著者
佐藤 大和
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.775-784, 1993-11-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13

共通語アクセントの統計的分析結果を報告する。「日本語アクセント」辞典に収録されている約6万語に、語の構造を示す境界記号を付し、計算機に入力して、単語長別、語種別(和語、漢語、外来語等)、及び語構造別にアクセント型を集計した。従来より、語尾から3番目のモーラに核を置くアクセント型(逆3型)が頻度の高い型であることが知られていたが、こうした逆3型などの中高型アクセントは、語の複合によって生じていることを語構造とアクセントの分析結果から明らかにする。また、日本語の基本語彙を構成する4モーラ以下の語に関して、語種別に頻度の高いアクセント型を示し、短い語から長い複合語に至るアクセント型の変遷を考察する。
著者
匂坂 芳典 佐藤 大和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J66-D, no.7, pp.849-856, 1983-07-25

日本語テキストからの音声合成で必要な韻律情報(アクセント,イントネーション)の生成規則を確立するため,アクセント句を構成する単語の性質からアクセント核の位置を決定する規則を検討した.本規則化では従来の個別的な記述の整理,分析を行い,単語間アクセント結合において,後続単語のアクセント属性として結合アクセント価とアクセント結合様式を提案する.これにより付属語アクセント結合の統一的な規則化を行うと共に,複合単語についても同様の規則化を図った.また,これらの規則の妥当性を示すため,自立語に付属語が複数個連なる文節3445文節,複合単語4877語を用いた推定実験を行った.この結果,各々98.3%,95.4%の正解率が得られ,本規則の有効性が確認された.さらに,これら推定実験結果の分析から,アクセント決定には句を構成する語の性質,句の構造,語の用法と意味等が種々に反映されることが示された.
著者
佐藤大和
出版者
明治書院
雑誌
日本語の音声 音韻
巻号頁・発行日
1989
被引用文献数
1
著者
佐藤大和
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4(2009-CH-081), pp.17-24, 2009-01-16

本論文は,奈良時代の「万葉集」,平安時代の「源氏物語」,鎌倉・室町時代の「平家物語」,さらに近代の文芸資料である「夏目漱石の講演」等を素材として,1千年以上に渡る日本語の歴史における音節の統計的性質に関して述べたものである。分析に必要なテキストコーパスの作成,音韻・音節の分析法,およびその統計的特性が報告される。音節の分布特性は,4時代ともほぼ同一特性の指数分布に従うことが明らかとなり,これが日本語における普遍的特性であることが示される。また,指数分布の形状を決めるパラメータ(記号論的温度)と音節の平均情報量(エントロピー)との関連が,情報理論的側面から議論される。
著者
松江 勇次 佐藤 大和 内村 要介 尾形 武文
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.463-468, 2002-12-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
28
被引用文献数
6 7

要旨 : 早晩性を異にする水稲低アミロース極早生4,早生2および晩生1品種の計7品種を供して,登熟温度の違いが精米のアミロース含有率および玄米の白濁に及ぼす影響を検討した.低アミロース米品種においても登熟温度と精米アミロース含有率との間には,一般飯米用品種で認められているように,有意な負の相関関係が認められた.さらに,低アミロース米品種における登熟温度の違いによる精米アミロース含有率の変動はコシヒカリや日本晴に比べて著しく大きかった.登熟温度の違いによる精米アミロース含有率の品種間の変動幅をみると,柔小町が6.2~17.4%と最も大きく,逆にミルキークイーンは7.2~10.0%と最も小さかった.精米アミロース含有率の変動の大小の要因としては,登熟温度や千粒重の変動によるものではなく,変動の大きかったスノーパールを除く5品種は低アミロース性遺伝子で気温による精米アミロース含有率の変動が大きいdu遺伝子を有しているためと推察された.登熟温度と白度値(白濁程度の指標とした)との間には有意な正の相関関係が認められるとともに,登熟温度が玄米の白濁に及ぼす影響の程度は品種によって異なり,はなぶさとスノーパールのように登熟温度の違いに関係なく白濁する品種と,彩,ミルキークイーン,ソフト158,朝つゆ,柔小町のように登熟温度の違いによって白濁の有無および程度が異なる品種が判明した.また,精米アミロース含有率と玄米白度値との間には有意な負の相関関係が認められた.精米アミロース含有率と玄米白度値について登熟温度間と品種間の分散成分の値を比較すると,品種間の分散成分の方が登熟温度間の分散成分より大きかったことから,精米アミロース含有率と白濁は品種の影響を大きくうけることが示唆された.
著者
内村 要介 佐藤 大和 松江 勇次
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-4, 2001-03

