著者
峪口 有香子 岸江 信介 桐村 喬
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.537-554, 2019-03-20 (Released:2020-03-20)
参考文献数
33

本稿では,Twitterからの方言語形抽出結果と,全国の高年層を対象に実施した方言調査の結果および全国の大学生を対象に実施した方言アンケート調査結果等との比較を行い,どのような違いがみられるかについて検討を行った.その結果,全国の高年層で使用される方言がTwitter上で忠実に反映されているとは言い難いが,Twitterデータの結果と大学生を対象としたアンケート調査結果とは,概ね一致した.この点で,Twitterデータをことばの地域差を見出すための資料として十分活用できる可能性があることが判明した.Twitterから得られた言語資料は,伝統方言の地域差の解明とまでは必ずしもいかないにしても,若者世代を中心に用いられる新しい方言や表現形式の分布のほか,「気づかない方言」などの地域差を知る手がかりとして,今後,有効活用が期待される.
著者
大久保 起延 大久保 博美
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.21-26, 2011
著者
尾木 竜司 池田 大輔
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.571-585, 2023-03-20 (Released:2024-03-20)
参考文献数
8

文章には書き手の個性が表れ,その個性は大きく変化しないこと(個人内恒常性)が知られている.逆に,メンタルヘルスの異常など書き手の内面の大きな変化が恒常性の崩壊につながることを示せれば,文体的特徴の変化から内面の変化を検出できるようになる可能性がある.特定の個人に対し,内面の大きな変化によって文体的特徴が変化することが示されているが,内面に同じ変化を持つ集団を集めるのは困難であり,統計的には示されていない.本研究では,出産は内面に大きな変化を与えると考え,出産経験のある女性らのブログの文体的特徴を調べた.単語の使用率など文章の内容に依存する特徴を用いると,書き手の内面の変化ではなく生活環境の変化を検出してしまう.そこで,非内容語の使用率や品詞のbigramの出現率などの,文章の内容に依存しない特徴を用いた.検証した全ての特徴において,出産を経ることで通常の変動よりも変化することがわかった.
著者
大川 孔明
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.510-525, 2022-12-20 (Released:2023-12-20)
参考文献数
11

本稿では,叙述語を指標に,コレスポンデンス分析,クラスター分析を用いて鎌倉時代の和文作品,並びに和漢混淆文の一種とされる軍記物作品の文体が類型的にどのように位置づけられるのかについて,大川(2020)の結果との比較から考察した.その結果,鎌倉和文は紀行文和歌集型と強紀行文和歌集-和文体型に分けられ,さらに大川(2020)にて強紀行文和歌集型とされた『海道記』は強紀行文和歌集-漢文訓読文寄りの文体型に位置づけられること,軍記物は物語日記-漢文訓読文寄りの文体型に位置づけられ,『今昔物語集』などの作品と,和漢の文体対立から見たときにも,ジャンル文体から見たときにも概ね同様の文体的特徴を有することが明らかとなった.
著者
荻野 綱男
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.28-39, 2021 (Released:2022-06-20)

データには質的データと量的データがあるが,それとは異なる視点として,計量的な見方と非計量的な見方がある.本稿では,計量的な見方による日本語研究がどんなものであるか,用例調査,コーパス,多人数質問調査などを例にして,その概略を述べた.また,計量的な研究が現代日本語学で多く行われていること,そのような研究は,幅広い学問領域に共通の研究のしかたであることを述べた.統計学とはどんなものか,記述統計学,推測統計学,探索統計学に分類してそれぞれについて解説した.さらに,統計学的な見方と計量的な見方の関係について,統計学が理論的,基礎的なデータ分析方法を追及するのに対し,計量的な研究は応用的,実践的なデータ分析を志向するという立場から述べた.計量的な言語研究を目指す上では,調査が重視されるが,その際のポイントとして,調査計画の重要性と調査結果の解釈の重要性を述べた.
著者
大島 英之
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.373-388, 2022-09-20 (Released:2023-09-20)
参考文献数
15

