著者
李 在鎬
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.84-98, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本稿では,大規模テストの問題作成におけるコーパスの利用可能性を考察した。考察においては言語テスト分野におけるコーパス利用の現状を紹介した後,試験問題の作成過程でコーパスを用いる利点について述べた。そして,読解の問題作成での利用を想定し,日本語能力試験の級区分に基づくコーパスデータの分析を試みた。分析においては,日本語能力試験の読解テキストを学習データ,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の収録データを評価データにし,判別分析を行った。この分析から『現代日本語書き言葉均衡コーパス』の収録データが1級から4級のどの級に相当するかを明らかにし,問題作成における利用範囲を示した。最後に,日本語教育におけるコーパス分析の視点としては,定量的アプローチだけでなく,具体的な用例を確認しながら質的に分析していくアプローチも必要かつ重要であることを指摘した。
著者
李 在鎬
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.147-162, 2019

本研究では,「現代日本語書き言葉均衡コーパス」(BCCWJ: Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)に含まれている教科書データ412件について日本語教育のためのリーダビリティと語彙レベルの分布を計量的に分析した.分析の結果,次の4点が明らかになった.1)学年が上がるに従って,日本語教育的観点からみた文章の難易度も上がっていくこと,2)小1~高校までの10学年は,5つのグループに分けられること,3)「社会」や「数学」や「理科」などは比較的難しい文章で構成されているのに対して,「国語」や「芸術 」などは比較的読みやすい文章で構成されていること,4)初級語彙は学年が上がるに従って,減少していくのに対して,中級語彙は増えていく傾向が見られたことである.こうした計量的分析結果は,年少者日本語教育の教科学習における日本語指導の範囲を決めるための基礎資料になると考えられる.
著者
酒井 たか子 加納 千恵子 李 在鎬 小林 典子 関 裕子 田中 裕祐 河野 あかね 清水 秀子 加藤 あさぎ 甲斐 晶子 董 然 孫 辰 杜 暁傑 阿部 宥子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多言語背景で日本語を学習している年少者の学習支援に役立つ情報を提供する目的で、教科の学習に必要な語彙調査研究を行った。理科に関しては、小学校3年生から6年生の教科書の分析、教員による重要度判定を行い重要語彙の表を作成した。また学習言語を中心として日本語力診断テスト(SPOT、漢字SPOT、漢字テスト)を作成し、インターナショナルスクールでの縦断的研究、公立小学校での調査を行い、テストの有効性を確認した。
著者
赤岡 功 武石 彰 李 在鎬 姜 判国 陳 韻如 井村 直恵 光田 稔 平野 実 Akaika Isao Takeishi Akira Lee Jaeho Kang Pankuk Chen Yun-ju Imura Naoe Mitsuda Minoru Hirano Minoru アカオカ イサオ タケイシ アキラ LEE Jaeho KANG Pankuk CHEN Yun-ju イムラ ナオエ ミツダ ミノル ヒラノ ミノル
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学経営情報学部論集 (ISSN:18827985)
巻号頁・発行日
no.2, pp.207-225, 2010-02

本稿は,平成21年3月7日に県立広島大学に於いて開催された文部科学省科学研究費補助金による企業経営シンポジウム「今,企業経営を考える-グローパルマーケットでいかに生き残るか-」の内容を纏めたものである。シンポジウムは,基調講演(「自動車産業における企業の境界」京都大学武石彰), 3つの研究報告(「韓国の自動車部品調達と日本からの示唆」京都橘大学 李在鏑, 「韓国ハイニックス半導体の再生」 県立広島大学 姜判国,「台湾 AcerWistron社の再生を通じた競争優位の再構築」 九州国際大学 陳韻如・京都産業大学 井村直恵) および,パネルディスカッションで構成された。本稿では,これらのシンポジウムの内容の中で、Ⅰ基調講演とⅡパネルディスカッションの内容について記載する。
著者
野口 裕之 堀川 有美 李 在鎬 庄司 惠雄 熊谷 龍一 野原 ゆかり
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本語口頭能力試験のための評価システムを開発する研究を進めた。このシステムでは Web ベースで配信した受験者の発話標本を聞きながら、評価者が PC 画面上に逐次提示される評価票の各項目に評定結果を入力する。評価者毎には課題を通して比較的一貫した評定であった。評価者間では「量的評価」の方が「質的評価」よりも相対的に一致した結果が得られたが、「量的評価」でも一部の評価者で他と異なる評定結果を示した。多相ラッシュ分析を適用した結果は、評価者の厳しさの違いは無視できないが、推定された能力尺度値は予め 12 名の発話者に想定した能力水準と大きくは異ならないことを示した。
著者
堀 恵子 江田 すみれ 李 在鎬
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本語教師支援のために文法項目の用例文を,話し言葉と書き言葉の複数のコーパスから抽出し,データベースを構築し,web上で公開する。文法項目は,日本語教育で教えられ,評価基準に用いられているものを1,884項目選んだ。文法項目に対し,日本語教育経験者による主観判定実験を行い,6段階レベルづけを行った。用例文は,5種の書き言葉コーパス,4種の話し言葉コーパスから抽出した。文解析システム「学習項目分析システム」と用例文データベースを公開する。