著者
佐藤 成見 白須 未香 東原 和成
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.774-781, 2015-10-20 (Released:2016-10-20)
参考文献数
28

ムスクは,官能的で魅惑的な香りを有し,古代から人間社会で香料以上の役割を担ってきた.天然ムスクであるムスコンは現在希少であり,その代替となるべく多くの合成ムスク香料が開発されてきたが,なかには毒性を指摘されるものもあり,問題となっている.当研究室では,ムスコンの受容体をマウスやヒト,4種の霊長類で同定し,それらのさまざまなムスク香料に対する構造活性相関を調べた.ヒトのムスコン受容体であるOR5AN1の応答性は,私たちが実際にムスク香料を嗅いだときの感覚とよく一致しており,ヒトのムスクの匂い受容の鍵となる受容体であることがわかった.これらの結果は,より良い新規ムスク香料の開発に貢献すると期待される.
著者
片倉 喜範
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.596-600, 2019-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
17

抗酸化作用,緩衝作用,抗疲労作用など多くの機能を有することが知られている高機能ジペプチドイミダゾールジペプチドは,最近行われた中高齢者ボランティアに対する二重盲検ランダム化比較試験の結果から,記憶機能改善効果を示すことが明らかとなっている.つまりイミダゾールジペプチドは,腸と脳との相互作用を活性化させうることが報告されてはいるが,その分子基盤についてはいまだ明らかになっていない.本解説では,イミダゾールジペプチドの1種カルノシンによる脳腸相関活性化機能の詳細とその機能性の分子基盤に関し,最近の知見を踏まえ紹介したい.

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出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.258-264, 2004-04-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1
著者
近内 誠登
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.10, pp.667-673, 1988-10-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1
著者
永井 克也
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.160-167, 2013-03-01 (Released:2014-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

ヒトを含む哺乳類は自律神経系と内分泌系が連携して体内外の環境変化に対し体内恒常性(ホメオスタシス)を維持する.このとき自律神経系は内分泌系よりも迅速に反応する.しかしながら,各臓器・組織を支配する自律神経の活動変化は一様ではなく環境変化に別個に反応する.たとえ心臓の交感神経が興奮したとしてもほかの臓器・組織を支配する交感神経は必ずしも興奮せず,逆に抑制されるものもある.本編では食品や薬品などの機能解析に供するために動物実験の結果をもとにして各臓器・組織の自律神経の活動変化と生体機能変化の関係を述べる.