著者
木原 一雄 加藤 多恵子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.351-355, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
16

日本をはじめ,地形的に地震発生の可能性のある地域での図書館の地震対策は喫緊の課題である。図書館での地震発生時での図書館,および図書館員の対応について述べる。図書館が地震に遭遇した場合,まずは図書館利用者,図書館スタッフの人命を守る,次に図書館資料を守ることである。いずれにしても図書館の免震構造,および図書館内の設備の耐震の工夫は重要である。その中でも書架の構造,固定などは地震発生被害を経験して,いくつかの教訓が得られている。日本の阪神淡路大震災,カリフォルニア州で発生した2件の地震に関連して図書館が遭遇した被害について触れた。
著者
渡邊 由紀子 冨浦 洋一 吉田 素文 岡崎 敦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.53-62, 2011 (Released:2011-05-01)
参考文献数
7

九州大学は,2011年4月に大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻(修士課程)を新設した。本稿では,現在,社会でどのような人材が求められているのか,そしてその認識から,どのようにカリキュラムを設計したのか等,新専攻の構想と意義を紹介する。まず,専攻設置の背景を概観し,次に,教育研究上の理念と目的を示す。続いて,養成する人材像と予想される進路について述べ,企業や図書館等を対象としたアンケート調査の結果などから,それらの人材像に対する社会的ニーズを明らかにする。最後に,人材養成のための教育課程および教員組織の編成の考え方と特色について説明する。
著者
渡辺 喜代美
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.266-272, 2010 (Released:2010-08-01)
参考文献数
3
被引用文献数
3 2

近年,洋雑誌の高騰が続いたため,購読誌が激減してしまった。その打開策として,冊子体を購読中止し,電子ジャーナルを導入し,情報の効率的な活用に努めている。しかし,電子ジャーナルもまた,毎年値上げがあり,今後の利用頻度によっては,別の入手方法に切り替えることも想定される。オープンアクセスやリンクリゾルバ等の活用も含め,今後の活用については課題が多い。本稿では,近年の洋雑誌の価格高騰(いわゆるシリアルズ・クライシス)に対する企業の情報部門における対応について事例を報告する。まず弊社の知的財産部の情報関連実務について2章で紹介した後,3章で雑誌価格の高騰に対する当社の対応について詳述する。4章で,今後の課題と展開について述べる。
著者
Weber Jurgen 吉次 基宣
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.366-370, 2005
被引用文献数
1

アンナ・アマリア公爵夫人図書館の建物と収集品は,1998年以来ユネスコの世界文化遺産に登録されている。2004年9月2日のアンナ・アマリア公爵夫人図書館の大火は,第二次大戦後ドイツ最大の図書館火災であり,建物,美術品,書籍などに多大な被害をもたらした。このレポートでは,消火作業と書籍の救出の状況を説明し,被害を受けた図書の修復の準備状況について報告したい。
著者
丸山 史郎 坂本 比呂志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.233-240, 2010 (Released:2010-08-01)
参考文献数
7

爆発的に増え続けるテキストデータから,どのようにすれば重要な情報を素早く取り出すことができるか,どのようにすれば効率的なデータ管理が可能となるか,さまざまな研究が進められている。本稿では,そのひとつの解決策として,データ圧縮とその関連技術を取り上げる。そのような技術のうち,データ圧縮を用いることで飛躍的に情報検索の規模を高めることができる手法と,その技術を用いることで従来のキーワード検索では拾いきれないデータ同士の関連情報を大量のテキストデータから取り出すメタ情報検索の可能性を解説し,この技術の将来展望を述べる。
著者
喬 暁東 梁 氷 李 穎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.256-265, 2010 (Released:2010-08-01)

