著者
丹羽 壮一 片山 信 関本 千恵子 Soichi Niwa Nobu Katayama Chieko Sekimoto 鈴鹿短期大学学術研究会 市邨学園短期大学 三重県上野保健所 SOCIETY OF SCIENCE RESERCH OF SUZUKA JUNIOR COLLEGE Ichimura Junior College Ueno Health Center Mie Prefecture
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
pp.27-58, 1980-12-01

三重県において,脳卒中死亡率の高率地区であり,かつ,米単作地帯の大山田村住民の40~46才の年令層を対象とし,血圧測定をおこなった。ついで,その成績を基礎として,高血圧出現頻度が比較的多かった阿波地区を対象とし,男子の高血圧者在宅世帯および非高血圧世帯のそれぞれの代標本として,各世帯を任意に抽出し,その栄養摂取状態についてしらべた。(1)血圧状況では,全国平均よりも高い値を示した年令層は最高血圧値においては,男子群の45~49才,女子群の40~44才で,最低血圧においては,男子群の45~49才のみであった。また,全国平均よりも低い値を示した年令層は,最低血圧において,男子群の50~59才,女子群の50~54才であった。これらの年令層は,より血圧に関心が深く,栄養改善思想に浴することが多く,このことに長く努力を持続している人々であろう。(2)栄養摂取量では,動物性タンパク質において,高血圧世帯と非高血圧世帯との間には1%の危険率で有意差がみられ,とくに非高血圧世帯が高い値を示したが,それらの値は,両世帯とも標準量を上回り,かつ,昭和39年の栄養調査の値よりもいちじるしい向上がみとめられた。糖質についても,高血圧世帯と非高血圧世帯との問には,1%の危険率で有意差がみとめられ,非高血圧世帯では,かなりの糖質摂取の減少傾向がみられたのに反し,高血圧世帯では,糖質の多量摂取傾向が目立った。つぎにカルシウム,ビタミンAおよびビタミンB_2は,両世帯ともに不足がちであることがわかり,とくに,ビタミンB_2は高血圧世帯において,それがいちじるしかった。(3)食品群別摂取量では,魚介類および獣鳥肉類は,高血圧世帯と非高血圧世帯との間に有意差がみられ,非高血圧世帯は,高血圧世帯よりも高い値を示したが,それらの値は,両世帯とも,それぞれの目標量を上回るとともに,昭和39年の栄養調査の値よりもかなり改善されていることがわかった。この動物性食品の摂取増加と本村における昭和42年からの脳卒中訂正死亡率の低下傾向とは決して無関係とはいえない。つぎに,高血圧世帯と非高血圧世帯との間に有意差はなく,かつ,目標量をはるかに下回っていた食品群は,乳卵類および緑黄色野菜であった。(4)食塩摂取量は,高血圧世帯では16.4g,非高血圧世帯では14.4gであり,両世帯との間に有意差は認められなかったが,両世帯とも決して少ない値ではなかった。(5)兼業を除いた農業労働のみにおいては,高血圧世帯と非高血圧世帯との問に有意差はみられなかった。(6)阿山郡大山田村の郷土食については,穀類では「茶がゆ」の摂取は飯高町のそれよりも摂取頻度が少なく,白がゆに煎った大麦を粉にした「こうせん」を入れた「こうせんがゆ」の摂取頻度が多いことが特徴である。また,豆類では,豆腐の「でんがく」は摂取頻度が多かった。終わりに臨み,終始ご指導ご助言を賜わった学長堀敬文先生に深い感謝の意を表するとともに,いつも変わらぬご指導ご高配賜わっている三重県上野保健所長関本千恵子先生に深甚なる謝意を表する。In Oyamada Village, Mie Prefecture, where a high death rate from cerebral apoplexy is indicated, the blood pressure in males and females of 40-60 years was measured. Based on the results in the Awa district where of hypertension was comparatively frequent, nutritional intake was studied randamly selected 20 households each with and without patients of hypertension. (1) Blood pressure : The age group with a systolic pressure higher than the nationwide average was the 45~49 year male group and 40~44 year female group and that with a diastolic pressure higher than the nationwide average was the 45~49 year male group alone. The age group with a diastolic pressure lower than the nationwide average was the 50~59 year male group and 50~54 year female group. The people in this age group may be more concerned about their blood pressure, more of ten accept ideas on nutritional improvement, and can be said to make continued efforts to improve their dietary habits for a long time. (2) Nutritional intake : There was a significant difference between the intake of animal protein of the group with hypertension and that not having hypertension, statistically significant at the 99% level. It was particularly high in the group without hypertension. However, the values of both groups were higher than the standard allowance, and had improved markedly since 1964 when a nutritional survey was conducted. There was also a significant difference between the intake of carbohydrates of the group with hypertension and that without hypertension (signifi-cant at the 99% level) . In the group without hypertension, the intake of carbohydrates tended to be reduced, whereas in the group with hypertension, large amounts of carbohydrates tended to be consumed. The intake of calcium and vitamins A and B_2tended to be insufficient in both groups. The intake of vitamin B_2 was especially low in the group with hypertension. (3) Intake of foods : There was a significant difference between the group with hypertension and that without hypertension in their intake of fish, meat and poultry. That is, the group with no hypertension consumed more of these foods than that withut hyopertension. However, more than the standard allowance of these foods were consumed in both groups, and the intake was found to be greater than the values obtained during the 1964 survey. These finding suggest that the increase in the comsunption of animal foods is related to the lowering tendency of the adjusted death rate from cerebral apoplexy since 1967 in this village. Less than the standard allowance in both groups without any significant difference between the two groups, were fat, milk, eggs and green vegetables. (4) Salt intake was m:17.4g with hypertension households and m:15.4g with non-hypertension households. Between them no significant difference was observed. (5) A significant difference in agricultural labour as a special occupation, not as a side business was noticed between the hypertensive households and the nonhypertensive households. (6) Local diet in Oyamada Village Ayama County : Grain ; The consumption of tea rice gruel was less frequent than in Iidaka-cho, and that of gruel with roasted oatmeal was more frequent. Legumes ; Bean curd, baked and coated with miso were often consumed.
著者
星野 芳実
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.107-122, 1982-12
著者
岡野 節子 久保 さつき 岩崎 ひろ子 水谷 令子
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.135-142, 1991

