著者
植松 利晃
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.536-545, 2003
被引用文献数
3 9

科学技術振興機構(JST)では学術論文誌の電子ジャーナルの発行を支援するJ-STAGEを平成11年から運用している。現在,利用の拡大への対応と利用学協会からの要望の実現,海外の電子ジャーナルサイトと同等の機能の実装を目指しJ-STAGE2というプロジェクト名称で開発を行っている。J-STAGE2ではデータを集中管理することで利用の拡大に伴う運用コストの増加を抑えるとともに資料横断検索が可能となった。また,投稿審査システムや編集システムといった学協会が利用するインタフェースの作業効率の向上を目指した。本稿ではJ-STAGEをとりまく最新状況と新たに追加される機能である早期公開やバーチャルジャーナル,全文HTMLといった新しい閲覧モデルや閲覧者専用のエリアを提供するMy J-STAGE機能を紹介する。
著者
クレイネス スティーブン ケンパー ブライアン 郭 維森 中村 豊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.322-342, 2007 (Released:2007-09-01)
参考文献数
16

EKOSS(オントロジーに基づく,専門知識セマンティック検索)は,セマンティックWebの技術を応用して,学術知識を共有するために開発された。記述論理に基づくオントロジーを用いて,コンピュータが意味論的に処理できるセマンティック記述を科学研究者自ら作成し,論文,データベースなどの知識リソースに付与し公表する環境が,EKOSSのWebサイトによって提供される。そして,そのセマンティック記述に対して論理的推論に基づく推論を適用することにより,EKOSSのセマンティック検索システムは,学術知識を探すユーザーの要求する内容に該当する知識を正確に検索することができる。知識のニーズとシーズを意味的にマッチングするので,EKOSSシステムは学術知識の研究者同士の共有だけではなく,社会への知識移転とさらなる有効活用を支援することが期待できる。
著者
小池 ユリ子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.181-190, 1992

本稿は平成4年度科学技術週間行事,科学技術情報講演会の再録である。テレビのニュースキャスターとして過したこの4年間の世界の激動を,ニュースを伝える側での様々なエピソードを披露しながら述べた。またソ連崩壊後の世界秩序の再構成に向けて始まった様々な動きを,演者の専門分野であるアラブ,イスラム地域を中心に自身の予見も含めて述べている。最後に,今世紀初めの新聞記事「二十世紀の予言」を引きながら,21世紀に向かってより高い望みと豊かな発想を持ちたいと希望を述べた。
著者
矢間 伸次
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.280-287, 2000

成熟期・衰退期における製品開発に必要なのは創造力である。創造力を生み出すには情報の収集・整理・分析が必要とされる。つまり,創造力とは情報を構造化することである。我々は課題を解決する手段は身に付けている。しかし,課題を見つけ出すことは不得意である。研究には実験研究と調査研究がある。コンセプトの良い研究テーマが見つかるまで実験研究をやるべきではない。じっくりと調査研究を繰り返し続けることである。調査研究には課題を解決する目的調査と課題を見つける探索調査がある。このレポートは探索調査に使うためのデータベース作りを述べたものである。併せて,各自の創造力を共有し伝承する知的プラットホームの構築を提言するものである。
著者
ウォーカー トーマスJ. 時実 象一 :訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.678-694, 1998
被引用文献数
2 5

フロリダ昆虫学会ではその学会誌Florida Entomologistの印刷版下ファイルからPDFファイルを作成し,インターネットに無料でアクセス提供している。また添付資料や著者のWebサイトへのリンクをAuthorLinkとして著者に販売している。これらの経験から,学会はPDFによる電子別刷りを,速報を希望する論文著者に販売して得る収益により,すべての論文をインターネット上で電子アクセス提供できることを主張する。背景として学術雑誌発行の歴史と最近の定期刊行物の危機について解説している。
著者
和田 光俊 久保田 壮一 尾身 朝子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.63-68, 2006
被引用文献数
1 4

JSTが提供している科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)は,日本の学協会が発行する学術論文誌等を公開するための電子ジャーナルサイトである。2006年2月末現在,269誌のジャーナルと90種の予稿集が公開され,登載論文数は約17.6万件である。総ページアクセス数は月間100万件を超え,毎月30万件以上の論文がダウンロードされている。J-STAGEへのアクセスの約7割は海外からであり,国別では120か国に及んでいる。また,論文へのアクセスの約6割は他サイトからのリンク経由であり,そのほとんどはPubMed等の文献データベースから論文本文へのリンクによるものである。過去に発行された論文へのニーズも高く,2005年度からは,主要なジャーナルを創刊号にまで遡(さかのぼ)って電子化して公開する電子アーカイブ事業が開始されている。

1 0 0 0 OA JAPAN/MARCの概要

著者
田村 貴代子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.568-579, 1981 (Released:2012-09-28)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

国際的レベルでのMARC開発の背景とその意義, さらに, それに伴う各種の標準化について触れた。次に, 国立国会図書館の書誌情報提供システムの概要を述べ, このデータベースを利用してのJAPAN/MARCについて, その開発経過と詳細仕様を解説した。特にJAPAN/MARCのレコード・フォーマットを中心に, その特徴およびキャラクタ・セットに言及した。
著者
森 臨太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.855-864, 2018

<p>1992年に設立され,系統的レビューの手法を確立したコクランは,現在130か国・地域を超える3万7,000人の人々が協力して,手軽に無料で入手できる信頼性の高い医療情報を提供している。設立当初から,研究や診療の意思決定に医療消費者(患者)の参加を真摯に取り組んできた。医療消費者はコクランの系統的レビューの査読を行い,設定したゴールが適切か,コクランのメッセージがわかりやすいかなどに重点をおいてチェックする。完成したコクランレビューには抄録のほか一般語訳が必ず付けられ,いくつかの国・地域では,研究教育機関だけではなく,市民に広く公開されている。研究や診療政策現場における医療消費者参加の現況を踏まえ,今後,医療消費者が「どのように参加するか」が重要になると考えられる。</p>
著者
青柳 宏紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.679-686, 1994

日刊編集センターが開発&middot;運用している「ラジオ&middot;テレビ番組情報編集配信システム」の概要&middot;特徴&middot;運用について述べる。本システムは, 放送局から発表になる資料からラジオ&middot;テレビ番組表と同解説記事を効率的に制作配信する事を目的にしたシステムである。このシステムで制作した情報は, 主に新聞や雑誌のラジオ&middot;テレビ欄に利用されている。
著者
西岡 常夫 開発担当
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.447-454, 1975

和文タイプライタの発展過程,現状,将来の問題点を解説した総合展望。まず和文タイプの機能および機構とその具備すべき要件を解説し,ついでその発展過程を大正4年の1号機から現在まで概観する。和文タイプと使用者とのインタフェイスの面を特に取りあげ,文字数,文字盤,活字,文字配列が各メーカ・各機種により多種多様であることを示し,その標準化の困難さを指摘する。最後に和文タイプが清書・植字機械に止まっている現状から,情報システムの入力機械として脱皮すべきことを強調する。
著者
大向 一輝
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.440-447, 2013
被引用文献数
1

政府・地方自治体・公的機関による情報公開の取り組みの一環として「オープンデータ」が注目を集めている。欧米の動きと比較すると,日本におけるオープンデータの普及が遅れていることは確かであるが,行政機関や市民の努力によって,急速にデータの質・量ともに充実が進んでいる。本稿では国内における先進例を紹介し,今後の展望について議論する。