著者
鈴木 一郎 清水 弘之 高橋 宏 石島 武一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.295-300, 1991-07-15 (Released:2012-10-29)
参考文献数
18
被引用文献数
8 5

We have originated cisternal irrigation combined with head shaking in order to remove subarachnoid clots rapidly and extensively. Eighteen patients with subarachnoid hemorrhage (SAH) due to ruptured intracranial aneurysms of the anterior part of the circle of Willis were studied. The degree of SAH as shown by CT was Group 3 on the Fisher's grading scale. Clipping was performed within 72 hours after the last bleeding. Continuous ventriculo-cisternal irrigation was carried out from 12 hours after the surgery, using solution with or without urokinase. The head was intermittently shaken (amplitude 4 cm, frequency 1.0-2.0 c/s) by a head-shaking device of our own making. The effect of head shaking on clot removal was evaluated by neurological examination, CT, and the volume of sedimentary clots in the draining fluid. Postoperative angiography was usually performed about 10 days after SAH.Although the number of patients was small for statistical analysis, the effect of head shaking on clot removal as shown by CT was remarkable. The subarachnoid clots with CT attenuation values of more than 60 in the basal and sylvian cisterns were usually washed out to the range (10-15) of normal cerebrospinal fluid within 48 hours. No delayed ischemic neurological deficits (DIND) occurred, and no low-density areas due to vasospasm were observed on computed tomography. Angiographic vasospasms were observed in only 2 cases, in which the diameter of the artery was less than 75% of that in the acute phase. But these vasospasms were limited to the area adjacent to the ruptured aneurysm.
著者
石阪 姿子 田中 彩乃 八木 麻衣子 西山 昌秀 岩﨑 さやか 立石 圭祐 大沼 弘幸 清水 弘之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI2198, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 変形性膝関節症(以下,膝OA)における股関節周囲筋筋力増強は膝関節負荷軽減や膝関節痛軽減,運動機能向上などの効果が得られたとする研究が散見され,トレーニングプログラムの一つとして行われることが多い.しかし実際に膝OA患者の股関節周囲筋の筋力水準を提示した研究は少なく,健常者と比較してどの程度の筋力水準なのかは不明である.よって運動処方の際に,目標とする筋力水準を設定出来ない現状がある. 本研究では膝OA患者の股関節周囲筋の年代別筋力水準を提示し,筋力低下の有無や程度を検討することを目的とした.【方法】 対象は当院に人工膝関節全置換術目的に入院した重度膝OA女性患者71名(以下,OA群)と過去6ヶ月に1週間以上の臥床経験が無く独歩可能で日常生活活動が自立し,さらに骨・関節疾患,脳血管障害,神経・筋疾患の既往や認知症が無いという取り込み基準を満たす女性56名(以下,コントロール群)の合計127名である. 筋力測定は等尺性筋力測定装置μ-Tas(アニマ社製)を使用し,股関節外転,伸展,膝関節伸展筋力を約5秒間の最大努力により2回測定,その最大値を記録した.OA群は手術予定側,コントロール群は全例右下肢の筋力値を採用,体重で除した値を用いた. 統計解析には統計ソフトSPSS(Ver.12.0J)を使用した.属性の比較,OA群とコントロール群の筋力値の水準比較には対応のないt検定を使用,筋力値に対する体重の影響を検討するために体重を共変量とし,共分散分析をおこなった.OA群,コントロール群各々における各年代間の筋力値の比較は一元配置の分散分析を使用した.