著者
伊藤 大輔 安井 敬三 長谷川 康博 中道 一生 勝野 雅央 髙橋 昭
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.481-485, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

症例は65歳の女性である.再発性の小リンパ球性リンパ腫に対し,半年間rituximab等が投与され,めまいと小脳性運動失調が発症した.頭部MRIで両側中小脳脚病変を認め,進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)を疑い,髄液中JC virus(JCV)-DNA PCR検査を数回施行し,4回目に初めてJCV-DNAが検出され,診断が確定した.小脳萎縮を認め,granule cell neuronopathyの合併が示唆された.Mirtazapineとmefloquineの併用治療により長期生存が得られた.PMLでは両側中小脳脚の病変で発症する例がある.また,病初期には髄液検査でJCV-DNAが陰性のことがあり,繰り返し検査する必要がある.
著者
髙橋 昭
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.926-929, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

日本の神経学はオランダの軍医Pompeから19世紀中期に長崎に導入された.その門下の司馬凌海は日本最初の神経治療薬を紹介した.その後,ドイツからBaelzが来日,その門弟らが1902年に「日本神經學會」を創設した.当時の日本は国民病の脚気が神経学研究の中心であった.しかし,神経学者は脚気の病因として感染説あるいは中毒説を掲げ,正鵠を射ることができなかった.Vitamin B1欠乏が確立されると神経学の研究は下火となった.神経学の講座の独立が遅れたこと,講座制のため神経学が正しく継承されなかったこと,神経症候学,神経診断学などの教育が不十分であったことなどから,戦前日本の神経学は一時低迷した.診断学が充実され,神経内科講座が独立し,神経内科学が隆盛したのは戦後になってからである.
著者
髙橋 昭
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.328, 2016-04-01

「こんな本があったら」と,かねて願っていた本が出版された。勘違い,手落ち,不手際,不覚,思い込み,などさまざまな誤りは,神ならぬ人にとって避けて通れない性である。しかし,医療には,誤りは許されず,細心の注意と配慮が求められる。 誤り(誤診)の原因は,患者側にある場合と診察者側にある場合とがある。本書の序論に相当する「誤診(診断エラー)の原因と対策」の章では,原因を①無過失エラー,②システム関連エラー,③認知エラーの3種に類型化し,さらにそれらを細分した分類を引用し,本書で扱われている各症例の誤診原因をこの分類と照合させている。本序論は必読の価値がある。
著者
田口 宗太郎 中村 友彦 山田 孝子 髙御堂 弘 道勇 学 髙橋 昭
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.29-32, 2015 (Released:2015-01-19)
参考文献数
13

症例は61歳の男性である.感冒様症状に続き,便秘,座位での眼前暗黒感,嘔気が出現.座位にて顕著な血圧低下あり.末梢神経伝導検査(NCS),心電図CVR-R,MIBG心筋シンチ心縦隔比は正常.血中LD,IL-2Rの高値と脊椎MRIから腫瘍がうたがわれた.傍腫瘍性自律神経ニューロパチーを考えたが原発巣不明.発症2ヵ月後,四肢遠位部手袋靴下型感覚障害と筋力低下が発現し増悪,発症4ヵ月後のNCSで異常を呈し,免疫グロブリン療法を施行したが無効.発症5ヵ月後,顔面皮疹からT細胞性悪性リンパ腫と診断.本例は自律神経不全で初発,末期に感覚運動障害を併発.T細胞性悪性リンパ腫の傍腫瘍性神経症候群としては稀有である.
著者
髙橋 昭雄
出版者
明石書店
巻号頁・発行日
1994-03
著者
髙橋 昭雄
出版者
アジア経済研究所
巻号頁・発行日
1986-03