著者
志村 博康
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.25-29,a1, 1982-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
11

水田・畑・森林等がどの程度の貯水容量をもっているかを, 概算ではあるが, 国土的スケールで求め, 既設ダムの洪水調節容量と比較した. 次いで国土保全上どれだけの貯水容量が必要であるかを概算し, その必要貯水容量を水田・畑・森林・ダム等で, 将来, どのように分担する必要があるかを明らかにした. 得られた分担割合には, 森林68%, ダム17%, 農地 (水田と畑) 15%で, 農地の貯水機能が無視できないことが明らかになった.
著者
池森 龍一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.523-524,a3, 2006

現在コンクリートは, さまざまな工事で多種多様に使用されている。そのコンクリートを使用・施工する上で必ず直面するものが「ひび割れ」である。<BR>本報では, 県営広域農道整備事業大村東彼杵地区で施工したモジュラーチエ (コンクリート構造物) のアウトフーチング (マスコンクリート) に発生した「温度ひび割れ」について, 発生状況から調査・原因を究明し, その対策について紹介する。
著者
月岡 存 米本 剛理
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.127-130,a2, 2006

低処理再生骨材を用いてコンクリートの配合や厚さの異なる植生型ポーラスコンクリート (連続空隙率21-25%程度) を作製し, 2年間余に渡り, 2種類の芝草の屋外生育試験を実施した。<BR>植生ブロック上に播種した西洋芝は, すべての植生基盤 (厚さ5-15cm) を貫通し, 自然状態で継続して生育した。植生に当たっては, 芝草が発芽し, 根が植生基盤下の自然土壌に達するまでの問, 水やり等の初期の養生管理が重要である。また, 傾斜地における植生においても, 平地の場合に比べ多少生長は劣るが, 継続した生育が確認された。<BR>ポーラスコンクリートを用いた植生基盤では, 高麗芝など根の浅い植物は生育に適さないため, 植物の選択が重要である。
著者
神尾 彪 小林 孝生
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.799-802,a2, 2004

水稲田1耕区 (無暗渠水田, 30a) 内において, 用水路側, 中央部および排水路側の3地点でメタンフラックスの測定を行った。その結果, 次のことが明らかになった。<BR>(1) メタンの発生量は場所によって異なり, 用水路側でのメタンの発生量は排水路側でのそれの約1.8倍であった。<BR>(2) 同一水田の同一場所におけるメタンの発生量は毎年異なり, 3力年間で約1.8倍の相違があった。<BR>(3) 梅雨寒時のメタンフラックスは地温の低下によって若干減少した。<BR>(4) 中干し後にメタンフラックスが激減する要因として, 中干し後の土壌中メタン濃度の著しい減少が考えられた。<BR>(5) 田植え前と落水後の水田からのメタンの発生量は微少であった。
著者
緒方 英彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.193-196,a1, 2003-03-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

農村には, 農業に関わる歴史的事件などを発端とする祭りが数多くある。この祭りは, 地域住民が祭りの発端となった歴史的事件を通して, 地域の風土に関心を抱き, 地域の歴史を振り返るための機能を有している。農村の祭りがその機能を十分に発揮し, かつ伝統行事として継続されるためには, 当事者である地域住民の祭りに対する意向を調査しておく必要があるるそこで, 歴史的農業水利事業を発端とする祭りの一つである鳥取県八頭郡郡家町郡家地区の安藤祭りの現状を調査し, あわせて参加者意識を調査することで, 農村の祭りが有する機能が十分に発揮されるための要因を検討した。
著者
長田 実也
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.331-335,a1, 1993-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
被引用文献数
6

