著者
安部 浩之 佐々木 伸雄 平林 良一 廉沢 剛 西村 亮平 竹内 啓 山口 和久
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia & Surgery
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.53-57, 1991

A 4-year-old female toy poodle was admitted with signs of unconsciousness, left head tilt, nystagmus of the left eye, paralysis of the limbs and severe salivation due to falling downstairs. Medical therapy including dexamethasone, diazepam administration was started just after the admission, and then radiography and a CT-scan were performed under xylazine sedation. As a result, the left articular process of the occipital bone was fractured and the bone fragment seemed to compress the cervical spinal cord. The patient received the surgery under GOP anesthesia. The ventral aspect of the occipito-atlantal joint was incised and a few bone fragments around the spinal cord were removed. On the 2nd day of postoperation, the light reflex of the both eyes appeared and the patient recovered consciousness on the 3rd day. On the 7th day, the patient showed a good appetite, and anal reflex and postural reflexes of the right forelimb reversed. On the 14th day, the postural reflexes of all the hindlimbs appeared and the patient could show voluntary walking. At the 8th month of postoperation, the gait and other behaviors were almost normal.
著者
田上 正明 橋本 裕充 角田 修男 椿下 早絵 加藤 史樹
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 = Japanese journal of veterinary anesthesia & surgery (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-11, 2004-01-31

症例はサラブレッド種競走馬228頭であった。関節鏡手術を実施した関節数は244関節、骨折部位は320ヵ所で主な部位は橈骨遠位外側139(43.4%)、中間手根骨近位43(13.4%)、橈側手根骨遠位48(15.0%)、第3手根骨近位48(15.0%)ヵ所であった。全体の競争復帰率は89.9%で、競争歴のある症例の競争復帰率は92.8%であった。休養日数の平均は239.3日、出走回数の平均は12.5回、収得賞金の平均は1382.0万円であった。術後成績は、競走復帰率、出走回数、収得賞金において非常に良好であった。

1 0 0 0 OA 兎の全身麻酔

著者
斉藤 久美子 中西 真紀子
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.27-32, 1998-01-31 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12
著者
千々和 宏作 西村 亮平 中島 亘 大野 耕一 佐々木 伸雄
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia & Surgery
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 = Japanese journal of veterinary anesthesia & surgery (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.21-27, 2008-07-30
被引用文献数
4 1

卵巣子宮摘出術後の縫合糸反応性肉芽腫が疑われた犬22症例について、その疫学、治療、および長期予後を臨床的に解析した。22症例中15例(68%)がミニチュア・ダックスフントであった。診断時の年齢は、中央値3.5(1.1~9.3)歳齢、卵巣子宮全摘出術から診断されるまでの期間は、中央値2(0.3~4.3)年であった。最も多く認められた(13/22)症状は、嘔吐または下痢を伴うあるいは伴わない、元気消失、食欲不振、体重減少、発熱といった非特異的なものであった。検査した17頭中14頭(82%)で、血漿C反応性蛋白(CRP)の上昇を認めた。腹腔内の肉芽腫をすべて摘出した20例では、20症例中16例で、肉眼的または病理組織学的に縫合糸が確認された。周術期に腎不全で斃死した1例を除く19症例中8例(42%)が、経過良好であった。一方、11例は、肉芽腫性胃腸炎、脂肪織炎、無菌性肉芽腫などの新たな疾患の発症や、腹腔内肉芽腫の再発が認められ、11例中10例がミニチュア・ダックスフントであった。以上のことから、避妊手術後の腹腔内肉芽腫はミニチュア・ダックスフントに好発し、腹腔内の肉芽腫を外科的に切除しても、病理組織学的に肉芽腫性炎症を特徴とする新たな疾患を発症する可能性があるものと推察された。<br>
著者
仲澤 宏 伊藤 良樹 谷 健二 板本 和仁 土橋 英理 原口 友也 田浦 保穂 中市 統三
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.29-34, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

