著者
加藤 徹
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.843-847,a1, 1999-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

明治後期から昭和前期にかけ, 行われた耕地整理事業において標準区画的に採用されていた短辺10問, 長辺30間の1反歩について, 上野英三郎が「日本に1反歩が適当なりとは如何の論拠より来りたるか, 余輩は未だ不幸にして, 何等解釈を聞く能ず」と疑問を投げかけていた。そこで, 本報では, この1反歩区画のルーツ等について歴史的観点から総説的に跡づけることを試みた。その結果, 1反歩区画は, 条里制の区画割の半折型 (12間×30間=360歩) →太閤検地の面積基準 (5間×60問=300歩)→鴻巣式の1反歩区画 (10間×30間=300歩) という流れになること, などについて整理できた。
著者
谷 茂 長谷川 高士
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.939-947,a1, 1987-10-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
18

地震によつて多くの溜池に被害が発生してきた。本報文では記録が残っている過去五つの地震での溜池被害を文献・資料・現地調査等により調査した。とくに日本海中部地震については, 無被害溜池も含めた堤体土の試料採取を行い土質試験を行つた。これらの調査・実験から, 溜池の被害形態の分類を行い, その特徴を述べた。また被害の主な原因が液状化の可能性が強いことを, 土質試験等のデータからも裏づけた。
著者
常田 岳志 宮崎 毅 溝口 勝
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 = Journal of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.595-598, 2006-07-01

泥炭地湿原は, 生物多様性維持や世界の気候系に不可欠な水と炭素の貯蔵といった機能を有する貴重な生態系である。一方で温室効果ガスであるメタンの放出源としても泥炭地は注目されている。一見全く異なった観点から捉えられてきた泥炭地であるが, 地下水面下の泥炭土中で生成され, 気泡として存在するメタンが双方の観点から大きく注目されている。それは放出源の視点からは, 気泡の放出が重要なメタン放出経路であること, 湿原保全の観点からは, メタンバブルの存在が泥炭地の水文環境の形成に決定的な役割を演じていること, が証明されつつあるからである。本報では, 泥炭地科学の一つとして, メタンバブルに関する最先端の研究を紹介する。