全国の畑地帯において地下水の硝酸性窒素濃度の上昇が指摘され, 生活用水源への懸念が社会問題化している。宮古島では, 水道水源である湧水の硝酸性窒素濃度が1970年代から1980年代後半にかけて上昇し, その後低下している。この濃度変化は農地への施肥総量を反映したものであると考えられる。この施肥量は時の農業情勢を映して増減しているようである。地下水の水質保全は, 汚濁源対策に尽きるが, 住民の理解と協力が不可欠であり, 地域社会の将来構想も踏まえた上で検討されるべきものである。とくに施肥の制御については, 必要な農業生産を維持しながら水質に過剰な負荷を与えないような, 均衡点を見いだす必要がある。
著者
清野 修 難波 俊章 大森 康弘 栗木 実
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1307-1313_1,a1, 1999-12-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

岡山海岸保全事業では, 児島湾締切堤防にある2カ所の旧樋門部の閉塞盛立工事を行った。旧樋門は, 厚さ15-20mに達する軟弱な海成粘土層の上に築造されており, 高圧電力ケーブル, 管理橋などといった許容変位量の小さい重要施設が添架されていた。こうしたことから本工事では, 旧樋門と堤体の変位計測を行い, その情報を工事に反映する情報化施工を行った。旧樋門の変位計測結果は, 水平変位が約9mm, 沈下が約26mmで管理基準値以内であった。また, 堤体についても, すべり破壊するような変位過程の兆候も見られず, 安定を保持した状態で工事を終えた。本稿は, 重要施設に近接して軟弱地盤上で盛土した, 旧樋門閉塞盛立工事の情報化施工について報告するものである。
著者
井上 敬資 増川 晋 中里 裕臣 中西 憲雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.691-694,a2, 2005

2003年には宮城県沖, 宮城県北部, 十勝沖地震が発生し, 2004年には紀伊半島南東沖, 根室半島南東沖, 釧路沖, 新潟県中越地震が発生した。さらに2005年には福岡県西方沖地震が発生し, マグニチュード6以上を記録する大規模地震が頻発している。このような大規模地震では, 被災が広範囲に広がり, 農地や農業用施設など多くの箇所で災害が発生する。大規模地震が発生した場合に被災する可能性のある範囲や施設を推定することは, 被災の有無の点検や復旧計画等に有効な情報となる。本報では大規模地震発生時に被災する可能性のある範囲や施設を推定するシステムについて紹介する。
著者
村山 忠一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.119-125,a1, 1986-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

改良山成工の土量計算方法の一つ, メッシュ法は, 測定メッシュを大きくするに従って計算土量が小さくなる傾向がある。今日これは誤差の問題とされているが, 実はメッシュの四隅のデータの平均計算で, プラスデータとマイナスデータが相殺しあうことに原因する量の見落しがある。現場でいう (メッシュ内土量) がこれであって, この解明をしながら, メッシュ法におけるデータ処理の基本問題を考察する。
著者
牛野 正
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.279-284,a2, 1995

神戸市北区長尾地区では, 行政主導による住民主体の地区総合計画 (土地利用計画) づくりを行い, ニュータウン開発に伴う幹線道路の整備や河川改修等と調整をしながら, 県営ほ場整備事業を実施し, 優良農用地の保全や, 農村環境の整備を行っている。<BR>この過程で, 土地利用秩序の形成とも関わる非農用地換地を13.9haと多数実施しており, このことで有名な所である。さらに, 旧村規模で土地利用秩序の形成を図りながらほ場整備事業を実施できるように工夫されてきた神出方式をほぼ完全に適用して, 大きな成果も挙げており, 神出方式の有効性を検証した事例としても特色がある。
著者
中澤 和彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.1187-1192,a1, 1997

戸ノロ用水は阿賀野川水系日橋川 (猪苗代湖), 湯川および澗川を水源とし会津若松市周辺の水田2,000ha余りを潅漑している。<BR>元和9年 (1623年) 八田内蔵之助が会津藩主蒲生忠公に願い出て, 開削工事に取りかかってから14年の歳月をかけ八田野村までの4kmの水路を築造したことが本用水の始まりである。<BR>藩政時代から地域との結びつきが強く, 市内全域を網の目のように走る用水路は, 農業用水のみならず, 生活用水, 工業用水, 軍事用水, 環境用水等いろいろな機能を兼ね備えていた。その機能は, 現在に至るまで連綿と受継がれている。<BR>報告文の中では, 戸ノロ用水歴史的経緯と現状における問題点を中心に報告するものである
著者
橋本 俊哉
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.101-104,a1, 2002