11歳の雌の柴犬が2ヵ月前からの頻回の嘔吐を主訴に当院を紹介来院した。初診時、ボディコンディションスコア(BCS):3/9、X線CT検査において胃の拡張と幽門部の胃壁の肥厚、内視鏡検査において幽門部の腫瘤病変が認められ、内視鏡下生検では胃腺癌が強く疑われた。内科的な入院管理の後、幽門部の腫瘤を含む遠位約1/3の胃と十二指腸を約1.5 cm切除し、ビルロート II法による消化管の再建を行った。手術によって摘出した腫瘤の病理組織学的診断は胃腺癌であった。症例は術後合併症や再発の兆候もなく、術後約7ヵ月の現在も良好に維持されており、QOLの向上のためにも、転移を示唆する所見がない症例では積極的な切除を試みることが重要であると考えられた。
著者
宮脇 慎吾 渡邊 一弘 大場 恵典 村上 麻美 藤原 博孝 山添 和明
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.25-28, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であった会陰ヘルニアの症例(6歳、未去勢雄)に遭遇した。症例は直腸検査で会陰部に腫瘤を認め、超音波検査で腫瘤内の液体が確認された。手術時に会陰部の切開で被膜が露出し、多量の液体が排出された。摘出した被膜は病理組織学的検査で傍前立腺嚢胞と診断された。両疾患の併発は十分に考えられ、ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であることは稀であるが鑑別リストとして考慮する必要がある。
著者
丸谷 永一 鈴木 馨
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.63-70, 2004 (Released:2004-12-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

日本産野鳥111種2,189点の保護記録から, 骨折の発生状況を明らかにし, 予後因子を検討した。骨折は16%の個体に認められ, 骨折個体の保護治療後の放野率は28%であった。骨折部位は, 部位不明を除くと翼が全体の37%を占めており, 翼以外 (22%) を上回っていた。骨折の予後因子として最も重要なのは体格であり, 大型鳥では放野率30~40%であるのに対し, 特に小型鳥の翼部開放骨折の放野率は8%であった。また、放野までの保護収容期間は, 翼骨折で明らかに長期化しやすく, 3ヵ月近くに及ぶものも少なくなかった。これらのことから, 小型鳥の翼骨折に焦点をあて, 保護から放野に至るまでの一貫した治療プログラムの構築が, 重要な研究課題であると考えられた。
著者
丸谷 永一 鈴木 馨
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.11-17, 2005 (Released:2005-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

野鳥における骨折の治療成績を向上させることを目的に,ニホンウズラの上腕骨骨折に3種類の手術法を適用し,リハビリテーションを行いながら,回復過程を評価した。太さに比べて軽量な注射針を用いた内軸固定では,手術の成功率が40%と低かったが,成功したときの回復は,形態・機能ともにきわめて優れていた。ペーパークリップを利用した簡易な外部固定では,確実に骨の癒合が得られたが,変形が著しく,機能回復も不十分であった。内軸固定と外部固定を併用した場合は,全例で骨折の治癒を認めたが,個体により回復の程度に差が大きく,良好に推移したときもリハビリテーション期間が延長した。これらのことから,実際の臨床応用にあたっては,対象となる鳥種や動物の気質,収容可能な期間,その他治療施設の事情などにより,方法を使い分けることが望ましいと結論づけられた。
著者
三川 和博 伊東 輝夫 石川 憲一 串間 清隆 内田 和幸 椎 宏樹
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia & Surgery
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 = Japanese journal of veterinary anesthesia & surgery (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.87-91, 2005-10-30
被引用文献数
1 2

犬49頭に発生した耳血腫59例を再検討した。体重5 kg以下、5~10 kg、10~20 kg、および20 kg以上の頭数はそれぞれ1(2.1%)、6(12.8%)、11(23.4%)、および29(61.7%)頭であった。ゴ-ルデンレトリバ-とラブラドールレトリバーで全発症犬の55.1%を占め、これらの犬種の高いリスクが示唆された。全59例の45例(76.3%)は外耳炎を併発しており、52例(88.1%)は5歳以上で発症していた。罹患耳を病理組織学的に検査した4例では耳介軟骨の糜爛が認められた。これらの結果から、耳血腫発症には大型犬(ゴールデンレトリバーおよびラブラドールレトリバー)、中高齢、および共存する外耳炎など複数の危険因子が存在し、さらに自己損傷や耳介軟骨の加齢性変化が、軟骨骨折の発生と続発する血腫形成に寄与していることが示唆された。<br>