著者
松本 晃子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.829-836, 2004-11-25 (Released:2010-12-10)
参考文献数
14

近年のアパレルでは, 顧客である若者にむけて販売員のイメージなどを重視した販売戦略をとっている企業が増加している傾向がみられる.本論では若者にとって衣料品の購入時における顧客満足とはどのような要因によってもたらされているかを明らかにすることにある.手法としては, 顧客とのリレーションシップを発展させることで相互にベネフィットを得ることを目的としたマーケティングの理論を応用し, 共分散構造分析を使って消費者の内面的プロセスを明らかにしている.調査の結果, 若者が衣料品を購入する際の「顧客満足」には, 「販売員の態度」や「店舗環境」が, 「商品品質」と並んで重要であることが明らかになった.さらに「顧客満足」は「信頼」や「再購買意図」に対しても影響を与えることが分かった.
著者
平松 隆円 牛田 聡子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.837-846, 2004-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

大学生の化粧意識構造を解明するために, 大学生378名を対象に質問紙調査を実施した。先行研究を参考に選定した計34項目の化粧意識に関する質問に対する回答を主成分分析した結果, 『魅力向上・気分高揚』『必需品・身だしなみ』『効果不安』の3因子が抽出された.また, これらの因子と化粧行動との関連性を検討した結果, 多くの化粧行動項目との関連性が明らかとなった.
著者
平松 隆円 牛田 聡子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.682-692, 2003-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

大学生の化粧関心・化粧行動・異性への化粧期待の構造を解明するために, 大学生329名を対象に質問紙調査を実施した.日常的におこなわれると思われる化粧行動を, 施す部分によりヘア・フェイス・ボディに分類, また, 化粧品の種類としてケア・可逆的メイク・不可逆的メイク・フレグランスに分類し, それぞれに特徴的な26項目を設定した.主成分分析をおこなった結果, 化粧関心・化粧行動・異性への化粧期待において, 男女で異なる構造が確認された.また, 相関分析により, 化粧関心, 化粧行動, 異性への化粧期待の関連性が明らかになった.
著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.849-856, 2014-11-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
12

本研究は,化粧規範意識を他者意識・自意識・形式主義・独自性欲求がどのように規定するのかについて検討を行なうことが目的である.学生男子190人(平均年齢=20.08歳,SD=1.69),学生女子342人(平均年齢=19.33歳,SD=1.27),親世代男子47人(平均年齢=49.30 歳,SD=4.99),親世代女子158人(平均年齢=47.44歳,SD=4.33)を対象に,化粧規範意識,自意識,他者意識,形式主義,独自性欲求などを内容とする質問紙調査を行なった.その結果,おおむね学生男子では形式主義と独自性欲求が,学生女子では外的他者意識,公的自意識,私的自意識,形式主義,独自性欲求が,親世代男子では私的自意識が,親世代女子では内的他者意識,空想的他者意識,公的自意識,形式主義が化粧規範意識を規定していた.
著者
平田 耕造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.12-17, 1995-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
渡辺 隆行
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.35-49, 2022-01-25 (Released:2022-01-25)
参考文献数
21

X ジェンダー(男女どちらでもない,あるいは男女どちらでもある,あるいは性という概念すらもたない性自認をもっており,その性自認が流動することもある人)の被服体験を調べるために,X ジェンダー20 名にインタビューして質的分析した.その結果,X ジェンダーの多様な性自認が起因となる性別違和が「被服によって提示したい自己」を生じていることと,ここから始まる被服体験の構造が明らかになった.そこでは,自分の周りの受容によって被服体験が異なり,男女二分化した社会の影響を受けている.X ジェンダーは生まれながらの身体的特徴を隠す工夫をしているが,MtX(Male to X)とFtX(Female to X)には,この身体的特徴を隠す行動にも違いがあり,性自認と性役割にも違いがあること,MtX は女性に憧れる被服行動をするがFtX は女性から逃げていることが被服行動にも現れていることがわかった.また,X ジェンダーに近い特性を持つ女子大学生10 名にもインタビューを行って,X ジェンダーの概念と比較した.
著者
福田 怜生
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.304-312, 2022-05-25 (Released:2022-05-25)
参考文献数
27

