- 著者
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山口 亮子
- 出版者
- 京都産業大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2013-04-01
国内で親が子を連れ去った場合は、人身保護手続きや審判前の保全処分によるが、日本の子の奪取事件の手続きと効果は、ハーグ条約案件とは異なり、子を即座に元の状態に戻す制度ではない。本研究では、その違いと日本の親権法における問題点を明らかにした。次に、アメリカにおける、他方親の同意のない無断転居を制限する立法と裁判基準等を検討し、子の奪取防止と親子の交流確保に有効であることを示し、ドメスティック・バイオレンス事件の手続きと保護について調査した。これらの研究により、子の奪取問題は単なる家庭の私事ではなく、国家が対策すべき課題であり、国家の家族への一定の介入が必要であることを示した。