著者
中島 幸平 岡田 啓 間瀬 憲一 佐々木 武彦 渡邊 一弘 板倉 英三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AN, アドホックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.454, pp.109-114, 2011-02-28

IEEE 802.11n無線LANはチャネルボンディング機能を有しており,通信帯域を20MHzもしくは40MHzに設定することができる.また,2.4GHz帯,5GHz帯の2つの周波数帯をサポートしているため,無線メッシュネットワークを構成する場合,利用状況に応じてこれらの機能を使い分けることにより効率的な伝送を可能にできると考えられる.本稿では,屋内実験により2.4GHz帯と5GHz帯におけるIEEE 802.11n無線LANのスループット評価を行い,比較的チャネルに空きがある5GHz帯利用の有効性を示す.また,新潟大学屋外テストベッドを用いて2.4GHz帯におけるマルチホップ通信時のチャネル利用についての検討を行い,40MHzの周波数帯域を使用してマルチホップ通信をする場合,チャネルボンディング機能を使用して通信するよりも,20MHzのチャネルを複数割り当てた方が,高いスループットが得られることを確認する.
著者
山添 和明 宮本 修治 彦坂 洋子 北川 幸治 渡邊 一弘 酒井 洋樹 工藤 忠明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.611-617, 2007-06-25
参考文献数
35
被引用文献数
1 5

犬の肉球欠損に対する代用物として犬の培養肉球の作成を試み,表皮形態の形成過程の観察に加え,基底膜の構成成分のうち細胞接着分子であるα_6インテグリンと,細胞外マトリクスであるラミニン,4および7型コラーゲンの発現を経時的に検索した.培養肉球表皮は気相下培養5日目において肉眼的に容易に識別される程度の厚さとなったが,7日目には表皮には多くの雛襞が見られ,10および14日目には収縮した.組織学的には気相下培養1日目においてケラチノサイトは4あるいは5層に増加し,基底層への分化が認められた.その後5日目までに顆粒層と厚い角質層がそれぞれ認められ,少なくとも14日目まではその形態は維持された.一方,α_6インテグリンは気相下培養後1日目において真皮-表皮間に元の肉球組織とほぼ同程度の強さで発現した.ラミニンと4型コラーゲンはそれぞれ5および10日目に真皮一表皮間に断続的に発現し,14日目には元の肉球組織とほぼ同様の蛍光強度となった.7型コラーゲンは2日目において真皮-表皮間に断続的に発現したが,14日目時点においても連続性は認められなかった.これより,基底膜におけるアンカリングフィブリルの形成が不完全であると考えられたが,元の肉球組織に類似した犬の培養肉球が作成されたことが示唆された.
著者
渡邊 一弘 能島 裕介 石渕 久生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.687-692, 2015 (Released:2016-02-26)

従来,ミシガン型ファジィ遺伝的機械学習においては,単一のパターンからルールの生成を行っていた.先行研究において,我々は複数のパターンを用いたルール生成について提案し,単一のパターンからのルール生成よりも優れていることを示した.その際,選択したパターン同士のクラスの相違や,パターン間の距離についての考慮を行わなかった.本研究では,複数のパターンからのルール生成において,パターンのクラスや,パターン間の距離を変化させることによって,獲得される識別器にどのような影響を及ぼすのかについて調査する.
著者
渡邊 一弘
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.163-178, 2012-01-30 (Released:2020-11-05)
著者
渡邊 一弘
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年度の主要研究業績である論文「応用哲学の現状と課題」および学会発表「経済学におけるモデルと実在」は、一方で過年度の古典的・理論哲学的研究の成果を基礎としつつ、他方で本研究がその目的のひとつとする応用的・学際的研究の積極的展開を企図して進められた。「経済学におけるモデルと実在」では、経済学方法論でいまや古典の位置を占めているミルトン・フリードマンの科学観を取り上げた。議論の出発点は、「経済学を含む実証科学の目的は予測の成功であり、理論における諸前提は非現実的なものであってもかまわない」という主張と解釈されてきたフリードマンの「実証的科学の方法論」が、現象に大きな変化が起こった場合の理論選択ないし理論構築の問題にそのままではまったく対処し得ないという問題である。ここからさらに次の点を論じた。(1)科学の現場において理論選択や新しい理論構築にあたって実際に指針とされるのは「科学的モデル」である。(2)そのような科学的モデルには、力学モデルからグラフィック・モデルに至るまで、多種多様なものが含まれる。(3)ただし経済学において通常扱われるモデルはほとんど「数式モデル」だと考えられている。(4)しかし、経済学にも多様なモデルの使用が理論の改良・構築に貢献してきたことは、いくつかの理論史的事例から確認できる。(5)このような科学的モデルと理論構築との関係を視野に入れることで、フリードマン流の科学方法論をより実際の科学の営みに即したものに作り替えることができる。また、「応用哲学の現状と課題」では、「経済学の哲学」と「哲学カウンセリング」という我が国においては未発達な哲学の応用的分野の欧米における先行研究をサーベイし、今後の展開への示唆を与えた。
著者
宮脇 慎吾 渡邊 一弘 大場 恵典 村上 麻美 藤原 博孝 山添 和明
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.25-28, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であった会陰ヘルニアの症例(6歳、未去勢雄)に遭遇した。症例は直腸検査で会陰部に腫瘤を認め、超音波検査で腫瘤内の液体が確認された。手術時に会陰部の切開で被膜が露出し、多量の液体が排出された。摘出した被膜は病理組織学的検査で傍前立腺嚢胞と診断された。両疾患の併発は十分に考えられ、ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であることは稀であるが鑑別リストとして考慮する必要がある。
著者
渡邊 一弘 菊池 正浩 奥村 正裕 廉澤 剛 藤永 徹
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.889-894, 2001-08-25
被引用文献数
2 8

犬の歯根尖部にみられるapical deltaという複雑な構造は, 根尖病変の要因の一つと考えられている. 本研究では, apical deltaを含む根尖病変を除去するために行われている根尖切除術を実験的に犬に施した後, エナメルマトリックスタンパク(EMP)を根尖部に注入し, 根尖部歯周組織再生に対するFMPの効果を組織学的に検討した. ビーグル成犬5頭に対し, 全身麻酔下で左右の上顎第4前臼歯頬側近心根および上顎犬歯根の根尖とセメント質を除去した後, 左右いずれか一方の術部にEMPを注入し, 反対側を対照群とした. 12週間後, 安楽死して組織を採取し, 光学顕微鏡下で根尖切除部位における欠損の大きさ, 新生セメント質およびこれと新生骨を結ぶコラーゲン線維の有無を評価した. その結果, EMP群では対照群に比べ, 切除部位の欠損部は小さく, 新年セメント質の形成は優勢であった. 特に, 対照群では認められない新年セメント質と新生骨を結ぶコラーゲン線維が明らかに存在し, EMPが根尖切除後の根尖部歯周組織の再生を促進することが確認された. これらの所見は, 犬の根尖切除術に対するEMP使用の有用性を示唆するものである.