科学技術文献の提供を保障することは国家イノベーションのための戦略である。学術誌の購入費用の高騰を背景に,中国にとっては,その提供サービスは国が保障しなければならない。中国において,このシステムを「国家科学技術デジタル図書館(NSTL)」という。この記事はNSTLの位置づけから最新の展望までの全貌を述べる。具体的に,まずはNSTL設立の背景,NSTLの目標と戦略的な位置づけを紹介する。次にこの論文の本体である,NSTLの運営体制,NSTLの科学技術文献資料の種類と業務フロー,NSTLが提供するサービスおよびそのシステムの構築について述べる。最後にNSTLの展望を簡単にまとめる。
著者
福田 博同 五十殿 利治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.790-809, 1997 (Released:2001-04-01)
参考文献数
67

文部省科学研究費補助金データベース公開促進費の援助により「筑波大学日本美術シソーラスデータベース作成委員会」が作成した「日本美術シソーラスデータベース:絵画編」を基に,美術シソーラスデータベース作成に関する以下の問題点を明らかにした。第一に日本における美術データベースの現状と課題。第二に美術分野におけるAATや各目録のシソーラスとを比較し,日本標準となり得るシソーラス形成のため(1)ディスクリプタ収集の問題点(2)時代区分,地域区分,名号や読み,あるいは階層構造の決定など。第三に筑波大学学術情報処理センターのオンライン情報検索システムUTOPIA(紹介はhttp://www.tsukuba.ac.jp/sipc/utopia.htmlにある)へ組み込みの問題点。
著者
高橋 しのぶ
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.145-154, 2010 (Released:2010-06-01)

経済協力開発機構(OECD)は世界最大のシンクタンクとして,他の国際機関に先駆けて,充実したオンライン・ライブラリー・サービスを提供している。このたび,OECD iLibraryという名称で一新したオンライン・ライブラリーと,統計データベースOECD.Statの効果的な使い方を,OECD東京センターに寄せられた質問を例に挙げながら示すとともに,実際にご購読いただいている日本とアジアの大学でOECDのデータベースがどのように受け止められ,利用されているかを紹介する。
著者
福原 美三
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.301-312, 2006 (Released:2006-09-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

オープンコースウェア(OCW)はMITが2001年に開始した「大学で正規に提供されている講義についての情報のインターネットによる無償提供」である。日本では2005年5月に大阪大学,慶應義塾大学,京都大学,東京工業大学,東京大学,早稲田大学の6大学で一斉に本取り組みを開始した。日本でのOCW活動は本年の4月に日本オープンコースウェアコンソーシアムが設立され,試行の段階から本格普及を目指す段階に入った。本稿では活動の現状を紹介するとともに,これまでのほぼ1年間での取り組みを通じて明らかになった課題・展望などについて述べる。
著者
植松 利晃
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.327-335, 2010 (Released:2010-09-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

独立行政法人科学技術振興機構(JST)は,2010年6月1日にJ-GLOBAL(科学技術総合リンクセンター)試行版(β版)1.3をリリースした。J-GLOBALは,「つながる ひろがる ひらめく」をキャッチフレーズに,これまでバラバラに存在していた科学技術情報をつなぎ,発想を支援するユニークなサービスであり,JST内外のさまざまな専門的なサービス等と連携し,質の高い科学技術情報をより効果的に流通させることで,わが国のイノベーション創出に貢献することを目指している。本稿ではこれまで実施したJ-GLOBALの機能改善の概要を中心に,J-GLOBALが目指す方向性について紹介する。
著者
難波 英嗣 藤井 敦 岩山 真 橋本 泰一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.334-342, 2009 (Released:2009-09-01)
参考文献数
6

本稿では,第7回および第8回NTCIRワークショップにおいて実施された特許マイニングタスクと,このタスクで構築されたテストコレクション(評価用ベンチマーク)について述べる。特許マイニングタスクの最終目標は,ある分野の論文と特許から,技術動向マップを自動的に作成することである。本稿では,特許マイニングタスクで実施された2つのサブタスク:(1)学術論文分類と(2)技術動向マップ作成について説明する。また,国際的に利用されている特許分類体系のひとつである国際特許分類(IPC)に,学術論文を自動分類するシステムを紹介する。