- 著者
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高橋 昭雄
- 出版者
- 合成樹脂工業協会
- 雑誌
- ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.1, pp.34-41, 2012-01-10 (Released:2014-04-22)
- 参考文献数
- 26
- 被引用文献数
-
4
省エネやCO2 排出量の削減を目的に,自動車,電車,産業機器類の電動化と電子制御化による効率向上が進 められている。このため半導体製品の高機能化と高電力密度化が求められ,半導体素子の発熱量は増加している。特に,ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)の出現とともにエレクトロニクス化が急速に進む自動車はFig. 1 に示すように,100 個に達する電子制御部品(ECU)が搭載されている。さらに,MEMS 技術が応用されたほぼ同数のセンサも使用されている。Fig. 2 に示すようにパワー密度の向上に伴 い電子制御系,電力制御系共に,高温での過酷な環境に長期間曝される。この環境に耐えて,デバイスを保護するための性能がこれら電子部品の封止材料および配線基板材料に必要となっている。また,数百アンペアに達する大電流が流れるパワーデバイスも使用されるため,200℃付近の高温に耐える,これまでにない長期耐熱性も要求される1),2)。エレクトロニクス実装の主体をなす半導体封止材やプリント配線基板材料には,エポキシ樹脂が使用され,耐熱性の点から改良が進められてきた。本論では,HEV,EV を対象としたパワーデバイスを実装するための高分子材料の現状と将来方向について研究状況も含めて総説する。