著者
高嶋 克義
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.61-76, 2013-03-31 (Released:2014-11-01)
参考文献数
31

環境変化に対応してマーケティング戦略の転換が要請される状況において,企業がその戦略転換を実行できないことがある。この問題については,これまで移動障壁として市場構造要因による説明がなされてきたが,本研究では企業が組織的な要因により戦略転換が制約される局面を捉えることにする。とくに脱コモディティ化のための製品差別化戦略の転換を例にあげて,企業がある組織アーキテクチャを選択し,それと補完的な制度と組織能力が形成されることに基づいて,その組織アーキテクチャと整合しない別の戦略への転換の困難性がもたらされる局面を説明するものである。
著者
奥野 友理子 本屋 愛子 高嶋 克義 徐 恩之
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.167-178, 2016
被引用文献数
1

<p>本研究の目的は,病院組織における新たな医療機器の導入に対する医療従事者の態度が,医療従事者の自己犠牲志向の程度と病院組織の部門間連携の状況によって影響されることを明らかにすることである。</p><p>本研究では,病院組織における新機器の導入に関する問題をイノベーション受容の視点から捉え,医療従事者の自己犠牲志向と部門間連携が新機器受容を高めることについての仮説を導出したうえで,医療従事者を対象とする質問票調査データに基づく仮説検証を実施した。その結果,医療従事者の自己犠牲志向が低い場合においては,部門間連携による新機器受容への正の影響が強まるものの,自己犠牲志向が高い場合には,その影響が弱くなることが確認され,医療従事者の自己犠牲志向の程度が部門間連携と医療従事者の新機器受容の正の関係を抑制する働きをすることが示された。この結果から,自己犠牲志向が高い場合には,医療従事者が他部門を巻き込むことへの配慮が高まり,新機器受容の意向を抑制することが推測された。このことに基づけば,病院組織の新機器導入を進めるためには,医療従業者の心理的要因を考慮する必要があり,部門間連携か自己犠牲志向の一方を高めるような戦略が有効であるという実践的インプリケーションを導くことができる。</p>
著者
高嶋 克義
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.40-51, 1997-01-10 (Released:2023-11-23)
参考文献数
15
被引用文献数
4
著者
高嶋 克義
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.33-51, 2007 (Released:2011-05-20)
参考文献数
43
被引用文献数
3

小売業態論は, 小売業態を分析単位として小売業態革新のダイナミクスにおける特徴を捉えるアプローチであり, 新規参入業者による業態革新と業態への収敏化という傾向を想定している。本研究では, これらの傾向を革新者のジレンマやドミナント・デザインといった技術革新論の視点で捉え直すとともに, この想定が抜本的アウトプット革新という限定的な革新概念からもたらされることを説明する。そのうえで, 抜本的革新一漸進的革新, アウトプット革新一プロセス革新という多様な革新を考慮し, 小売企業の組織能力による革新への影響を考えることで, 小売業態革新の展開には2つの対照的なパターンが存在することを理論的に導き出す。
著者
南 知惠子 高嶋 克義 平野 光俊 松尾 睦 坂川 裕司 近藤 公彦 猪口 純治 金 雲鎬 西岡 健一 森村 文一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、小売企業の成長を支える組織基盤の構築プロセスを解明することを目的とする。集権的な意思決定による成長戦略と分権的組織による組織能力の向上による成長戦略との併存を想定した。国内外の複数事例分析及び、全国の小売企業を対象とする質問紙調査を実施した。事例研究では、小売及び製造小売企業において、トップマネジメント主導の大規模投資による成長戦略を確認し、ビジネスモデルの類型化を行った。実証研究では、企業の革新性の正の影響に加え、組織基盤として情報システムの統合の影響が収益性に影響を与えることが明らかになった一方で、地域レベルでの標準化戦略は業績に負の影響を与えることが明らかになった。
著者
高嶋 克義 平野 光俊 南 知恵子 西村 順二 近藤 公彦 松尾 睦 金 雲鎬 猪口 純路
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の小売企業を対象とする質問票調査のデータに基づいて、小売企業の仕入革新・マーチャンダイジング革新に関する実証分析を進める一方で、アパレル小売企業やドラッグストア・チェーンの仕入革新についての事例研究を行い、その研究成果を論文で公表した。また、これらの研究を通じて、企業間関係、部門間連携、継続的な改善の3つの条件の相互作用を捉え、小売企業の仕入活動革新における企業間関係と部門間連携との関連性についての研究を展開した。