- 著者
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柳本 ひとみ
櫻井 秀彦
古田 精一
黒澤 菜穂子
- 出版者
- 一般社団法人 日本在宅薬学会
- 雑誌
- 在宅薬学 (ISSN:2188658X)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.11-26, 2019 (Released:2019-05-20)
- 参考文献数
- 22
薬剤師の在宅業務において,薬物療法に有益な業務と課題を探索することを目的とし,web アンケート調査を行った.回収数は208 名であった.回答は5 件法とし,属性により層別化し比較を行った.「薬剤師が行う業務確認項目」および「患者/家族あるいは多職種からの情報確認項目」について,因子分析およびクラスター分析により回答群を分類し,属性と関連付けた.結果として,薬剤師は,「薬効」「副作用」などは確認しているが,患者の日常生活動作の確認には「性別」で差が見られ,患者/家族あるいは多職種からの情報収集の頻度は低くかった.分類された5 つのグループと「性別」は関連があった.薬物療法評価に役立つものは,「アセスメントシートを多職種で共有する」であった.今回示した16 項目の業務例の中で必要と思う業務を実施した場合,薬剤師は,「薬物療法の成果」「患者/家族のQOL」が向上し,「医師や看護師など多職種との連携が良くなる」「医師の治療方針に自分の意見が反映される可能性が高くなる」と考えていた.今後,薬剤師は,在宅業務確認ツール作成や,多職種共通尺度により薬物療法の評価を行うことで業務向上を図る必要がある.