現代語では,言語(漢音ゲン+呉音ゴ)のように,呉音と漢音を混ぜ読み(以下「混読」と呼ぶ)する漢語は多くあるが,中世以前にはほとんどなく,後出の形とされている.しかし,特定の時代における混読の実態や,その通時的変遷については詳らかでない部分が多い.本稿では,呉音・漢音の音形が明らかに対立する漢字同士で構成される熟語を分母とした時の,呉音ないし漢音同士で読まれる漢語に対する,混読される漢語の割合を,「混読率」と定義し,中世の両端に位置する辞書資料における混読率を求めた.その結果『色葉字類抄』の混読率は約15%,『日葡辞書』の混読率は約24%と求まり,中世において混読現象が拡大していることが明らかとなった.中世に混読が増加した背景については,二資料に共通する漢語の語形を比較した結果から,特定の漢字に呉音・漢音どちらか一方が固定化する「漢字音の一元化」の影響が大きいことを論じた.
著者
林 直樹
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.286-299, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
33

本稿では,言語データの平均値に差があるのかどうかを確認する際の統計的手法について概説する. まず,平均値の定義や適用事例について概説した後,言語研究分野における平均値の適用事例について述べる. 続いて,統計的手法に基づく平均値の比較方法としてt検定と一元配置分散分析を取り上げ,その計算法を示すとともに,実際のデータに基づき分析していく.
著者
迫田 久美子 細井 陽子
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.403-418, 2020-12-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
25

本研究の目的は,日本語学習者コーパスI-JASのデータに基づき,学習環境の違いが言語使用にどのような影響を与えるのかを「正確さ」と「複雑さ」の観点から分析を行うことである.具体的には,3つの異なった学習環境の日本語学習者のストーリーテリングの言語使用をTユニットや節数等によって比較分析する.第1群は,自国の教育機関で日本語を学ぶJFL群,第2群は,来日後,教室環境で学ぶJSL-C群,第3群は,日本に在住し,教育機関には通わず自然習得によって日本語を学ぶJSL-N群である.3群のデータを統計分析した結果,JSL-N群は,JFL群やJSL-C群に比べて,正確さと複雑さの両面において優れていること, JSL-C群はJFL群とあまり差がないことがわかった.しかし,JSL-C群はJSL-N群と同様,JFL群に比べて並列節を用いて長い文を生成していることがわかり,複雑さの発達の前段階であろうと推測された.
著者
亀井 信一
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.81-95, 2021-09-20 (Released:2022-09-20)
参考文献数
18

本研究の目的は,日本で生活する外国人が自立した言語使用者として職を得ることを日本語教育の観点から支援することである.そのために,本稿では求人情報(求人票)を読むのに必要な語彙の特徴,及び履歴書(志望動機)を書くのに必要な語彙の特徴を明らかにすることを調査課題とした.調査データとして,ハローワークの求人票,及び日本語母語話者が書いた志望動機の文章を用いてコーパスを作成し,品詞構成,出現頻度,特徴度を分析した.その結果,求人票については,品詞として名詞が際立って多く,中級後半レベルの語が最も多いこと,その傾向は業種間で差は無いことが明らかになった.志望動機の文章については,特徴的な語として「貴社」,「志望」,「携わる」等があることが明らかになった.また「〜たいと考える」等の頻出文型があることが明らかになった
著者
滝島 雅子
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.315-330, 2020-09-20 (Released:2021-09-20)
参考文献数
17

本研究は,『日本語日常会話コーパス』(CEJC)モニター公開版と『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)のコアデータを用いて,話し言葉と書き言葉における敬語名詞(接頭辞「お」/「ご」が付いた名詞)の使用傾向を比較分析したものである.分析の結果,1)敬語名詞は,CEJC・BCCWJともに,尊敬語・謙譲語に比べて美化語の使用頻度が高く,両データを比較すると,CEJCのほうが美化語が使われやすく,尊敬語や謙譲語はBCCWJのほうが使われやすいこと,2)尊敬語については,CEJCとBCCWJで高頻度語の項目に違いが見られること,3)謙譲語については,特にCEJCにおいて敬語名詞の頻度が低く,謙譲語の空洞化が示唆されること,4)美化語については,クラスター分析により,CEJC・BCCWJともに4つのクラスターが得られ,特に美化語の出現率が高い語群については,CEJCでは派生的な傾向を,また,BCCWJでは語彙的な傾向を示すことが明らかになった.
著者
石川 慎一郎
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.99-115, 2017-09-20 (Released:2019-01-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2

