著者
藤森 隆史 竹中 ゆかり 仲村 佳彦 江藤 茂 三渕 拓司 吉村 健清
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-5, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
16

血液の絞り出しおよび穿刺部位の違いが血糖値に与える影響を検討した。①非絞り出し群と絞り出し群,②指腹で穿刺した群(指腹群)と爪脇で穿刺した群(爪脇群)をそれぞれ2群間で比較した。①の血糖値は非絞り出し群が113(83 〜303)mg/dl,絞り出し群が116(89〜275)mg/dlであった。その差は5.0(−45 〜20)mg/dlで,絞り出しにより有意に血糖値は上昇した(p<0.001)。②の血糖値は指腹群が116(87 〜162)mg/dl,爪脇群が116(82 〜170)mg/dl であった。その差は−1.0(−28 〜14)mg/dlで,有意差を認めなかった(p=0.151)。穿刺部位の違いが血糖値に与える影響はないが,絞り出しにより,血糖値は有意に上昇した。絞り出しを避けるまたは絞り出しにより血糖値が上昇することを考慮した上でのブドウ糖溶液投与プロトコールの作成が望まれる。
著者
星 旦二 伊香賀 俊治 海塩 渉 藤野 善久 安藤 真太朗 吉村 健清
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.297-306, 2022-04-15 (Released:2022-04-26)
参考文献数
33

目的 本研究の目的は,我が国の冬期における戸建て住宅各室の室温と外気温の実態と共にその関連性について,国土交通省の定める省エネ地域区分別に明確にすることである。方法 本研究の対象者は,日本全国に居住している3,781人である。調査は2014年度冬季より,国土交通省の支援を得て全国的に実施されている,SWH(Smart Wellness Housing)事業の一環として5年間実施した。 各部屋別(居間・寝室・脱衣所)に測定された冬期二週間の床上1 m室温と床近傍室温,それに気象庁が測定した外気温の実態とともに,その関連について共分散構造分析を用いて解析した。これらの関連は,同時分析により全国の省エネ地域区分別に解析した。分析ソフトは,SPSS22.0とAMOS22.0を用いた。結果 冬季における住居内床近傍室温は床上1 m室温よりも低く,時間帯でみると床近傍ないし室温共に朝が低い温度を示した。部屋別室温較差は,居間と脱衣所間で大きかった。 室温を地域別にみると,省エネ地域2の室温が最も高く,省エネ地域4の室温が最も低いことが示された。冬期の外気温は各室温よりも床近傍室温と強い関連がみられた。結論 我が国の住宅床近傍室温は,床上1 m室温よりも低いことと,居間と脱衣所とでは大きな温度較差がみられた。省エネ地域区分4の住宅床近傍室温と床上1 m室温が最も低いことが示された。室温が外気温から影響される度合いは,省エネ地域7を除き地域番号とともに大きくなることが示された。
著者
関 明彦 瀧川 智子 岸 玲子 坂部 貢 鳥居 新平 田中 正敏 吉村 健清 森本 兼曩 加藤 貴彦 吉良 尚平 相澤 好治
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.939-948, 2007-09-15 (Released:2008-05-16)
参考文献数
130
被引用文献数
14 22

