著者
永田 一清
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.838-847, 1979

最近, 磁気共鳴が, スピン系の遅い変動を探る有力なプローブとして見直されている. 本稿では, 久保・富田の理論を基礎にして, 磁性体の次元数, スピン相関関数の長時間的なふるまい, 常磁性共鳴吸収スペクトル等の相互の関係を統一的に扱ってみる.
著者
石原 明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.863-866, 1995-11-05
参考文献数
20
著者
井上 太郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.830-837, 2000-11-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
14

我々は通常,宇宙は無限に拡がっているものと思い込んでいるが,実は有限の体積をもち,無限に繰り返している有限な周期構造を「無限」と錯覚しているのかもしれない.然らば,我々は如何にして,宇宙の多重連結性,即ち「有限性」を知ることが出来るのであろうか? 本稿では宇宙背景輻射の非等方性を用いた宇宙の多重連結性の観測的検証について解説する.
著者
川合 葉子 鉄尾 実与資 岡本 正志 永平 幸雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.122-125, 2000-02-05

大学や研究機関の移転や改築に伴って,古い物理学実験機器が数多く出てきて廃棄処分になることも少なくない.そういう機器の中に,近代日本の物理学史,物理教育史の貴重な資料が含まれていることを最初に明らかにしたのが,京都大学に保存されている第三高等学校由来の物理学実験機器の調査・研究である.この機器群は数が多いだけでなく,当時の輸入教科書もよく残されており,購入台帳や事務関係の文書も揃っているので,機器の史料的価値の研究を可能にしている.以下に具体例を挙げながら,その内容を紹介する.
著者
太田 信義
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.616-623, 2005-08-05

標準的な宇宙模型によれば, ビッグバン後の宇宙初期にはインフレーションと呼ばれる大きな宇宙膨張の時期があったと考えられている.この振舞は一般相対論と素粒子の理論を用いて説明されるべきものと考えられるが, 超弦理論あるいはその現代版であるM理論ではそのような振舞は許されないという禁止定理がある.本稿では, インフレーションの概略をまとめた後, この禁止定理はどのようなものかを説明し, それを乗り越えて最近進展したインフレーション宇宙の現状について解説したい.
著者
南 不二雄 井上 久遠
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.455-462, 1995-06-05

入射光の2倍のエネルギーが物質の励起エネルギーに共鳴(2光子共鳴)した際に,最低次の非線形光学過程である光第2高調波発生(SHG)現象は顕著な増大効果を示す.特に,非共鳴なSHGが発生しない偏光配置(禁制配置)では,SHGの共鳴増大効果がより顕著に観測できる.ここでは,半導体中でのSHG共鳴効果を偏光禁制配置で調べた例を解説し,この現象が半導体を調べる新しい,優れた分光方法を与えてくれることを示す.
著者
丸 信人
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.545-548, 2010-07-05

小林・益川両氏によって素粒子の標準模型における「CP対称性の破れ」の機構が提案され実験でも検証されたが,現在の物質・反物質の非対称性を十分に説明できない.本稿では,高次元理論に基づいた新しいCP対称性の破れの機構について最近の研究成果を解説する.
著者
坂口 英継
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.733-736, 2005-09-05
被引用文献数
1

心室細動と呼ばれる不整脈は心臓突然死の主因になっており, その発生メカニズムの解明, および細動を除去する有効な除細動法の開発が急務となっている.この高頻度で不規則な振動は, 心室内を旋回するスパイラル波動が複雑に分裂して生じると考えられている.非線形物理学の立場からスパイラル波動の不安定化のメカニズムおよびスパイラルカオスを除去する方法を考察する.
著者
大出 義仁
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.892-898, 1996-12-05

気体の圧力の下限は零であるが, 液体ではその圧力は負となりうる. 液体分子が分子間力の及ぶ距離で運動しており, 分子間相互作用ポテンシャルに引力部分があるからである. 負圧下の液体は熱力学的には準安定で容易に気相を核生成するため, その'引っ張り強さ'以外の物性はこれまで殆ど測定されていない. そこで, 熱力学的な負圧発生法であるBerthelot法を使って高負圧発生技術の可能性を調べた. 容器壁との界面でおきる気相の核生成確率を低下させるよう, 予め脱ガスしておいた金属容器に抜気した液体を密封し, 多数回温度サイクルを施すことにより, 水および有機物について-20MPaを発生させた. 気相の核生成理論から予測されるそれぞれの引っ張り強さの約1/7および1/2を越す負圧である. 容器表面の微細な孔状欠陥に保持されていたガスが負圧により液中に抜き出されるとき気相の核生成が起きるが, これらの表面欠陥への容器材内部からの不純物ガス供給率がこのレベルの負圧を制限していることが解ってきた. さらに高負圧が液体に発生維持できれば, これまで見逃されてきた極端環境となりうる.
著者
石村 多門
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.636-644, 1999-08-05

いわゆる「構造主義」の思想的核心として, 「構造的因果性」なる概念を取り出すことができよう. それは, フランスの哲学者アルチュセールが提起した, 全く新しい因果概念である. 「因果性」という言葉で, 我々がまず真っ先に思いつくのは, 時間的先後関係によって因果性を捉える「継起的因果性」の観念であろうし, 少数の人は, 全体が部分を規定するという「全体的因果性」を思い浮かべるかもしれない. しかし, そうした因果観念は「非科学的」なものにすぎず, これらの観念に依拠して思索を進めている限り, 科学的認識を構築することはできない, というのがアルチュセールの主張であった. 本稿では, こうした挑戦的な企図に立った「構造的因果性」概念の意義について, これまで余り論じられてこなかった視角から敷延することに努めたい.
著者
井上 達也
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.814-817, 1995-10-05

人為的であれ自然現象に対してであれ,一般に設計はある要求条件に対しそれを充足するよう行われる.速くという条件に対し高速鉄道を設計したり,地震に耐えるという要求に橋梁の耐震設計を実施したりである.特に要求が自然現象に対してである場合,自然現象の詳細な特性把握が適切な設計を実施する上で重要であり,それが厳密性を有し正確であればあるほど要求に対する適合性或いは耐力の高い設計となる.原子炉の耐震設計も自然現象に対してであるからこれと同様であって,一連の設計の中で要求条件の特性把握に相当する"想定する地震の大きさの決定"が重要である.これを含め,わが国原子力発電所の耐震設計は,学者,専門家らによって策定された国の耐震設計審査指針によって設計されており,ここに紹介する原子炉の耐震性もそれをもとにした設計の考え方の紹介である."原子炉"と総称したが,具体的には原子炉建屋に入力する地震動の大きさ決定に説明の主眼を置いており,それを受けて建屋,原子炉本体などの順で実施する建物・機器の解析・設計についても言及している.なお,耐震設計技術指針が同設計審査指針を解説しており,背景,算定式,評価法が詳述されている.阪神・淡路大震災の発生により地震時の安全性に高い関心が寄せられている.関連して,原子炉の安全性は大変高いといわれているが,それは何故か.解説するよう依頼を受け説明を試みた.
著者
古田 彩
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.512-519, 2004-08-05
参考文献数
29
被引用文献数
1