ハマチの燻製を製造するための前処理としての塩漬け法と塩抜き法の検討を行った。(1)ハマチを塩漬けすると部位によって吸塩量に違いが見られた。すなわち,頭部,腹部の吸塩量が少なく,尾部で多かった。(2)塩漬け中の水分は5時間までは減少するが,その後の変化はほとんど見られず,たて塩法で脱水は少なかった。(3)塩抜きした時点では,ため水法の方がわずかに多く塩が抜けた。
著者
梅原 頼子 福永 峰子 山田 芳子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-43, 1994-02

女子短大生の昼食弁当について調査を行った,結果は次のごとくであった。1)お弁当作りの意識について,「色どりを考える」85.7%,「味付けを考える」,「分量を考える」39.3%,「主食・主菜・副菜の組合せを考える」25.0%であった。2)お弁当の食物総重量は,平均283.1±71.8gであり,重量比では主食55.9%,主菜・副菜40.3%,デザート3.8%であった。3)出現した料理数は,平均6種類。食品数は,7〜10種類の使用が多かった。4)食事形態別にみると主食・主菜・副菜・デザートの組合せが31.0%,主食・主菜・副菜の組合せが61.9%であった。5)料理を主材料別に分類し,料理名をそれぞれ5位まであげると,白飯,卵焼きは6割以上を占め1位であった。ついでウインナーソテー,レタス,ほうれん草のお浸しであった。6)出現した料理名について学生の好みと使用頻度をみると,主食にはおにぎり,主菜にはハンバーグ,鶏唐揚げ,卵焼き,副菜にはプチトマト,デザートにはみかん,いちごが好まれ,よく使われていた。7)栄養素等摂取量は,所要量と比較するとエネルギー(78.5%),カルシウム(24.9%),鉄(47.5%)が不足傾向であった。栄養比率をみると脂肪エネルギー比がやや高値であった。8)学生によってお弁当の評価を行った結果,改良を必要とするのは全体の71.4%であった。改良の内容には,食品数が少なく料理を1〜2品増やす必要があり,なかでも乳製品,果物,野菜が不足していることを指摘した。本研究の要旨は,第40回日本栄養改善学会で発表した。
著者
梅原 頼子 福永 峰子 山田 芳子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.83-91, 1998

