内容の協議,(3) 担当部署のマネジメント機能の確保が,基礎自治体の受援の観点から見た人的支援スキームに求められる要件と受援体制の課題であることを明らかにした.
著者
佐藤 勝重 中村 清一 小関 隆 山内 富美子 馬場 美智子 三上 正志 小林 龍一郎 藤川 晃成 長岡 滋
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.1037-1041, 1991-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2

56歳女性. 右耳痛・右顔面痛を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診, その後右耳介及びその周囲に水疱形成がみられ, 急性呼吸不全を呈して当科に紹介された. 血中抗帯状疱疹ウイルス抗体価は1,024倍と上昇, 神経学的に多発性脳神経麻痺を呈し, 胸部X線写真上右下肺野に浸潤影が見られた. 多発性脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群と診断, 急性呼吸不全の原因は反回神経麻痺による中枢部気道閉塞と嚥下性肺炎によるものと考えられた. 抗生剤と抗ウイルス剤 (アシクロビル) の併用により著明な改善がみられた. 文献的検索では, 下部脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群の報告は比較的少なく, さらに, 呼吸器合併症を呈した症例は稀であった.