著者
高橋 芳樹 鎌滝 哲也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.288-296, 2001-06-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
22
被引用文献数
1
著者
北川 晴雄 鎌滝 哲也
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.266-281, 1971-07-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
114
被引用文献数
1 1
著者
山崎 浩史 藤枝 正輝 冨樫 正浩 Ujjin Pailin 中山 佳都夫 斎藤 鉄也 鎌滝 哲也
出版者
日本薬物動態学会
雑誌
日本薬物動態学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23, 2003

【目的】トリメチルアミン(TMA)は,肝によって臭いの少ないTMA N-oxide(TMAO)に大部分が変換され,主に尿に排泄される.この肝の変換酵素であるフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO3)の遺伝的多型に伴う機能低下によって,未変化体TMAが尿,汗および呼気などに排泄され,不快な体臭を引き起こす.魚臭症候群(TMA尿症)に関しての欧米での広範な研究に対し,アジアでのTMA尿症の報告例はほとんどない.そこで,本疾患に対する科学的対処方法を確立することを目的とし,タイ人と日本人における尿中のTMA排泄を測定し, 食品成分のTMA排泄に及ぼす影響やFMO3の遺伝子多型を調べた.【方法】タイ人男性1名は,呼気の臭気の判定から医師によって,TMA尿症と診断された.日本人は,自己申告によって, TMA尿症が疑われる被験者と健常対照群を用いた.GC-FIDを用いて尿中の総TMAとTMAを測定し,TMA代謝効率をTMAO/(TMA+TMAO)とした.【結果および考察】タイ人6名および日本人健常人20名のTMAの代謝効率は95%以上であった.一方,魚臭症候群と診断されたタイ人の尿中TMA代謝効率は91%であった.尿での代謝効率が70-90%を示し,魚臭症候群が疑われる日本人7人を見出した.血液検査の結果,乳酸脱水素酵素値と尿中TMA代謝効率とに逆相関が認められた.経口摂取した活性炭や銅クロロフィリンがTMA代謝効率を改善させることも見出した.タイ人魚臭症候群患者は,FMO3のTMA N-酸化反応のVmax/Kmを低下させる新規遺伝子変異(G265A)のヘテロ接合体であった.日本人から新規C613T変異遺伝子を検出した.以上の結果から,青年期から発症する魚臭症候群は,肝機能障害,食事およびFMO3新規遺伝子多型の影響など,複合した原因による可能性が示唆された.
著者
斉藤 嘉津彦 清水 瓊子 岡崎 正子 伊林 至洋 端 和夫 前野 康次郎 石井 清二 土橋 和文 島本 和明 戸田 貴大 黒澤 菜穂子 大和田 栄治 加藤 芳伸 大山 徹 梅津 有理 千田 道洋 有吉 範高 鎌滝 哲也 板谷 幸一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.228-234, 2001-06-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

In recent years, genome science has undergone radical changes and numerous advances have led to the development of its use in medical practice. In particular developments in pharmacogenetics have demonstrated that genetic polymorphism is responsible for inter-individual differences in the drug metabolism. This study was conducted to identify the genetic polymorphisms of CYP 2C 9 and CYP 2 C19 using PCR-RFLP, and the application of a gene analysis was investigated in TDM or pharmaceutical management and in counseling services for patients. In a patient with the following pharmacokinetic parameters for phenytoin, for Km=6.69 μg/mL and Vmax = 3.62 mg/day/kg, and a largely decreased metabolic activity of CYP 2 C9 compared to the general population, the genetic differences in CYP 2 C9 could be determined in genomic DNA based on the patient's peripheral blood. Based on this finding, the effective dose for medication was calculated and administered to the patient. In addition, during medical consultations, both written and oral information in an easily comprehensible form could be given to patients with genetic polymorphism. These procedures allow a for the careful matching of the patient to the right medication and dose. This study indicates the possible application of a genetic analysis of CYP to “Evidence-Based Medicine” in the field of pharmaceutical management in order to control the dosage in individuals and to improve patient counseling.
著者
有吉 範高 布谷 憲一 高橋 由紀 宮本 昌美 醍醐 聡 梅津 有理 横井 毅 木村 寛三 Philippe BEAUNE 鎌滝 哲也
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.57-61, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
28

CYP2A6 has been characterized as a coumarin 7-hydroxylase in humans. A large interindividual difference in the activity of coumarin 7-hydroxylation suggested an existence of genetic polymorphism of this enzyme. In fact, CYP2A6*2 variant allele which has T→A substitution, leading to amino acid change from Leu160 to His160, has been found in Caucasian population as the most frequent mutation in poor metabolizers (PM) of coumarin. Although several drugs used clinically or under development such as fadrozole, losigamone and methoxyflurane are recognized at present to be good substrates of CYP2A6, no specific substrate of this CYP isoform has been known until we found a drug, SM-12502. In the phase I trial, 3 out of 28 Japanese subjects were classified as PM of the drug. In vitro studies demonstrated that CYP2A6 played a major role on the metabolism of the drug. Genomic analysis revealed that the PM phenotype was caused by the presence of a novel CYP2A6 gene variant which lacks the entire region of open reading frame encoding the enzyme in the PM. Thus, we designated the variant as “deletion-type” allele. We examined the frequency of individuals carrying homozygous deletion by a genotyping method established in our laboratory. Thus, the frequency was estimated to be 3-4% in Japanese. We found another CYP2A6 gene variant whose 60 bp in the 3'-untranslated region was substituted by the corresponding region of the CYP2A7 pseudogene. This variant was designated as “conversion-type” allele. We found that the allele frequency of the conversiontype was comparable to that of wild-type, CYP2A6*1 allele in Japanese. We also compared the frequency of the CYP2A6*2 allele as well as the deletion and the conversion alleles between Japanese and Caucasian. Consequently, a marked interracial difference in the frequency of the genetic variants of the CYP2A6 gene was observed. These results give an interesting insight into racial difference in response to drugs and evolution of the CYP2A gene subfamily in humans.
著者
加藤 隆一 鎌滝 哲也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.97-101, 1983