本研究では,ファッション製品の中でも,ウォーキングシューズを材料として,そのデザイン性が感情的製品態度に及ぼす影響について,物語広告がどのように調整するかを検討した. 物語広告と非物語広告とを比較した実験の結果,非物語広告では,デザイン性の程度は感情的製品態度に正の影響を及ぼすが,物語広告では,その影響がなくなることが示された. また,物語広告では,デザイン性が低い場合にも,非物語広告のデザイン性が高い場合と同等の感情的製品態度であることが示された. これらの結果から,物語広告は,デザイン性による差別化が困難である場合に,効果的なマーケティング・コミュニケーション施策である可能性が示唆された.
著者
佐貫 治夫 山石 健次 丹下 昇
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.151-155, 1975-05-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
31

羊毛製品は従来難燃性とされてきたが, 条件によってはかなりよく燃えひろがることがあり, 時代のすう勢, 燃焼性測定法の進歩とともに可燃性に区分づけられる場合もみられるようになった.そこで羊毛集合体はどのような条件で燃焼するのかを明確に把握するための一つの試みとして, 含気率と周囲の関係湿度とを変化させた場合について検討した.その結果, 含気率99.0~99.5%を境として, これより含気率が大きい場合には周囲がかなり高湿度状態でもよく燃え, レーヨンと同程度の燃焼性を示した.しかしこれ以下のコンパクトな構成の場合には著しく燃焼性が低下し, レーヨンに比べて燃えにくくなり難燃性として挙動することがわかった.
著者
永野 光朗 小嶋 外弘
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.288-293, 1990-06-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
7
被引用文献数
2

本研究では, 服装による印象形成過程における手がかりの優位性について検討を行なった.男子大学生に女子大学生の全身写真を提示し, その服装特徴から着装者のパーソナリティを推測させた.林の数量化理論I類による分析をおこない, 因子分析により抽出された3つのパーソナリティ次元 (個人的親しみやすさ, 活動性, 社会的望ましさ) の認知に対して個々の服装特徴がどのように影響を与えているかについて調べた.この結果から, 3つのパーソナリティ次元に共通して優位にはたらく手がかりは「上衣の型」と「上衣の色」であるが, さらにそれぞれの次元には固有の優位な手がかりが存在することが明らかになった.すなわち「個人的親しみやすさ」の次元では上記にくわえて「上衣の柄」が, 「活動性」の次元では「下衣の型」が, また「社会的望ましさ」の次元では下半身における衣服の諸特徴がそれぞれの印象を規定していることがわかった.
著者
塩原 みゆき 榊原 沙耶 川端 博子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.148-154, 2015-02-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
7

UV加工を施したストッキング類が市販されているが,これら伸縮性のある商品の着用時の効果については明らかではない.本研究では,伸縮性のあるアイテムのうち,ストッキングとタイツについて,着用時のUV防御能を持つ条件を調べた.試料を脚部ボディに履かせ,「足首」「ふくらはぎ」「大腿部」の3か所から直接,着用時のサンプルを採取し,透過率,UPF,空隙率を測定した.着用時に伸張するストッキングやタイツ類のUV防御能には空隙率が大きく影響し,空隙率が大きいほどUV防御能は低下した.ストッキングでは糸が細く空隙率が大きいため,UV防御能を有せず,UV加工を施しても効果が認められないことが分かった.タイツでは,空隙率が大きくなると色相よりも明度の影響を受け,明度が低いほどUV防御能が高い.黒色の場合は,空隙率が10%以下であればUV防御能を有することが分かった.また,タイツのUV防御能はデニールではなく重さと相関があることが確認された.