'安富白'(岡山県産白小豆の派生系統の一つ)と'兵庫大納言'を交配し,その後代から系統育種法により育成した'白雪大納言'の特性ならびに加工適性について検討した. 1.'白雪大納言'子実の百粒重は19.8gで,'岡山白'の約2.2倍,'兵庫大納言'の0.8倍で白小豆では類例のない大粒である.粒形は円筒形で,種皮色は'岡山白'より明度,黄色度,彩度が高い黄白色である. 2.'白雪大納言'は浸漬増加比および煮熟増加比が高く,加工適性全般の形質で優れていた. 3.'白雪大納言'の蜜漬け豆は,色,外観,味,香り,濃厚さにおいて,白あん用豆類との対比では高く評価された.
著者
佐藤 大和
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-78, 2002-04-30

This paper describes Japanese loanword accentuation, and proposes a strategy to assign accent types of these words. About four hundred sixty unitary loanwords are prepared having more than 5 morae. Nine native speakers, with a Tokyo dialect, are instructed to assign the most separable intra-word juncture and accent location of the words. The experimental result shows that Japanese loanword accentuation is closely related to the word formation quasi-structure and the metrical structure formed by compounded syllables in the words. It is clarified that accentuation rules of unitary words with phonological juncture parallel Japanese compound accent rules. Moreover, an additional new accenting rule is also proposed based on the Japanese metrical structure. The loanword accent under such a metrical structure is placed at the penultimate position of the two-mora syllable unit (foot).
著者
阿部 匡伸 佐藤 大和
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.682-690, 1993-10-01
参考文献数
19
被引用文献数
31

音声合成における文音声の基本周波数パタン制御方式として、アクセント句の大きさの配分を設定するグローバルモデルと、音節内の基本周波数を逐次的に実現するローカルモデルからなる2階層制御方式を提案する。ローカルモデルでは、単語内の音節位置ごとに区分化されたモデルに基づき、基本周波数の平均値と変化率が求められる。本方式を連続音声の基本周波数パタンの生成に適用し、高い自然性の得られることを確認した。更に、提案方式の誤差解析を通じて得られた、強調を表現する基本周波数パタンの型に関しても議論する。
著者
益子 幸江 佐藤 大和 峰岸 真琴 降幡 正志 岡野 賢二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、強調の機能をイントネーションがどのように表すことが可能かを、タイプの異なる複数の言語について、音響音声学的データに基づいて検討した。言語タイプとして、音の高低を用いる声調言語と高低アクセント言語、音の強弱を用いる強弱アクセント言語を取り上げた。声調言語ではイントネーションは通常は用いられないのに対し、他のタイプの言語ではイントネーションが用いられることがわかった。また、発話における声調のピッチパタンは声調ごとの典型的なパタンからの逸脱(調音結合)では説明できず、声調の組合せからなる形態統語論上の単位に付与される動的パタンと考えられることが明らかになった。
著者
内村 要介 佐藤 大和 松江 勇次
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.393-399, 2001-09-05
参考文献数
20
被引用文献数
2

さらなる省力, 低コストの水稲直播栽培に適する品種育成のため, 酸素供給剤を粉衣しない種籾の出芽苗立ち安定化についての基礎的知見を得る目的で, 72品種を供試して湛水土壌表面直播栽培を行い, 出芽苗立ち特性の優れる品種の評価および圃場中の水温と溶存酸素濃度の測定を行った.播種後14日間の圃場中の水中の溶存酸素濃度は約4.7〜11.6mgL^<-1>(飽和量の約50%〜過飽和), 水温は日平均21.8〜29.0℃で推移し, 水稲種子の発芽, 根の伸長に問題はほとんどなかった.供試した72品種はすべて発芽率が80%以上あったにもかかわらず, 播種14日後の出芽率は0〜89%の変異幅が認められた.出芽率が80%以上と出芽能力が優れた11品種が認められ, そのうち8品種の譜系図に旭または朝日が認められた.転び苗および浮き苗の発生率については4%〜61%の変異幅が認められた.出芽能力が優れた11品種において, 出芽率と転び苗および浮き苗の発生率との間には相関関係は認められず, 出芽率が80%以上で転び苗および浮き苗の発生率が10%以下の苗立ちが優れた品種, 神力, はえぬき, どまんなかが認められた.出芽率の高い品種は, 千粒重が重く, 比重1.1以上の割合が高く, 初期生育が優れた.転び苗および浮き苗の発生が少ない品種は, 種子の比重が1.1以上の割合が高く, 種子根の平均伸長速度が遅かった.これらの知見は, 酸素供給剤を用いない省力, 低コスト直播栽培で出芽苗立ちを安定化させる水稲品種育成のための交配母本選定に当たり有効な情報になるものであった.