著者
二宮 周平 田中 通裕 村本 邦子 渡辺 惺之 櫻田 嘉章 中野 俊一郎 佐上 善和 渡辺 千原 山口 亮子 松本 克美 立石 直子 松村 歌子 廣井 亮一 酒井 一 織田 有基子 長田 真理 高杉 直 北坂 尚洋 黄 ジンティ 加波 眞一 樋爪 誠 中村 正 団 士郎 佐々木 健 松久 和彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

家事紛争の中でも未成年の子のいる夫婦の紛争は、当事者の葛藤の程度に応じて3段階に分けることができる。葛藤が低い場合には、情報の提供や相談対応で、合意解決の可能性があり、中程度の場合には、家裁の家事調停において、調停委員や家裁調査官の働きかけによって合意解決の可能性がある。DVや児童虐待など高葛藤の場合には、家裁の裁判官が当事者を説得し、再度の和解や付調停により合意解決を図るとともに、監視付き面会交流など公的な場所、機関によるサポートや養育費の強制的な取り立てなど裁判所がコントロールする。当事者の合意による解決を促進する仕組みを葛藤の段階に対応して設けることが必要である。
著者
西谷 祐子 高杉 直
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本計画研究は,インターネット上での著作権侵害について,国際裁判管轄及び準拠法のルールのあり方について検討することを目的としていた。本研究においては,まず第一に,アメリカ合衆国及び欧州の判例及び学説の動向について研究を行った。アメリカについては,特にインターネット上での音楽ファイル交換に関するプロバイダー及びプログラム開発者の責任をめぐる連邦最高裁判決について考察した。欧州については,特にドイツの判例及び学説,欧州司法裁判所の判例,そしてスイスの学説について検討をした。また,欧州共同体については,国際裁判管轄及び外国判決の承認に関する一般的なルールである2000年ブリュッセルI規則及び2004年欧州債務名義規則について検討を進めたほか,契約債務の準拠法決定に関するローマI規則,そして契約外債務の準拠法決定に関するローマII規則の制定に向けた欧州委員会及び欧州理事会・欧州議会の動向について丹念にフォローアップした。第二に,アメリカ法律協会(ALI)及びマックス・プランク無体財産法及び競争法研究所(MPI:ミュンヘン)は,各々数年前から国際知的財産法に関する国際裁判管轄及び準拠法決定の原則案(Principles)について検討を進めており,近いうちにルールとして公表する予定である。特にALIルールは,アメリカ抵触法のアプローチを色濃く反映した柔軟なルールで,知的財産権に関する属地主義を緩和するものであり,MPIルールと比較検討することで,非常に有益な示唆を得ることができた。また,MPIミュンヘンとマックス・プランク外国私法及び国際私法研究所(MPI:ハンブルク)は,2007年2月23日に共同で国際裁判管轄に関するブリュッセルI規則及び契約準拠法に関するローマI規則提案について知的財産権の取り扱いに関する意見書を提出しており(http://www.mpipriv.de/ww/de/pub/aktuelles/content3075.htm),本計画研究を終了する直前にまとまった意見書に接し,総合的な検討を行うことが出来たのは有益であった。そのほか,研究全体と関係する論点として,国際私法固有のアプローチの検討のみならず,実質法上のソフトローの形成とそれによる紛争処理の可能性についても考察をした。