著者
佐久間 汐子 清田 義和 中林 智美 高徳 幸男 石上 和男 宮崎 秀夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.567-573, 2005-10-30 (Released:2018-03-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

新潟県三島町では, 1歳児を対象に3歳まで6カ月ごとのフッ化物歯面塗布(F塗布)とフッ化物配合歯磨剤(F歯磨剤)の配布による家庭内応用を組み合わせたう蝕予防事業を実施した.本研究は, 本事業の有効性, F塗布とF歯磨剤の受け入れやすさの比較, F歯磨剤の付加的効果について評価することを目的とした.対象児は, 当該町の1990年度〜1998年度の3歳児健康診査, 1997年度〜2001年度就学児健康診査の受診児である.う蝕有病者率は有意に低下し, 3歳児では事業開始前の42〜47%から17%に, 就学児では同様に73%から51%に低下した.また, 就学児を個人別に分類すると, 事業参加群の1.54本に対し, ほかの2群は3本以上であった.受け入れやすさについては, F塗布の定期受療児の割合83.6%に対し, F歯磨剤を1日1回使用した幼児の割合は55.2%であった.F塗布の定期受療児でF歯磨剤の「1日1回使用」群と「使用せず」群との3歳児および就学児の有病者率の比較は, 就学児で有意差が認められた.さらに, 就学児のdf歯数を目的変数とする段階式重回帰分析で, 有意な説明変数は「1〜3歳までF歯磨剤を使用せず」のみであった.以上より, F歯磨剤の付加的効果が示唆された.乳歯う蝕予防対策としては, 受け入れやすさを考慮すると, 6カ月ごとのF塗布を基本にF歯磨剤の使用を付随する形で指導することが望ましいと考えられる.
著者
小林 清吾 田村 卓也 安藤 雄一 矢野 正敏 高徳 幸男 石上 和男 永瀬 吉彦 佐々木 健 堀井 欣一
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.192-199, 1993-04-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to evaluate the effects of a fluoride mouth-rinsing program (FMR) on dental health after the FMR program was completed. The state of dental health, including caries prevalence, was examined under blind recording conditions concerning participation in the FMR for 11th grade students in 10 public high schools, from 11 municipalities in Niigata Prefecture. The procedures of the FMR were carried out in these areas weekly, with 0.2% NaF, or daily, with 0.05% NaF, supervised by the classroom teachers in each school. The subjects, 321 in total, were classified into 3 rinse groups, each of which participated in the FMR for different periods of time, and a control group. The results of the statistical analysis showed increasing benefits in relation to increasing periods of participation. The reduction rate of caries prevention was the highest in the F11-group, subjects who participated in the program for 11 years from 4 to 14years of age. The F11-group was 56.0% lower in the mean DMFT and 81.8% lower in the mean number of highly progressed carious teeth than the control group, with statistical significance in both cases. The percentage of students who had toothaches or who were absent from school in order to visit a dentist was lower in the rinse groups than in the control group. We conclude that, in countries such as in Japan where caries prevalence is relatively high, a school-based FMR program throughout the school years is profoundly effective in preventing the occurrence and the progression of caries, and it could be the foundation of lifelong dental health care.
著者
安藤 雄一 高徳 幸男 峯田 和彦 神森 秀樹 根子 淑江 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.248-257, 2001-07-30
被引用文献数
14

成人を対象とした歯科健診は低受診率による選択バイアスが生じやすいことから,1999年度に行われた第4回新潟県歯科疾患実態調査では,従来の歯科健診のみによる方式から,あらかじめ調査対象者全員に質問紙を配布して歯科健診を行う方式に切り替えた。本論文では,歯科健診の受診率と質問紙の回答率,健診受診者と非受診者の特性を比較することにより,新たに採用した調査方式の有用性を評価することを目的とした。調査地区は,新潟県内14保健所に1〜2地区を割り当て,23地区を抽出した。調査対象者は,対象地区内に在住する1歳以上の全住民3,561名とした。歯科健診の受診率は35.3%と低く,年齢・性差が大きかった昿質問紙の回収率は83.2%と高く,年齢・性差は小さかった。質問紙の各項目について健診受診の有無別に比較した結果,自己評価による現在歯数は60〜70歳代で受診者のほうが多かった。これは,歯科健診のみによる従来型の調査方法を採用し,受診率が今回のように低い場合,高齢者の現在歯数が過大評価されることを示唆している。また,歯科健診の受診者は,非受診者に比べて,口腔の自覚症状を有する割合が高く,歯科医院を早めに受療し,歯石除去経験のある割合が高かった。以上より,今回新たに採用した調査方式は,対象集団の実態を正しく示すために有用と考えられた。