本学の生活学科女子学生(18〜19歳)1,815名を対象に過去6年間にわたる食生活の実態を調査し,次のような結果を得た。1)居住形態では,自宅外通学生が増えてきている。2)対象者の身体的特徴では,平均身長は6年間同一の傾向がみられるが,平均体重は年々増え,肥満傾向となっている。3)健康に対する自己評価は,約半数が元気でないと訴えており,その自覚症状としては疲れやすい,朝から体がだるい.睡眠が十分とれないと答えた者が多い。4)栄養素等摂取量は,食塩を除きその他の栄養素はどの年度も充足されず,特に鉄,カルシウムは最も低い値であった。5)PFCエネルギー比については,脂肪エネルギー比率は年々増加傾向を示している。6)食品群別摂取量は,穀類および肉類以外は目安量に対し大幅に不足している。また,年次推移では油脂類,牛乳・乳製品,野菜類,調理加工食品は増加傾向を示し,一方,穀類,果実類,肉類は減少している。
著者
西村 亜希子 水谷 令子 岡野 節子
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.73-78, 1996

乾麺の調理過程での食塩量変化と摂取時の食塩量を把握することを目的として,ひやむぎ食塩量とゆで時間,ゆで麺の水洗いの関係,さらにつけ麺・かけ麺の二種類の食べかたでの食塩摂取量について実験を行った。その結果,ゆでることで機械打ち・手延べひやむぎともに食塩量は20%以下に減少し,さらにゆで麺を洗うことで5%以下になった。ゆで時間の長短は食塩濃度に関係しなかった。また食べ方についてはつけ麺のほうがかけ麺より食塩摂取量が有意に少なくなった。この食べ方での実際の食塩摂取量はつけ麺で使用材料から計算した値の24%,かけ麺で40%であった。
著者
山田 芳子 福永 峰子 梅原 頼子 印南 京子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.87-103, 1992-02

三重県農林水産部農政課では,三重県における四日市・松阪地区の県立高等学校家政科2年生(女子)164名を対象として,食生活改善重点啓発事業のひとつとして「ヤング食生活講座」を実施した。実施に伴い判明した問題点は次の通りである。1)自覚症状のある者の割合は「疲れやすい」がトップで62.5%,ついで「体がだるい」50.0%,「目覚めが悪い」48.4%であった。2)食事時間が「規則正しい」は22.2%であった。食事にかける時間は,夕食>朝食>昼食の順で短かった。3)朝食の欠食頻度は「ほとんど毎日」が28.8%と高値であった。4)間食はかなり高い摂取頻度であった。夜食・外食の摂取頻度は低い。5)食品や料理の組み合わせを「いつも考えている」は3.1%,「ときどき考えている」は32.3%であった。好きな料理の組み合わせについては主食をご飯,おかずは洋風といった和洋折衷が好まれた。6)食事時間と健康状態,朝食摂取頻度と健康状態および食欲と欠食状況との間には有意差(X^2,P<0.05)が認められた。7)栄養素等摂取量では鉄(60.9%),カルシウム(67.9%)が大幅に不足しており,次いでビタミンC(74.9%),ビタミンB_2(76.4%),ビタミンB_1(78.1%),ビタミンA(83.6%)であった。8)栄養比率はほほ理想的パターンを示した。9)食品群別摂取量では緑黄色野菜(32.7%),淡色野菜(41.3%),果物(32.1%),牛乳・乳製品(35.8%)であり,摂取不足が著しい。