著者
Chukova Stefanka 早川 有
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.390-396, 2007-07-01

本稿では,統計的推測におけるベイズ的方法と頻度論的方法について比較する.両方法の背景となる根本的原理の相違についてまとめ,それがどのように点推定,区間推定,仮説検定に反映されているかについて述べる.信頼性の観点から,両方法の差異がもたらす統計的推測の結果に焦点をあてる.最後に,ベイズ的アプローチと頻度論的アプローチの相違点をどう克服するかについての可能性についてコメントをする.
著者
後川 隆文
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.149-154, 2006-03-01

八幡製鐵所と自動車会社間における鋼材の納入指示から納品に至る業務にSCM(サプライチェーンマネジメント)を適用した業務システムを導入した.その適用に当って,(1)サプライヤーとユーザー双方の業務実態を調査し,(2)従来業務が抱える問題点や課題を抽出し,双方の業務効率化(デメリット排除)を達成出来る新業務モデルを考案し,(3)最適化技法やシミュレーション予測などを適用すると共に,(4)IT活用による情報連携を強化し相互メリットを享受出来る仕組みを実現した.この業務システム導入のいきさつおよび取組み事例などについて紹介する.
著者
谷口 綾子 高野 伸栄 原 文宏
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.814-820, 2003-11-01
被引用文献数
1

トラベル・フィードバック・プログラム(TFP)は, 自動車利用から公共交通機関への転換を目指して, 人々の行動に影響を与える心理要因に働きかけ, 自発的な行動の変化を目的とする交通需要マネジメントの一手法である.TFPは個人の交通行動の調査とその結果に基づく診断書を提示するなどのフィードバックを繰り返すコミュニケーション・プログラムで, 本稿ではその考え方と具体的な手順とともに, 2000年度札幌市における事例の紹介およびその実務における留意点を取りまとめる.
著者
田中 健一
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.164-169, 2010-03-01

本稿では,都市における施設サービスへのアクセスを時間軸を導入して記述するモデルを構成し,首都圏鉄道網と駅間移動データを用いて各駅の立ち寄り易さを分析する.具体的には,退社後の帰宅途中に一定時間サービスにアクセスし決められた時刻までに帰宅可能な人数をサービス利用可能者数と捉え,サービスの提供場所と開始時刻の双方が利用可能者数に与える影響を分析する.分析結果から,JR山手線の各駅は時空間的な立ち寄り易さが際立って高いことが明らかになる.このモデルを基礎として,時空間領域における配置問題として一般化する方向性を示し,今後の展望について記述する.
著者
牧本 直樹
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.418-421, 2004-07-01
被引用文献数
2

水稲では、保険リスク評価の基本モデルとして知られるCramer〜Lundbergモデルと待ち行列モデルの関連について解説する.Cram6r-Lundbergモデルにおける破産確率は,支払請求の発生間隔と請求額をそれぞれ到着間隔とサービス時間に対応させることで,待ち行列モデルの待ち時間分布として表現できる.そのため、待ち行列理論における種々の結果からこのモデルのリスク評価を行うことが可能どなる.また,破産時点など破産確率以外の評価指標や,マルコフ環境への拡張、請求額分布がファットテールを持つ場合など、双方のモデルにおける最近の話題についても概説する.
著者
臼田 光一 吉澤 睦博
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.664-667, 2009-11-01

平成21年8月11日駿河湾の地震で,静岡県内の東名高速道路が被災を受け,交通車両が迂回を余儀なくされ渋滞による物流の遅延が発生していたことは記憶に新しい.本システムは従来技術である地震発生による建物(製造拠点・物流拠点)の被害予測に加えて,周辺のライフライン(道路等)の被害予測を行い,地震発生時の製造から物流にいたるSC(サプライチェーン)に対するBCP(事業継続計画)策定を支援するシステムとして開発をした.
著者
寺野 隆雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.661-666, 2008-12-01
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿では,エージェント指向の社会シミュレーションの新しい手法として,複雑二重ネットワークモデルの概念を紹介する.複雑二重ネットワークモデルでは,個々の個体のもつ知識をエージェント内のネットワークで表現し,個体間の関係を社会ネットワークで表現する.これによって,社会ネットワーク上のエージェント間のインタラクションから生ずる個々のエージェント内の知識の変化ならびに社会ネットワークそのものの変化を動的に分析し,新しい知見を得ようとする.本稿では,最近の研究成果の例として貨幣概念の創発メカニズムの分析を述べるとともに,このような研究アプローチの今後について考察する.
著者
山下 英明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.430-433, 2004-07-01

生産システムの搬送手段の中で,柔軟性の高いものにAGV(Automated Guided Vehicle ; 自動搬送車)がある.AGVはコンベヤなどと比べ柔軟性は高いが搬送量が少ないので,搬送要求が発生してから搬送が開始されるまでの搬送待ち時間が増加し、工程での仕掛品不足やリードタイム増加の原因となる場合もある.本橋では、待ち行列モデルを用いたアプローチを用いて,搬送待ち時間を削減する搬送要求の処理順序やAGVの割当て規則を検討する.
著者
竹中 毅 相澤 祐一 鈴木 晋太郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.570-575, 2009-09-01

音楽の設計は,他の人工物の設計と比べて,環境条件や目的を明示化することが極めて困難である.そのため,音楽の設計理論に対する科学的,工学的なアプローチは少なく,作曲行為は人間の暗黙知に大きく依存している.一方で,既存の音楽には時代や地域を超えた共通性が見られることから,音楽的秩序には人間の認知的・身体的特性に基づく必然性があると思われる.筆者らは,人間の認知的特性に基づいて,創発的に楽曲断片を生成することで,音楽の発生学的な根拠を理解することを目的としてきた.本稿では,筆者らの研究例を紹介するとともに,新たな音楽設計理論の可能性について議論したい.