なお,統計学的判定の有意水準は5%とした.【説明と同意】 倫理的配慮として当院倫理委員会の承認を得た(承認番号第1313号).対象者には研究についての適切な説明を行い十分に理解した上で同意を得た.【結果】 属性において両群の体重に有意差を認めたが,共分散分析を行った結果,筋力値に対する体重の影響は棄却された. 年代別筋力値の体重比(単位kgf/kg)を60歳代(OA群13名/コントロール群18名),70歳代(48名/20名),80歳代(10名/18名)の順に述べる.膝関節伸展筋力はOA群では0.26±0.10,0.27±0.09,0.24±0.05,コントロール群では0.47±0.14,0.39±0.09,0.38±0.10, 股関節外転筋力ではOA群では0.23±0.11,0.22±0.08,0.20±0.08,コントロール群0.33±0.08,0.28±0.05,0.27±0.09, 股関節伸展筋力ではOA群では0.23±0.11,0.23±0.08,0.23±0.07,コントロール群0.40±0.11,0.31±0.09,0.27±0.12であった.OA群とコントロール群との比較では80歳代の股関節外転,伸展筋力以外すべてにおいて有意にOA群の筋力が低値であった(p<0.05). また,コントロール群とOA群各々における各年代の筋力値の比較ではコントロール群の股関節伸展筋力にのみ60歳代から80歳代にかけて有意な筋力低下がみられたが(p<0.01),OA群では60歳代から80歳代にかけての筋力値に統計学的な有意差は見られなかった.【考察】 OA群ではコントロール群と比較し,従来から筋力低下がおこるといわれている膝関節伸展筋力のみならず,股関節外転,伸展筋力にも筋力低下を生じていることがわかり,その予防対策やトレーニングの必要性が示唆された.トレーニングプログラムとして股関節周囲筋の筋力増強を図る場合には,今回の結果から得られたコントロール群の年代別筋力値を目標値の一つとして使用できると考える.しかし,今回は筋力値とパフォーマンスや疼痛との関連,また,下肢のアライメントや身体活動量の違いなどとの関連は検討しておらず,今後の課題である. また,OA群ではコントロール群に見られる加齢による筋力低下の傾向が見られなかった.疾患由来による筋力低下が60歳代においてすでにみられるが,その後,加齢による筋力低下は見られない.重度膝OA患者ではあるが全例歩行が可能であったことから,今回得た筋力値は日常生活維持可能な最低限の筋力水準であることが予想された.高齢女性では予備体力低下が問題であり,今後は筋力低下を生じる前に予防策を講じる必要性があると考えられた.【理学療法学研究としての意義】 本研究の意義は膝OA患者において膝関節伸展筋力とともに,股関節周囲筋にも筋力低下を生じていることを示した点、またその水準を示した点である.股関節周囲筋の筋力トレーニングを実施するにあたり、目標値を設定する一助となると考える.
著者
清水 弘之 HO John H.C. KOO Linda C. 藤木 博太 松木 秀明 渡辺 邦友
出版者
岐阜大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

ホンコンでは、わが国と比べ鼻咽頭がんの罹患率が高く、EBウィルスと関係、あるいは塩魚との関係が注目されてきた。しかし、一般集団のEBウィルスへの感染率は日本、ホンコンとも極めて高く、EBウィルスのみでは、日本とホンコンとの差、あるいは発病すめ者としない者の差を説明しきれない。つまり、別の因子の介在している可能性が充分に考えられる。今回、気道内の細菌のプロモ-ション活性に注目して、研究を実施した。ホンコン・バプティスト病院へ通院中の鼻咽頭がん患者5名(男子4名、女子1名、年齢40ー68歳)の鼻咽頭部から粘液を採取、直ちにGAM寒天培地を用い、好気・嫌気両方の条件で37℃、48時間培養を行った。また、コントロ-ルとして、同病院で働く職員を5名(男子3名、女子2名、年齢36ー64歳)選び、鼻咽頭部粘液を同様に培養した。それぞれの培養菌体を一旦凍結乾燥したのち、その溶解物を用い、プロテインキナ-ゼC、^<32>PーATP、Ca、フォスファチジルセリンの存在下で、ヒストンに取り込まれる^<32>Pの量を測定することにより、プロテインキナ-ゼCの活性を観察した。プロテインキナ-ゼCの活性(mU/10μg)は次の通りであった(平均値と標準偏差):鼻咽頭がん患者からの検体の好気培養…20.0 ±11.0鼻咽頭がん患者からの検体の嫌気培養…13.2 ±11.0対照者からの好気培養………5.18 ±6.16対照者からの嫌気培養………10.4 ±17.16つまり、好気培養・嫌気培養の結果とも、鼻咽頭がん患者からの菌体の方で高い活性値が認められ、特に好気培養でその傾向が顕著であった。また、ホンコンにおいては、女性の喫煙率が低いにもかかわらず、女性肺がんが高率であり、一般集団での慢性の咳・痰も日本の約10倍と推定されている。そこで慢性痰を有する女性3名の喀痰を37℃、好気および嫌気条件下で48時間培養後、一旦凍結乾燥し、以下の燥作を行い、nonーTPAタイププロモ-タ-であるオカダ酸クラスが示す、プロテインキナ-ゼの活性作用を検討した。すなわち、凍結乾燥菌体を酵素で消化、凍結乾燥後、メタノ-ルで抽出し、その抽出液をジクロロメタン/イソプロパノ-ルに溶解する分画Iと、その沈渣である分画II、さらにメタノ-ル抽出の沈渣をジクロロメタン/イソプロパノ-ルに溶解した分画IIIに分け、酵素活性への影響を観察した。好気培養で発育した菌は、どの分画においてもプロテインキナ-ゼの活性作用であるオカダ酸様作用を示さなかった。しかし、2名から得た嫌気培養発育菌は比較的強い活性(特に分画Iにおいて)を示した。分離同定の結果、その菌は Streptococcus sanguis であることが判明した。以上、鼻咽頭患者の腫瘍部あるいはその近辺から採取した細菌の菌体(あるいはその分泌物)に何らかのプロモ-ション活性を示すものが存在する可能性を示唆する結果を得た。しかし、診断後時間経過の短い患者を選んだが、既にがんが発生した後の鼻咽頭部からの菌の分折であり、がん発生以前の状況は不明のままである。また、ホンコンの肺がん患者10例から喀痰を採取し、凍結乾燥を終えているので、慢性の咳・痰を有する患者の成績と比較すべく、分折を継続中である。
