著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.81-90, 2010-02-15 (Released:2012-11-15)
参考文献数
55

The purpose of this study is to explore women's clothes for mountaineering and outfits worn in Switzerland in the late 19 th century. The materials I have used for conducting this research are The Queen, Punch and the London Charivari.. Mountaineering and traveling abroad changed the consciousness that woman had of clothing and of themselves. They tucked up the hem of their skirts like a fishwife when climbing mountains. They also wore them when they were not mountaineering, so they became very practical. The crinoline and corset no longer became necessary to maintain the honor of woman, who were adapting themselves to intense activity and severe environments. It was suggested that outfits that were more practical than fashionable be worn in resort areas. Women wore clothes that were appropriate for their environment. On the other hand, they were aware of the importance of appearance while traveling. Being aware of preeminence, proud British women were conscious of the clothes they wore, not only for the fashion statement they made, but also for their practicability.
著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.242, 2008

<B>目的</B> ファッション雑誌によるトレンド提案と、それらを支持する消費者像を分析し、現代ファッションの背景を探る。<B>方法</B> 雑誌モデル蛯原友里が提案するOLスタイルに着目し、そのファッションテイスト、モデル像、及び消費者の生活スタイルを検討する。主な資料にはファッション雑誌CanCamを利用する。<B>結果</B> CanCam誌上のファッションスタイルの変遷を追うと、2004年3月にロマンチックスタイルが提案され、翌月にはその提案は蛯原友里をメインにエビちゃんOLと名付けられた。そのスタイルは白、ピンクといった淡い色彩とフリルやリボンを取り入れたソフトでキュートなファッションイメージで、上司にも好印象を与える「愛され系スタイル」として位置づけられている。このような提案は多くの読者に支持され、「蛯原友里が着た服は店頭で即日完売」というエビちゃん現象を巻き起こす。この背景には「恋も仕事も頑張る」というモデル像の設定と、現代女性の価値観が合致し、ファッションイメージをモデル像によって増幅させた効果が反映されていると考える。
著者
山村 明子 田中 淑江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.524-538, 2023 (Released:2023-10-06)
参考文献数
73

主婦が社会化され始めていた1960年代を中心に, 主婦に提案されていた家庭着を検討することで, 変わりゆく生活の中で求められていた主婦の在り方を論じる. 主な一次史料として, 朝日新聞および読売新聞に掲載された家庭洋裁の指南記事を使用する. さらに, 家庭婦人の装いと生活の関連や他者からの視線等を同時期の婦人雑誌『主婦と生活』から調査する. 提案された家庭着からは家事労働に従事する姿, くつろぐ姿, そして他者に対して体面を保つ姿が見いだされた. 主婦の家庭着とは, 家庭を明るく, 楽しいものに, または穏やかなくつろぎを演出する役割も担っていた. それは主婦本人のみならず, 家族をも気持ちよく過ごさせるためのデザインであった. 同時期のマイホーム主義の風潮ともあいまって, 主婦は家庭という空間で家族のためだけの親密な存在であることを家庭着によって演出し, 生活の彩り, 家族の団らんを創出した.
著者
徳山 孝子 打田 素之 木谷 吉克 笹崎 綾野 中村 茂 森田 登代子 藤田 恵子 山村 明子 刑部 芳則
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

礼服・軍服などの男子服意匠の導入に関わる幕末から明治維新期にかけての日仏間の交流の経緯と実態の一端を明らかにした。①明治天皇の御正服の意匠とAICP校に現存する絵型の比較検証から、礼服などの男子服意匠の導入がフランス支援による事が判った。②訪仏した日本人との交流が深かった洋裁店「オゥギャラリードパリ(S・ブーシェ)」は、男子服の発祥経路の一つとして指摘できた。③ナポレオン3世から徳川慶喜に贈呈された軍服、軍帽等の軍装品に関して、仏軍が定める詳細な仕様書などの資料が得られた。④The Tailor’s guideの技法は『西洋縫裁(裁縫)教授書』を介して伝えられたことが判った。
著者
佐々井 啓 坂井 妙子 好田 由佳 山村 明子 米今 由希子
雑誌
服飾文化共同研究報告
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.21-26, 2012-03-30

The purpose of this project is to clarify Victorian women’s life and their body images by examining contemporary women’s magazines. Their importance has been widely recognized by researchers of historical dresses, but their main focuses have been on the styles and colours of fashionable dresses and dress accessories. Re-reading Victorian women’s magazines and re-focusing on the issues such as women’s actual life styles and their way of thinking will give us a new understanding of Victorian culture. This year, we examined British major fashion magazines issued in the nineteenth century to compile their outlines. As this task has been successful, we are ready to compile articles which illuminate women’s autonomy and their changing body images through this period.
著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.217, 2009

目的 現代日本のメンズ・カジュアルファッションにはフェミニンなデザイン要素が多く受け入れられている。これらの事象の背景として、近年のジェンダー・フリー教育がファッション感覚に影響を与えたのではないかという仮定に基づき、分析・検討する。方法 資料には「Men's Non-no」(2000-2008年発行)を使用し、男性ファッションの動向を探る。また、1999年の男女共同参画社会基本法施行以降のジェンダー・フリー教育の動向について一般市などから探る。結果 フェミニンスタイルという言葉は2000年の誌面に登場する。それ以降ファッションに現れるフェミニン要素としてはピンクなどの華やかな色彩、フリル・レースといった曲線的なディテール、水玉、花といった模様表現、さらに、レディースのスカートなどをコーディネイトに取り入れている。これらは女性的に装うことが目的ではなく、あくまでも男性のファッションとして受容されている。ジェンダー・フリー教育による文化的性差の解消への取り組みは、今日のファッション感覚の形成へ影響を及ぼしていると考える。
著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 従来の主婦論は社会学を基盤として、主婦の存在意義や役割などについての研究なされてきた。しかし、その服飾を研究対象とすることで、主婦・母親に求めた理想的な姿を検証する。近代に日本の家族観、家庭観に強く影響を及ぼしたイギリス社会の家庭生活、主婦像についてその服飾行動から明らかにする。本発表では家事行為と主婦の装いについて、検討する。<br><b>方法</b> 主な資料にイギリスで発行された<i>The Lady&rsquo;s Realm</i>などを利用する。同誌は1896年に創刊された女性向け月刊誌で、連載小説、家庭生活一般、職業、ファッションといった、当時の女性の関心事を幅広く網羅している。<i></i><br><b>結果</b> もてなしを司る女主人の役割はその家庭の文化度を測る指標であり、主婦の装いは外部に向けて教養や社交術を表明した。20世紀初頭には主婦の役割が家庭内において変化した。主婦の生活スタイルの変容は服飾行動にも関わり、ファッション記事には家庭内での装いとして、Housefrockなどが繰り返し登場する。また、20世紀初頭は家事奉公人の減少や家庭生活技術の発展に伴い、主婦が家事労働に携わる機会が増加、または家事労働の内容が変化した。資料には衣食住の技術や知識の紹介、またはそれらを学ぶスクールを取材した記事が登場し、家事労働の位置づけの変化を認めることができる。ヴィクトリア朝の女性家事奉公人の表象となっていたエプロン姿は主婦=女主人のものへと変化をとげた。