"病は気から"などと言っても, 頭がズキズキする, 腹が痛いなど, どうにも我慢できないときもある。薬を何回か服用しても治らないときは, "多めに飲んだら少しは楽になるかも"と考える。あまり良くならないけれど"やめたらもっと悪くなるかも知れない"と思って長期に渡って服用することもある。そのようなとき, "こんなに薬を飲んで大丈夫かな"とふと不安になる人もいるだろう。事実, 大量にあるいは長期に渡って薬を投与すると, 毒性あるいは副作用が現れることがあり, それが死亡例などであればマスコミも格好のネタとばかりに大々的に報道する。
著者
笹月 健彦 石川 冬木 野田 哲生 鎌滝 哲也 伊東 恭悟 丹羽 太貫 中村 祐輔
出版者
国立国際医療センター(研究所)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本領域は、発がんの分子機構の解明を第一の目標とし、第二に細胞のがん化防御およびがん化した細胞の排除機構の解明を目指し、併せてがん研究の最終目標であるがん克服のための道を拓くことを目的とした。発がんの分子機能の解明のために、研究対象を分子・細胞レベル、臓器・個体レベル、家系・集団レベルにそれぞれ設定し、遺伝子および染色体の構造の安定性と機能発現のダイナミクスに関する恒常性維持機構、内的外的発がん要因によるこれらのゲノム維持機構の破綻と細胞のがん化の関連、新しい発がん関連遺伝子の同定および既知遺伝子も含めたこれら遺伝子群の変異に引き続く多段階発がんの分子細胞生物学的機構、を解明することを目指した。一方、発がん防御の分子機構の解明に当たっては、生体が備え持つ数々の恒常性維持機構によるがん化の防御、免疫系によるがん細胞の排除機構を分子レベルで解明することを目指した。DNA二本鎖切断によるチェックポイントの活性化、二本鎖切断の相同組換え機構と、それらの破綻と発がんの関係が明らかにされた。ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんとの関係が確立され、そのがん化機構の鍵となる分子が発見された。動物個体を用いてのがん関連遺伝子の機能解析により、Wntシグナル、Shhシグナル、PI3-Akt経路といったシグナル伝達系が生体内において果たしている役割と発がんにおけるこれらの活性化の重要性も明らかとなった。胃がん発症に関与する遺伝子の候補領域が同定され、21番染色体候補領域から胃がん感受性遺伝子が同定された。多数の癌関連抗原を同定すると同時に、NK細胞活性制御に関与する分子同定の分野やTヘルパー細胞の癌排除における役割、NK細胞やマクロファージなどの自然免疫系の特異免疫誘導における役割の分子レベルの解明も行われ、これら基礎研究成果の臨床応用のための探索的臨床研究の進展もみられた。

1 0 0 0 OA P450と発がん

著者
山崎 浩史 鎌滝 哲也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.119, no.4, pp.208-212, 2002 (Released:2003-01-21)
参考文献数
19

ヒトのがんの大部分は環境中に存在する化学物質にその原因があると考えられるようになった.発がん物質の多くは不活性な物質であり,生体内で代謝的に活性化されてその作用を発揮することが知られている.しかし,代謝過程で不安定な中間代謝物の生成が見られ,これらの活性中間体がDNA等を攻撃することにより発がん性を示すことが観察されている.この反応に関与する薬物代謝酵素の中にチトクロムP450(総称をP450,各分子種をCYP)と呼ばれる一群の酵素がある.化学物質の発がん性と関係の深い変異原性を調べるバクテリア試験菌株に,ヒトP450を導入することで,実験動物ではなく,ヒトにおける代謝を調べると同時に,反応性に富む代謝中間体のDNA損傷性を高感度に検出できる系が樹立されている.動物のin vivoにおけるがん原性の作用発現におけるP450の役割を明らかにする目的で,CYP1A2,CYP1B1およびCYP2E1遺伝子のノックアウトマウスが作出された.これらのノックアウトマウスにおいては,典型的な発がん性物質を投与してもその発がん性が極めて劇的に低減することから,哺乳動物種におけるP450の役割がin vivoにおいて明らかとなった.ヒトのP450を実験動物に発現させた世界最初の例はヒト胎児に特異的に発現しているCYP3A7である.ヒト胎児に特異的に発現するP450であるCYP3A7を導入したトランスジェニックマウスは,ヒトの胎児に対する発がん性物質などの毒性の一部を推測するための強力な遺伝子改変動物となることが期待された.肝外臓器において,遺伝子改変の結果発現したCYP3A7は発がん性アフラトキシンを代謝的に活性化した.しかし,肝においては,マウス固有のCYP3A酵素の影響を受け,その役割は必ずしも明らかにすることはできなかった.P450の比較的ゆるやかな基質特異性を考慮し,宿主の対応するP450をノックアウトして,ヒトP450遺伝子を導入すると,優れたヒト型の遺伝子改変動物を用いた薬理学的研究のツールとなるであろう.