著者
永田 知里 清水 弘之 武田 則之 藤田 広志
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

乳がんリスクの指標としての血中・尿中エストロゲン値と生活環境要因の中からサーカディアンリズムに関わる睡眠・夜間照明・夜勤・生活リズム等、サーカディアンリズムの指標である尿中メラトニン値との関連性を成人女性、妊婦、幼児を対象に評価した。成人女性において、夜間照明への暴露あるいはサーカディアンリズムの乱れが内因性エストロゲン値を変化させ、ひいては乳がんリスクに影響を及ばす可能性を示唆した。
著者
永田 知里 清水 弘之 服部 淳彦
出版者
岐阜大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究は、各種アミノ酸やDNAメチル化に関与するメチオニン、葉酸、ビタミンB6、B12の食事からの摂取推定を可能とし、がん罹患との関連性を一般住民における前向き研究のデザインで評価することを目的としている。前年度では、岐阜県のがん登録および高山市医師会の飛騨がん登録より、高山市に1992年に開始されたコホート(高山コホート)内におけるがん罹患データを得たが、コホート内における死亡者、転居者の情報が把握出来ず、本年度、高山市での住民票閲覧、除票情報の提供、法務局への戸籍閲覧などを依頼した。未だ一部の情報が入手できておらず、また国の食品成分委員会による各食品中アミノ酸含有量改訂発表が遅れているが、まず、葉酸、ビタミンB6、B12摂取と大腸がんと乳がん罹患についての関連性を評価した。対象者は1992年9月前向き研究開始時にがん既往があると回答した者あるいはがん登録情報からこの時点でがんに罹患していたことが判明した者を除き、男性14,185名、女性16,560名であった。2005年末までの期間に新しく大腸がんと診断された者は男性277名、女性233名、乳がん罹患(女性のみ)は134名であった。年齢、喫煙歴、BMI、アルコール摂取量で補正後、男性におけるビタミンB12の上位1/3の高摂取群は下位1/3の低摂取群に比べ大腸がんハザード比が1.39と統計的に有意に高く(p=0.03)、またビタミンB6摂取も高摂取群はハザード比が1.37 (p=0.056)と高かった。しかし、これらの関連性は肉・肉加工品類摂取の補正により低下した。大腸がんリスクと葉酸摂取との関連性は認められなかった。女性では大腸がん、乳がんともこれらの栄養因子との関連は有意でなかった。多重共線性の問題に配慮しつつ、アミノ酸を含み、各栄養素、食品群の交絡の影響もさらに考慮する必要があると考えられる
著者
伊藤 宣則 清水 弘之 吉村 健清 橋本 勉 早川 武彦 篠原 力雄 高塚 直能 徳井 教孝 笠松 隆洋 鈴木 康司
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.427-434, 1997-09-25
被引用文献数
5

Relationship between serum levels of lipid peroxides and carotenoids among the subjects randomly selected from the residents living in T-city, Gifu (GT), T-town, Wakayama (TW), H-city Hiroshima (HH), S-town, Fukuoka (SF), and Y-town, Hokkaido (HY) was investigated cross-sectionally. It was demonstrated that serum levels of β-carotene or cryptoxanthin were higher for GT and HY residents or for WT residents, while serum levels of lipid peroxides estimated by the thiobarbituric acid-reactive substances (TBARS) were lower for GT and HY residents, respectively. Moreover, there were some regional differences that serum levels of carotenoids such as β-carotene were inversely associated with serum TBARS levels for the residents, but not for HH residents with encumbrances of Japanese Americans. Serum TBARS levels were positively and significantly related with serum levels of n-3 unsaturated fatty acids such as icosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid, which were high intake in Japanese, but not significantly with serum levels of n-6 unsaturated fatty acids such as arachidonic acid.