著者
辺見 和晃
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.749-755, 2009-12-01

100年近くも前に考案されたモンテカルロ・シミュレーションは元々物理学で用いられた手法であったが,その後,金融,品質管理,経営判断など様々なビジネス分野にも応用されてきた.特にオフィスにコンピュータが普及した今日では,確率分布を含む計算を極めて手軽に行えることから,ビジネス上の確率を伴った事象である"リスク"の計量に一役買っている.本稿では,商社をはじめとする多くの国内企業において行われている,モンテカルロ・シミュレーションを用いた不確実性下の事業投資評価について紹介する.
著者
中田 和秀 梅谷 俊治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.504-505, 2009-08-01

第23回企業事例交流会は,平成21年春期研究発表会初日の3月17日に筑波大学春日キャンパスで開催された.今回の企業事例交流会では3件の発表があり,座長は日本アイ・ビー・エム(株)の米沢隆氏が務められた.この企業事例交流会は,OR学会において大学の理論コミュニティと企業の実務家コミュニティが融合する貴重な場であるが,発表の後の熱心な質疑応答を拝見し,その主旨が十分に果たされていると感じた.また,筆者も今回の企業事例交流会に参加したことで,今後の研究や大学でのOR教育を実践していくにあたり,非常によい経験となったというのが率直な感想である.以下では,3件の発表についてまとめる.
著者
枇々木 規雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.740-745, 2005-11-01

研究発表会において「金融/ファイナンス/金融工学」セッションは1990年に初めて登場した.本稿ではこの15年間を振り返り, 発表件数や内容を分野, 方法論別に分類し, 時系列推移の特徴も調べた.全体的にはポートフォリオ理論の研究および数理計画法の利用が多いが, 最近はオプション理論の研究が増加するなど, 傾向は変化している.また, 発表回数分布から常連が少ないことも分かった.これらの点は参加していて感じていたことだが, 実際のデータからも明らかになった.後半では, ORにおける金融研究の役割と位置付けについて説明し, 研究発表会に参加する目的や金融工学の研究に必要なことも述べた.
著者
福原 正大
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.631-636, 2009-10-01

100年に1度ともいわれる今回の金融危機の一因として,ヘッジ・ファンドが挙げられている.本稿は,この「ヘッジ・ファンドと金融危機」について考察することを目的とし,そのためにヘッジ・ファンドとは何か,どのような発展を辿ってきたか,なぜ発展できたのかを明らかにし,その後ヘッジ・ファンドが金融危機に与えた影響を探ることとする.この際,金融工学がヘッジ・ファンドに果たした役割についても簡単にふれる.最後に,金融危機後のヘッジ・ファンド業界の展望を述べることとしたい.
著者
中桐 裕子 栗田 治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, 2002-03-01

本研究は,従来のモデルでは追従しきれない成長現象を記述するモデルとして,階層構造を有する成長現象の微分方程式モデルを取り上げ,考察を加えるものである.ある種の成長現象は,n種の性質を順番に取得するといった「階層的な」構造を持っている.そこで本研究では,ある段階の性質を身に付ける個体数の成長速度が,その段階及び直前の段階の性質を入手している個体数に依存するという仮定を設けて,『段階的成長微分方程式モデル』を作成した.同様の仮定から,宅地化を経て市街化面積が広がる様子を上手く記述するモデル等が提案されているが,本研究では,従来の研究にはなかった多段階成長の連立微分方程式に着目して,これに一般解を与える.モデルの適用例としては,特にゲーム機の売上データを取り上げた.ハード購入希望者→ハード購入者→ソフト購入者といった階層的な構造を定式化したモデルを実データに当てはめた結果,発売直後のハード売上を再現するには,段階的成長モデルが有効であることが確認できた.更にこのモデルを応用して,値下げキャンペーンによる売上増を記述できる簡便なモデルを作成することに成功した.過去の分析例や今回の研究結果より,ゲーム機売上の記述に留まらず,他の社会現象の中にも,このモデルによる記述が有効な局面も存在するのではないかと考えられる.
著者
工藤 拓
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.719-724, 2007-11-01
参考文献数
6

単語や文節,係り受け関係といった特定の言語パターンの頻度を数え個々の表現の分布を調査することは,自然言語処理でもっとも基本的な処理であることは疑いの余地はなく,その応用範囲は多岐にわたる.処理の内容はいたって単純であるが,大規模データを扱えるようアルゴリズムのスケーラビリティーを確保することは容易ではない.本稿では,頻出言語パターンマイニングアルゴリズムを概観するとともに,マイニングアルゴリズムを応用した機械学習手法について紹介する.
著者
大西 真人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.141-146, 2005-03-01

本稿では, OR技術を活用したコンサルティングを, 実例を通してご紹介する.取り上げる事例は, 3社の企業統合に伴いロジスティクス・ネットワークの最適化を試みたものである.3社の統合を機に, 工場と顧客の割当を再構築(最適化)しようという取り組みからスタートし, 生産工程まで考慮したロジスティクス・ネットワーク最適化に至るまでの過程を記す.最後に, OR技術を活用したコンサルティングを実践するにあたっての筆者の所感を記す.