著者
森津 千尋 Chihiro MORITSU 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.233-243, 2020-03-06

本稿では、婦人雑誌における新婚旅行記事を資料として、大正から昭和初期にかけての新中間層における新婚旅行の普及について検討を行った。新中間層が主な読者層とされる婦人雑誌においては、まず理念的な新婚旅行の提唱や検討から始まり、次第に実践を前提とした具体的なアドバイスや携帯品の紹介等の実用記事へと内容が変化していく。そして著名人や読者の新婚旅行体験記が掲載されるようになり、新婚旅行はいくつかの誤解や失敗がありつつも「よい思い出」として語られることで、肯定的に再生産されていく。このように婦人雑誌で取り上げられるようになり、明治後期にはまだ「憧れ」であった新婚旅行は、大正末期から昭和初期にかけて新中間層の間で普及し、婚礼儀式の一部として実践されていく。そしてその結果、この時期には、同じ場所へ同じスタイルの新婚旅行夫婦を運ぶ「新婚列車」が登場し、新婚旅行の大衆化・画一化がさらに進んでいく。
著者
永松 敦 足立 泰二 陳 蘭庄 篠原 久枝 宮崎公立大学民俗学演習 Atsushi NAGAMATSU Taiji ADACHI Lanzhuan CHEN Hisae SHINOHARA SEMINAR-MMU FOLKLORE 宮崎公立大学人文学部 宮崎大学 南九州大学 宮崎大学 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities Miyazaki University Minami Kyushu University Miyazaki University Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.121-200, 2020-03-06

現在、伝統野菜・在来野菜のブームが地域創生との関連で湧き上がっている。特定の地域に根差した食材としての野菜を地域づくりに活用する試みが、全国各地で展開している。ただ、伝統野菜・在来野菜の定義が曖昧なまま広範囲に利用だけが促進されると、逆に、地域文化の改変、及び、損失につながりかねない状況も起こりうる危険性も孕んでいる。本稿では、従来の見解を一度、整理しなおし、宮崎、鹿児島(種子島)の事例を中心に、理想的な伝統野菜・在来野菜利用のあるべき姿を探ってみたい。 末尾に、在来野菜に関する助成事業の報告書3種を添付する。
著者
寺町 晋哉 Shinya TERAMACHI 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.77-101, 2020-03-06

本稿では、教職に就く予定の学生がもつ友人関係の経験に着目し、それらの経験が彼(女)らの教職観をいかに規定するのかを明らかにする。そのことで、彼(女)らが教師となり教育実践を続けていきながら、彼(女)らの固有の経験が職業的社会化といかなる関係を築いていくのかを明らかにしていくための出発点として本稿を位置づける。 分析の結果、以下のことが明らかとなった。第一に、彼(女)らの友人関係の経験や学級経験は、彼(女)らの生徒指導観や学級経営観を支える重要なものとなる可能性が示唆された。職業的社会化と教師個人の側面との関係性を考える上で、こうした友人関係の経験を重要な変数として考えていく必要がある。教師として生徒指導や学級経営の実践を行なっていく中で、関係性の経験が再解釈されたり、その経験に強く規定されることで、職業的社会化と教師個人との関係を明らかにすることができるだろう。 第二に、彼(女)らの関係性への認識はジェンダー化されているという点である。しかし、協力者たちがジェンダー・ステレオタイプを有していると批判することが目的ではない。従来の「ジェンダーと教育」研究が明らかにしたように、学校教育経験はありとあらゆる場面で、ジェンダー化されたているため、彼(女)らもまた、ジェンダー化された存在であり、関係性に対するジェンダー化された認識というのは、現状の学校教育を考えると当然の帰結だと考えられる。ジェンダー化された関係性への認識と学校現場との相互作用を描いていくために、教職課程学生がジェンダー化された関係性への認識をもっていることと、それをもつに至った経験を本稿では明らかにした。
著者
四方 由美 大谷 奈緒子 北出 真紀恵 小川 祐喜子 福田 朋実 Yumi SHKATA Naoko OTANI Makie KITADE Yukiko OGAWA Tomomi FUKUDA 宮崎公立大学人文学部 東洋大学 東海学園大学 東洋大学 宮崎公立大学 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities Toyo University Tokai Gakuen University Toyo University Miyazaki Municipal University
出版者
宮崎公立大学人文学部
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.63-80, 2017

本稿は、女性が被疑者・被害者とされる事件の報道を分析し、ジェンダーの視点から犯罪報道を考察したものである。新聞報道を対象にKH コーダーを用いて頻出語句を抽出した上で、共起ネットワーク分析を行い、事件報道において何がどのように関連付けて伝えられているのか、数量的かつ体系的にとらえることを試みた。その結果、犯罪事件の新聞報道における女性被疑者、および女性被害者の伝えられ方について、いくつかの特徴をみることができた。