農業関連施設におけるゴミ問題において, どのような対策が有効と考えられるか, その考え方を示した。その出発点は「ゴミが捨てられているのは, そこにゴミを捨てた人がいるからである」という視点である。それによって地域住民や観光目的の利用者に禁止や強制を強いる性格の対策ではない, 人びとの自発性に基づいたゴミ対策を講じることが可能となろう。<BR>そこでまず, 人びとのゴミ捨て行動の規則性とゴミを捨てる際の心理について述べ, ゴミを投棄させないためには, また回収容器にきちんと捨てさせるためにはどうすればよいか, 6つの誘導原則に整理して述べた。
著者
石黒 宗秀 コパル ルーク
出版者
農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 = Journal of the Agricultural Engineering Society, Japan (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.75-82, 2000-01-01
参考文献数
13
被引用文献数
6

固体表面に対する液体のなじみやすさを,"ぬれ" といい, 土の保水性・浸潤は, ぬれと関連する。土は, 一般に水を良く吸収するが, 水をはじく土も確認されている。ここでは, 土のぬれに関連する諸現象の理解を深める目的で, ぬれを熱力学的に解釈した。固液界面の接触角がぬれの程度を表し, 毛細管中の液体の毛管上昇高を決定すること, 接触角や毛管上昇高は, 表面張力の大きさで決まること, 表面張力が分子間引力に密接に関連するものであることを示した。また, 固体表面への水蒸気吸着と接触角の関係をギブスの吸着式を用いて解釈した。土への水の浸潤が, 接触角に影響されること, 浸潤速度から土の接触角が測定できることを示した。

1 0 0 0 OA 白根郷の歩み

著者
金内 與一郎
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.581-583,a1, 1982-07-01 (Released:2011-08-11)

白根郷は新潟平野南部, 信濃川・中之口川に囲まれた輪中地帯で総面積559haに及ぶ。本文では, 約400年前からの開拓, 治水開発から, 明治時代の排水改良, 大正に入り大河津分水後の用排水改良, 昭和では戦後の農地改良, 戦後の地盤沈下対策事業などの農地改良の変遷を示した。とくに文末では昭和50年以降の用排水改良経過に及び, 昭和56年3月に白根郷が全国初の農林水産大臣賞の栄を得た経過を示した。
著者
鷲尾 貞一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.577-580,a1, 1982-07-01 (Released:2011-08-11)

西蒲原平野は, 信濃川が魚沼台地末端の標高40mから33kmで12m地点へ流下する水衝部を頂点とするので, 洪水ごとに破堤災害を繰返した。その水衝部から海岸山地を切り開き, 日本海へ過水を切落すことは, 蒲原平野全体, なかんずく西蒲原平野の長い間の願望であった。1922年この完成通水をみてから60年, この信濃川改修を軸に用水河川に変革されてゆく西蒲原諸川の変化と, 低平かつ微高差の多いこの地域の水利構成の過程を報告する。
著者
篠 和夫 中崎 昭人
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.107-111,a1, 1988

1986年12月18日, 高知県沿岸に竜巻が発生。上陸し, 施設園芸ハウスなどに総額1億円近くの被害をもたらした。被害の実態調査を行い, 過去の同様の風害調査をも参考にして施設園芸ハウスの耐風性に関する問題点について述べた。今回の園芸ハウスの被害は3O棟 (約1.5ha) で, 内, 全壊が12棟であり, その内11棟は鉄・木併用切妻型ハウスであった。破壊形態は柱以外の部材が飛散することに特徴があるが, 基礎の折損あるいは抜け上がりも見られた。鉄骨パイプハウス1棟は圧壊されていた。<BR>また, 1948年以降に高知県地方で捕捉されている29個の竜巻発生地点および最近の竜巻発生時の気象的特徴についても若干述べた。