格助詞「デ」の意味役割については多くの研究がなされているが,量的アプローチを組み込んだものは必ずしも多くない.本研究は,現代日本語書き言葉均衡コーパスの7ジャンルから収集した700用例に対して24種の意味役割のコーディングを行い,個々の意味役割に関して,(1)具体的特性,(2)頻度的階層性,(3)内部分類,(4)プロトタイプからの距離の4点を調査した.その結果,(1')個々の意味役割は特定の名詞群によって具現化されており,(2')時空間系が最も高頻度で手段・付帯状況系がそれに次ぎ,(3')中核グループ(場所・手段・理由・様態)とその他のグループに大別され,(4’)プロトタイプとされる場所格との距離は先行研究の言う意味拡張モデルとある程度合致していることが示された.
著者
新井 庭子 分寺 杏介 石原 侑樹 松崎 拓也 影浦 峡
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.144-159, 2017-09-20 (Released:2019-01-11)
参考文献数
38

本研究では,小学校と中学校の理科教科書を対象に,語彙と構文の観点からテキストの複雑さを構成するパラメータを予測し,小・中間でそのパラメータで表現できるギャップがあることを示す.中学校に適応できないいわゆる小・中ギャップは,生活面と学習面から研究されてきたが,教科書等の教材のテキストの相違がもたらすギャップに着目した研究はない.本研究はこの点を背景に,テキストの表現形式に具体的にどのような差があるのかを,小・中ギャップに関連する段階の教科書を対象に明らかにするものである.分析の結果,小・中の教科書には特に係り受け関係の複雑さに顕著な差があることが明らかになった.
著者
金 明哲 鄭 弯弯
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.265-276, 2020-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
5

MTMineR(Multilingual Text Miner with R;エム・ティ・マイナー)は,テキスト計量分析の研究と教育のために,約20年前から開発し続けているフリー・ソフトウェアである.これは日本語,中国語,韓国語,英語,ドイツ語などのテキストから計量分析に必要となる要素を集計し,Rをバックで動かして統計分析を行うツールである.すべての操作は,マウスを用いたメニュー操作,オプションの指定,実行のボタンを押すことで結果が出力されるように設計されている.主な機能としては,データの前処理機能,計量分析に必要な構成要素の集計と検索機能,集計したデータの可視化方法,主成分分析,対応分析,クラスター分析などの統計的データ分析方法,トピックモデル,サポートベクターマシン,ランダムフォレストなどの最新の機械学習法が実装されている.MTMineRは市販のテキストマイニングツールでは実装されていない言語学や文体科学の研究に必要な機能を多数備えている.
著者
李 広微 金 明哲
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.19-32, 2019

「国民作家」と呼ばれる夏目漱石の個性的な文体は,多くの読者を魅了し,模作され続けている.水村美苗が漱石の未完の小説『明暗』を模倣して書いた『続明暗』は,その文体模倣の完成度の高さから注目を浴びた.本稿では,計量的アプローチを用いて,水村が文体模倣のためどのような点を工夫していたか,『明暗』と『続明暗』二作品の文体にどのような異同があるかをめぐって,コーパス言語学の観点から分析を展開した.文の長さ,タグ付き形態素,品詞の構成及び文節パターンについて計量分析を行った.その結果,ほかの比較テキストに対照して,『続明暗』は文の長さ,語彙,品詞,構文などに於いて,『明暗』に似ている部分やその度合,残存されている水村の表現特徴などを見つけ出すことができた.
著者
李 在鎬
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.147-162, 2019

本研究では,「現代日本語書き言葉均衡コーパス」(BCCWJ: Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)に含まれている教科書データ412件について日本語教育のためのリーダビリティと語彙レベルの分布を計量的に分析した.分析の結果,次の4点が明らかになった.1)学年が上がるに従って,日本語教育的観点からみた文章の難易度も上がっていくこと,2)小1~高校までの10学年は,5つのグループに分けられること,3)「社会」や「数学」や「理科」などは比較的難しい文章で構成されているのに対して,「国語」や「芸術 」などは比較的読みやすい文章で構成されていること,4)初級語彙は学年が上がるに従って,減少していくのに対して,中級語彙は増えていく傾向が見られたことである.こうした計量的分析結果は,年少者日本語教育の教科学習における日本語指導の範囲を決めるための基礎資料になると考えられる.
著者
宮島 達夫
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.p289-295, 1982-12

1 0 0 0 計量国語学

著者
計量国語学会編
出版者
計量国語学会
巻号頁・発行日
1957

1 0 0 0 鏡文字

著者
樺島 忠夫 佐竹 秀雄
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
no.70, pp.1-6, 1974-09
著者
水谷 静夫 松原 順子 坪井 美智子
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
no.58, pp.21-40, 1971-09