‘Sick house syndrome’ (SHS) is a health issue that closely resembles sick building syndrome (SBS) that had occurred in European countries. The aim of this review is to clarify the characteristics of SHS by reviewing previous reports rigorously. We propose the definition of SHS as “health impairments caused by indoor air pollution, regardless of the place, causative substance, or pathogenesis”. Cases of SBS are reported to occur predominantly in offices and sometimes schools, whereas those of SHS are usually found in general dwellings. In many cases, SHS is caused by biologically and/or chemically polluted indoor air. Physical factors might affect the impairments of SHS in some cases. It is considered that symptoms of SHS develop through toxic, allergic and/or some unknown mechanisms. Psychological mechanisms might also affect the development of SHS. It is still unclear whether SBS and SHS are very close or identical clinical entities, mostly because a general agreement on a diagnostic standard for SHS has not been established. Previous research gradually clarified the etiology of SHS. Further advances in research, diagnosis, and treatment of SHS are warranted with the following measures. Firstly, a clinical diagnostic standard including both subjective and objective findings must be established. Secondly, a standard procedure for assessing indoor air contamination should be established. Lastly, as previous research indicated multiple causative factors for SHS, an interdisciplinary approach is needed to obtain the grand picture of the syndrome.
著者
吉村 健清 溝上 哲也 徳井 教孝 渡邉 英伸 MARIO Miranda Gutierrez MIGUEL A. Garces
出版者
産業医科大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.目的:胃がんの疫学像は、Diffuse Type(DT)とIntestinal Type(IT)で異なっているため、胃がんのリスクファクターが組織型別に異なっているか否かを症例対照研究によって明らかにする。2.方法:組織学的に胃がんと確認された症例を症例群、症例と性、年令、病院をマッチしたがん以外の患者を対照群とした。生活習慣、食生活の情報は、質問表を用いて直接面接法によって得た。採決血清は、日本でH.PyloriとPrpsinogenについて測定した。解析はCoxの比例ハザードモデルを用いて、オッズ比(OR)を算出した。3.結果:《グアテマラ》1999年末までに胃がん例200例、対照例245例について面接調査が実施された。同年7月までのDT79組、IT107組、計186組について解析した。《コスタリカ》1999年末までに胃がん症例250例、対照症例259例について調査が実施された。そのうち同年7月までのDT74組、IT110組の計184組について検討した。主な結果は(1)冷蔵庫使用はDT、IT胃がんともにリスクを低める(グアテマラ)。しかし、コスタリカではリスクの上昇がみられた。(2)IT胃がんがDT胃がんより食品に関連が強い傾向が見られる。(3)DT、IT胃がんともH.Pylori感染がリスクを上げている結果は得られなかった。(4)Pepsinogen PGI/II比による萎縮性胃炎陽性者はDT、IT胃がんともにリスクを上げているが、コスタリカがより顕著である。今後、最終の症例収集を待って、最終解析を実施し、各分担分野に応じて、発表論文を作成する。
著者
西阪 眞一 宇戸口 和子 溝上 哲也 徳井 教孝 荻本 逸郎 池田 正人 吉村 健清
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.119-131, 1996-06-01
被引用文献数
3

健康度自己評価が,死亡に関わる様々な要因の影響を除いてもなお,独自に将来の死亡に関係するか否かを明らかにするために本研究を行った。対象は福岡県Y市の30-79歳の地域住民4,046名である。調査開始時に健康度自己評価と生活習慣に関する健康調査を行い,7年間の追跡調査を実施した。全解析集団を用い,性,年齢,喫煙,治療状況,肥満度,日常生活動作能力を調整して,自己評価が「健康でない」集団の,「健康である」集団に対する死因別の相対危険度を比例ハザードモデルを用いて算出すると,全死因,がん,循環系疾患,他死因の相対危険度はそれぞれ2.95 (95%CI; 1.93-4.50),2.96 (1.53-5.73),2.32 (0.86-6.26), 4.09 (2.12-7.89)であった。集団選択による偏りを除くために,追跡開始時に疾患をもっている者また追跡開始後最初の3年間の死亡者を除いて解析しても,前述の相対危険度のほとんどが若干低くなるが,実質的に大きな差はみられなかった。さらに前述の有病者,早期死亡者を同時に除いた解析でも,全死因の相対危険度は1.89 (0.91-3.94)と,自己評価による健康度と死亡リスクの関連がうかがえた。このことから健康度自己評価それ自体が死亡リスクに独自に影響する健康指標となり得ることが示唆された。
著者
吉村 健清 早川 式彦 溝上 哲也 徳井 教孝 八谷 寛 星山 佳治 豊嶋 英明
出版者
産業医科大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

