著者
中村 健蔵
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.720-721, 2004-10-05
著者
宮本 雲平
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.610-614, 2011-08-05
被引用文献数
1

真空中に存在できる4次元ブラックホールは種類も限られ,比較的単純な構造を持つ.しかし,ひとたび高次元時空を考えると真空でも様々なブラックホールが存在し,多様な現象が起こる.例えば,高次元では球以外にも円筒・平板・トーラスといった形状を持つブラックホールが存在し,それらの間で不安定性を引き金とした「相転移」さえ起こる.そのような動的過程は非線形性の強い複雑な現象と予想されるが,近年発見された「流体・重力対応」を用いれば平易な流体力学として記述できるという.本稿では,一般相対論・流体力学の基礎までさかのぼり,流体・重力対応のエッセンスと高次元ブラックホール研究への応用を紹介する.
著者
佐藤 哲也
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.79-85, 2003-02-05
参考文献数
1
被引用文献数
3

地球シミュレータの第一義的使命は,地球環境変動(地球温暖化,エルニーニョ,台風,地殻変動)のメカニズムを深く理解し,その変動を的確に予測することを可能にするシミュレーション基盤を固めることにある.しかしながら,その性能は予想をはるかに上回るものであり,単に従来のシミュレーションの解像度,精度を上げるという定量的な貢献と同時に,システムを部分(要素)に分解し,システムから切り離し,その部分のメカニズムを解明するという従来のシミュレーションから脱皮飛躍し,ミクロからマクロまでのプロセスが複雑に絡み合っておりなすシステム全体の営みを,ありのまま探求する"ホリスティック"コンセプトを打ち立てる研究手段としての使命を担っている.
著者
勝木 渥
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.399-401, 1970-05-05
著者
飽本 一裕
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.570-572, 2008-07-05
参考文献数
11
著者
高部 英明 野本 憲一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.84-92, 1998-02-05
参考文献数
51
被引用文献数
2

レーザー核融合研究の根幹を成す大出力レーザー技術は飛躍的に進歩し, それを用いた爆縮実験で太陽中心に匹敵する温度・密度のプラズマが実験室で生成されている. 高強度レーザーを用いることにより星の進化等で見られる高温・高密度の流体・輻射現象を実験室で研究することが可能となる. 本稿では, 宇宙物理, 特に星の進化に関するクリティ力ルな問題点の一部をレーザーを用いた模擬実験により解決し得る, という研究シナリオを模索しつつある現状について紹介する.
著者
永井 正也 廣理 英基 田中 耕一郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.919-922, 2011-12-05
参考文献数
34

誘電体結晶にパルス面制御された高強度の超短光パルスを照射すると,100kV/cmを越える最大電場のピコ秒モノサイクルパルスが発生する.これを用いて物質中の電子や分子をコヒーレントに大振幅で運動させることで,新規な物性の発現が期待される.また準DC的強電場印加の手段として物質の内部電場を直接支配できる可能性がある.
著者
中嶋 貞雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.699-705, 1996-10-05
著者
福山 秀敏
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.614-623, 1976

この数年, 相次いで低次元的な電子系が作り出され, 興味ある新しい現象が見出されている. とくに従来理論的可能性としてしか理解されていなかったバイエルス転移が, 実際に観測されるようになってきた. 現在までに明らかにされた実験的事実と, それに伴い理論的な新しい問題として登場した電荷密度波とそのピン止めを中心に紹介する.
著者
冨田 誠
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.927-933, 1991-11-05
被引用文献数
7

乱れた媒質中において電子波が持つ量子的コヒーレンスは, 電子のアンダーソン局在やコンダクタンス揺らぎを引き起こす. 最近, この電子の振舞に厳密に対応のつく現象が光の領域で明らかにされつつある. 光のアンダーソン局在を実現させる可能性が追求されるとともに, スペックルとして知られている光の揺らぎと電子系でのコンダクタンス揺らぎとの間の高い類似性も認識される様になってきた. 超短時間パルスの発生など光独自の実験手法を生かしたアプローチは, 電子を初めとするランダム系での波動の輸送現象の解明にむけて新しい展開を促すかもしれない.
著者
前田 健吾
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.94-97, 2010-02-05
参考文献数
14

AdS/CFT対応は,高速金原子核同土の衝突実験の結果を理論的に説明するなど,強結合領域のゲージ理論の理解に威力を発揮する.近年は,強相関効果が重要となる高温超伝導体などの強相関電子系の理解を目指して,AdS/CFT対応が物性理論の分野にも応用されつつある.最近になって,超伝導体の重力モデルがAdS/CFT対応を用いて構築されたので,それを紹介するとともに,このモデルの問題点などを議論する.
著者
中村 勝弘 馬 駿
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.233-242, 2001-04-05
参考文献数
24

ケルヴィン卿の歴史的講演に初登場した古典ビリアードから,ナノテクノロジーにより出現した量子ビリアードの最前線までを簡単にレヴューする.考察の主な対象は,ビリアード壁との衝突を繰り返す電子のカオス運動である.ニュートンカ学に従う粒子と異なり,電子は干渉,回折などの量子効果を示す.その結果現れてくるカオスの量子論的兆候を量子カオスと呼ぶ.ここでは,電子のドブロイ波長がビリアードの特徴的長さ(サブミクロンスケール)より十分小さい場合,つまり,半古典領域の電子の量子カオスを取り上げる.本稿では非線形動力学,統計力学との関係で将来性のある問題(軌道分岐,周期倍加現象,アーノルド拡散とそれらの半古典理論)をわかりやすく解説する.最後に,量子カオスの将来(未来?)に言及する.
著者
伊達 宗行
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.657-669, 1970

およそ次元数を自由に変える, ということは数学, そしてせいぜい理論物理学までのことである. 現実の物質は厳として3次元性を主張しつつ時間軸の中を泳いでいる. しかし対象を限れば(というよりも限定して見ることの出来る対象を選べば), 実はかなりきわどい所まで現実を脱却出来る. その代表的例が "一群の結晶における電子スピンとその相関" である. そこでどんな浮世ばなれしたことがおきるのか? 低次元磁性は決して "次元の低い低級な話" ではない.
著者
永田 一清
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.670-679, 1973

最近, 低次元磁性体のスピン相関がかんしんをもたれている. この低次元化の魅力は, もちろん統計理論上における有利さにあるが, その真のねらいは, むしろスピン系の"次元数"を実験的なパラメータとして積極的に導入することにある. それによってスピン相関の距離及び時間依存性を, 温度とはまた別なかたちで変えることができ, スピン相関の問題を新しい視野から把らえることが期待されている. 本稿では最近の低次元磁性体の常磁性共鳴の研究を中心に, スピン相関と常磁性共鳴吸収の位置, 線形, 線幅などとのかかわりを探る.