著者
山口 克彦
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.634-637, 2011-08-05
被引用文献数
2 1
著者
品岡 寛 富田 裕介 求 幸年
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.762-766, 2012
参考文献数
22

磁性体における相互作用の乱れは,スピンがランダムに凍結するスピングラスを引き起こす.しかし近年,従来のスピングラス描像では説明の難しい奇妙なスピングラス挙動が多くの磁性体で見出されている.本稿では,こうした系に共通してみられる幾何学的フラストレーションに着目した理論研究を紹介する.フラストレーション系に本質的に潜む乱れに対する敏感さと,スピン格子結合によるエネルギー縮退構造の準離散化の協調効果として,こうした奇妙な振る舞いの多くが理解できることを示す.
著者
清水 順一郎 井口 洋夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.755-764, 2001-10-05
被引用文献数
1
著者
小貫 明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.779-785, 2008-10-05
被引用文献数
1

19世紀後半にvan der Waalsは気体・液体相転移の理論を提出した.しかし蒸発・気化のように潜熱の関与する動的側面は意外にわかっていない.気体液体転移が起ると温度は不均一になり流体運動には潜熱輸送が重要になる.ヘリウムの超流動転移においては,線形熱伝導率が有限から無限になる.しかし転移点近くでは熱流による非線形効果が顕著になり,常流動・超流動界面が形成され,重力と熱流が拮抗して特異な自己組織化状態が実現される.
著者
河盛 阿佐子
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.368-375, 1992-05-05

光エネルギーによる葉緑体のチラコイド膜上の電荷分離に続く電荷移動は, 電子スピン共鳴で微視的過程を追いかける格好の対象である. 筆者がこの複雑な生体系の研究に着手し, 暗中模索した1980年当初から考えると, いまはこの系が研究材料の宝庫であることを確信するに到った. 電荷の担い手はクロロフィル・ラジカルなどタンパク質に含まれるフリーラジカルや, マンガンなどの遷移金属元素であるが, 観測にかかるスペクトルは実に様々な情報をもたらす, その解読は物性物理の問題を解くことであるが, この種の謎解きの面白さはこの分野がかなり解明されてきた現在でもまだ暫く続くだろう.
著者
中西 襄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.p29-34, 1980-01

一般相対論と量子論の統合という物理学の基礎的問題は長い間未解決に残されてきたが, このほどようやく満足すべき重力場の共変的正準量子論ができあがった. この解説では, この理論がどのような背景のもとに形成され, どういう構成をもつかの概略を説明する. 問題の性質上かなり専門的な式の使用は避け難いが, 式の内容が理解できない読者にも話のすじ道だけは解って頂けるように書いたつもりである.
著者
柳 哲文 中尾 憲一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.37-43, 2012-01-05

宇宙原理は現代宇宙論の根幹となる作業仮説であり,その観測的検証は観測的宇宙論において最も大きな挑戦の一つといえるだろう.本稿ではIa型超新星の距離-赤方偏移関係,CMB観測,赤方偏移ドリフトなどを用いた宇宙原理の観測的検証に関する最近の研究について報告する.近年の観測技術の発展は宇宙原理の観測的検証を可能にしつつあり,それゆえ,宇宙原理を前提としない宇宙モデル,すなわち非一様な宇宙モデルの理論的な研究が重要になってきた.このような宇宙モデルにおける観測量について簡単に解説しながら,これまでに得られた制限と将来の展望について報告する.
著者
池内 了
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.865-872, 1992-11-05

観測された事象を基に宇宙の年齢や平均密度など, この宇宙の基本パラメータを決めようとする観測的宇宙論が急進展している. その一つの重要な目標は, 銀河というこの宇宙を構成する基本単位と, その大規模な分布がいつ形成され, どのように進化してきたかを明らかにすることである. そのためには, より遠くの, 従ってより過去の銀河を見つけ出し, 年齢順に並べてゆくことが必要である. 現在はまだ点の情報で, 全体の進化を論じうる線の情報や, 大スケールの構造を調べうる面の情報にはなっていないが, 宇宙の過去の情報が垣間見えるようになってきた. それらをまとめつつ, どのような宇宙進化のシナリオが構想されるかを考えてみよう.