著者
丸子 敬仁 平野 光俊
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.31-41, 2021 (Released:2022-12-16)
参考文献数
36

The main reason for the increasing overtime work in Japanese companies is that allotment work is not properly divided among workers in the workplace. Nonetheless, recent reforms in work style to reduce overtime work have required each worker to change their behavior regardless of who has discretion. We conduct empirical research, focusing on the psychological state of employees compelled to reduce overtime work, analyzing such psychological state using the concept of work pressure. We also use the concept of work engagement as proxy variables for sense of meaningful work. A study was conducted using an Internet survey through Macromill, Inc. in November 2017 with questionnaires targeting regular employees working for Japanese companies. A total of 622 samples were obtained. Consistent with our prediction, we find that long overtime work harms work engagement when the degree of work pressure is high. We consider two reasons for this result. One is that long overtime work under strong work pressure may exhaust workers and reduce work engagement. The other is that the undermining effect has replaced the intrinsic rewards such as the fun things about work with the extrinsic rewards for objectives to reduce overtime work. There are two major theoretical contributions of this research. First, we use the concept of work pressure which allied studies have ignored in the Japanese work style context. Second, we find an adjustment variable that links overtime work and sense of meaningful work. The practical implication of this study is that changes in work style that strongly demand individuals to reduce overtime work may have a negative impact on the employees' work engagement. Rather than reforming work style by requiring individual workers to reduce overtime work, it is important for organizations to manage work allotment appropriately.
著者
江夏 幾多郎 平野 光俊
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.67-79, 2012-03-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
44

近年の日本企業で普及しつつある社員格付原理としての役割主義について理論的に定式化し,その機能要件を明らかにした.統計的分析の結果によると,能力主義と職務主義の性質を併せ持つ役割主義が業績に負の影響を与える傾向は,人事権が人事部に集中するほど弱くなる.また,対正規従業員比でスタッフ数が少ない,少数精鋭的でありうる人事部ほど,「役割主義×人事部集権」の機能性の向上に貢献できることが示された.
著者
平野 光俊
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.208, no.1, pp.21-36, 2013-07
著者
金井 壽宏 三品 和広 上林 憲雄 原 拓志 平野 光俊 高橋 潔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

長らく停滞した後、再復興期に入った日本の産業社会の活力の向上のため、企業の持続する競争優位性の元となる組織能力を再構築する必要がある。従来この議論は、たとえばリソースベースの経営戦略論として論じられてきたが、本研究では、組織能力構築に真に貢献できる、企業のコア人材、とりわけ経営人材と高度専門職人材に焦点を合わせて、人材の体系的な育成に関する理論的・実証的研究をおこなった。国家レベルの競争力を高めるうえで人材育成が果たす役割について米国を主たる比較研究も実施した。その結果、第1に、戦略の成功の問題は、人材育成の問題と切り離しては考えられないことが確認された。戦略的人的資源管理という名のもとに、戦略とリンクしてひとの問題を扱う重要性が示唆されてきたが、その育成内容は、次期経営幹部候補の体系的な育成、またその育成プロセスの加速化に焦点をあわせる研究が有望であることが判明した。また、どのように経営人材になるかという問題だけでなく、より早く最高経営責任者になり、より長く采配を振るう機会を与えることの重要性も確認された。第2に、経営人材、高度専門職人材を問わず、コア人材の育成は、フォーマルな座学の育成とのかかわりをけっして軽視することはできないが、産業のなかで、また個別の企業のなかで、いったいどのような仕事をどのような時期にだれのもとで経験するかという点がいっそう重要である。したがって、リーダーシップ開発の問題も、高度専門職の育成の問題も、なんらかの「経験の理論」にも裏付けられる必要があることがわかった。第3に、大きな展望としては、経営学におけるシステムに目を向ける視点と、ひとの問題を照射する視点とが今後は、意味ある形で統合されると、真に国家レベルの復興に経営学も貢献しうることが示唆された。経営学における人材育成を天下国家レベルの国の活力に結びつける研究への橋頭堡となった。
著者
南 知惠子 高嶋 克義 平野 光俊 松尾 睦 坂川 裕司 近藤 公彦 猪口 純治 金 雲鎬 西岡 健一 森村 文一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、小売企業の成長を支える組織基盤の構築プロセスを解明することを目的とする。集権的な意思決定による成長戦略と分権的組織による組織能力の向上による成長戦略との併存を想定した。国内外の複数事例分析及び、全国の小売企業を対象とする質問紙調査を実施した。事例研究では、小売及び製造小売企業において、トップマネジメント主導の大規模投資による成長戦略を確認し、ビジネスモデルの類型化を行った。実証研究では、企業の革新性の正の影響に加え、組織基盤として情報システムの統合の影響が収益性に影響を与えることが明らかになった一方で、地域レベルでの標準化戦略は業績に負の影響を与えることが明らかになった。
著者
上林 憲雄 井川 浩輔 厨子 直之 櫻田 涼子 千田 直樹 柴田 好則 平野 光俊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

21 世紀初頭の新しい日本型人的資源管理(HRM)システムのあり方として,コーポレート・ガバナンス制度や経営戦略の側面においては,1990 年代以降,グローバリゼーションや情報通信技術(ICT)革新の影響の下,かなりの程度変容し,「市場主義」的になりつつある。しかし,多くの日本企業は,組織・人的資源管理の側面においては,部分的には変化が見られるものの,従前の仕組みを残存させつつ新たなモデルを志向している実態が明らかとなった。こうした動向は,新しい日本型モデルを構築していくうえで大きなヒントになると思われる。
著者
高嶋 克義 平野 光俊 南 知恵子 西村 順二 近藤 公彦 松尾 睦 金 雲鎬 猪口 純路
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の小売企業を対象とする質問票調査のデータに基づいて、小売企業の仕入革新・マーチャンダイジング革新に関する実証分析を進める一方で、アパレル小売企業やドラッグストア・チェーンの仕入革新についての事例研究を行い、その研究成果を論文で公表した。また、これらの研究を通じて、企業間関係、部門間連携、継続的な改善の3つの条件の相互作用を捉え、小売企業の仕入活動革新における企業間関係と部門間連携との関連性についての研究を展開した。