地域住民を対象とした大規模コホート調査(JACC Study)の調査票情報および保存血清および1997年末までの予後追跡調査データを用いて、胃がんのリスク要因を解析した。死亡を結果指標としたコホート解析では、胃がんリスクを高める要因として、短い教育歴、胃がん家族歴あり(男:RR,1.6;女:RR,2.5)、男の喫煙(RR,1.3;喫煙開始10-19歳:RR,1.9)、女性では生殖歴・出産歴がないこと、胃がん検診未受診(男:RR,2.0)があげられた。家族歴では、特に女で母親が胃がんの塙合に高いリスクを示した。また胃がんには家族集積性があることも示唆された。一方で、これまで胃がん関連要因として報告されてきた緑黄色野菜・高塩分含有食品・緑茶の摂取との関連は明らかでなかった。追跡期間別に分けた分析方法を用いると、干物類は、胃がんがあると摂取が減少する可能性が示唆された。また、コホート内症例対照研究の手法により、調査開始時に採取された血清を用いて、IGF、SOD、sFAS、TGF-b1の4項目を測定、胃がん罹患および死亡との関連を検討した。TGF-b1は、女性において、4分位で最も低い群にくらべ、値が高い群ほど胃がん罹患・死亡のリスクが上昇する量-反応関係を認めた。その他の3項目は、罹患と死亡で一致した傾向は認めなかった。同様の手法により、胃がんとの関連が強いとされる血清項目を測定した結果、Helicobactor pylori陽性のオッズ比は1.2、pepsinogen低値(胃粘膜萎縮あり)のオッズ比は1.9であった。H. pyloriのリスクが比較的低かったことの理由として、本解析集団が高齢であることが考えられる。現在、H. pyloriのCag-A抗体について測定を進めている。
著者
児玉 泰 吉村 健清
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.469-480, 1983-12-01

我が国においては, 産業医学卒後教育に関する系統的なシステムは今日まで何等確立されていない. しかし, 産業医科大学設立の時点で, 特色ある産業医学の教育・研究は卒後教育において充実させるよう示されており, したがって本学卒業生や産業医に対して産業医学教育を行うことは本学の重要な使命の1つであると言える. 昭和59年春第1回の卒業生を世に送り出すに当り, 本学の産業医学卒後教育基本講座のカリキュラムや生涯教育を含めた我が国の産業医学教育のあり方を, 日本の現状を踏まえて考えることが必要であろう. その参考資料として, 産業医学に関する歴史的背景と経験を有する英米両国の現状を紹介する.(1983年8月15日 受付)
著者
伊藤 宣則 清水 弘之 吉村 健清 橋本 勉 早川 武彦 篠原 力雄 高塚 直能 徳井 教孝 笠松 隆洋 鈴木 康司
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.427-434, 1997-09-25
被引用文献数
5

Relationship between serum levels of lipid peroxides and carotenoids among the subjects randomly selected from the residents living in T-city, Gifu (GT), T-town, Wakayama (TW), H-city Hiroshima (HH), S-town, Fukuoka (SF), and Y-town, Hokkaido (HY) was investigated cross-sectionally. It was demonstrated that serum levels of β-carotene or cryptoxanthin were higher for GT and HY residents or for WT residents, while serum levels of lipid peroxides estimated by the thiobarbituric acid-reactive substances (TBARS) were lower for GT and HY residents, respectively. Moreover, there were some regional differences that serum levels of carotenoids such as β-carotene were inversely associated with serum TBARS levels for the residents, but not for HH residents with encumbrances of Japanese Americans. Serum TBARS levels were positively and significantly related with serum levels of n-3 unsaturated fatty acids such as icosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid, which were high intake in Japanese, but not significantly with serum levels of n-6 unsaturated fatty acids such as arachidonic acid.