著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.201-214, 2018-03-31

『記』『紀』のオケ王(仁賢天皇)・ヲケ王(顕宗天皇)兄弟の物語には,王統上重要な二王の即位の正当性を語るとともに,王統譜においてとりわけ重要な位置にあるオケの正統性を語る狙いがある。『古事記』は,ヲケとシビの歌垣と,それに続く二王によるシビ討伐のプロットを物語に組み込むことでこの狙いを達成した。二王がシビを武力討伐し,さらにオケが王位継承を宣明することで,二王の即位の正当性とオケの正統性を示している。また,二王の姨・イヒトヨ王の,二王の即位への関与は抑制的に記される。二王はシビ討伐により自らの力で王権を掌握したのであって,そこに日継を知らす王として認められていたはずのイヒトヨ王の関与をみることはできない。
著者
ニコラス A バフトン スティーブン ロイド
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.247-254, 2012-03-15

本論文は、2009 〜 2011 年に共栄大学国際経営学部(IBMD) に入学した学生の英語の能力の低下について述べたものである。本論は、クラス分けテストの得点と毎年の傾向を議論した上で、英語のカリキュラムが大きく変わっ現在でも、これ迄同様のクラス分けテストの存在意義、必要性について述べている。又、クラス分けの不適合は、学生の、(授業が簡単すぎたり難しすぎたりしての)退屈な授業の受講、学習意欲の消失、幻滅、無断欠席、と一連の流れに陥り最終的に退学という最悪の結果にもなりかねない事も書き加えている。
著者
今村 信哉
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.179-193, 2018-03-31

選挙権年齢が18 歳に引き下げられた影響もあり,選挙が近付く度に「主権者教育」の必要性が語られることが多い。しかし,平和で民主的な国家の形成者として必要な資質である主権者意識や主権者として判断する力等は小学校段階から身に付けるべきものと考える。そこで,本論文では,小学校の主権者教育はどうあるべきかを具体的な実践事例から明らかにしようとしたものである。主権者教育の実践の多くは高等学校で行われている。また,校種を問わずに社会科で実践されていることが多い。知識・理解は社会科で学ぶべき事ではあるが,「主権者」として必要な判断力,実際に行動する力は教育課程上,道徳と特別活動で培われるものである。ここでは,道徳に焦点を置き,「ぶらんこ復活」(わたしたちの道徳3・4 年生:文部科学省)の実践を元に法教育の視点も入れて「主体的に生きる子供を育てる主権者教育」の在り方を論じている。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.201-214, 2018-03-31

『記』『紀』のオケ王(仁賢天皇)・ヲケ王(顕宗天皇)兄弟の物語には,王統上重要な二王の即位の正当性を語るとともに,王統譜においてとりわけ重要な位置にあるオケの正統性を語る狙いがある。『古事記』は,ヲケとシビの歌垣と,それに続く二王によるシビ討伐のプロットを物語に組み込むことでこの狙いを達成した。二王がシビを武力討伐し,さらにオケが王位継承を宣明することで,二王の即位の正当性とオケの正統性を示している。また,二王の姨・イヒトヨ王の,二王の即位への関与は抑制的に記される。二王はシビ討伐により自らの力で王権を掌握したのであって,そこに日継を知らす王として認められていたはずのイヒトヨ王の関与をみることはできない。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = 共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.15, pp.237-252, 2017-03-31

『古事記』仲哀記の香坂王・忍熊王の反乱物語における息長帯比売軍の二つの策略-品陀和気を喪船に乗せる「死」の偽装と、息長帯比売の偽りの「死」の布告-は、『日本書紀』にはない。この『古事記』独自のプロットにより物語は、天皇空位期における異母兄弟の争いにおいて皇統上劣位にある品陀和気・息長帯比売母子が、擬似的な「死」を潜り抜け、次代の天皇とその母としての地位を確保した物語となる。文脈と表現の検討から「赴喪船将攻空船尓自其喪船下軍相戦」は、忍熊王は喪船には品陀和気の遺骸と息長帯比売が乗ると見、息長帯比売を討ち取ろうと攻めたが、息長帯比売は予め喪船に軍兵を乗せており両軍の戦闘となった、という状況を表現したものと解釈される。「赴」はおもむく意の自動詞、「空船」は軍兵を乗せない船と解する。忍熊王が喪船に攻めかかった目的は、上記行文に先立つ「待取」という表現の検討から、息長帯比売を討ち取り殺すことと解する。
著者
金森 純
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-105, 2016-03-31

これまでに一過性のイベントを契機としたスタジアムの開発は批判の対象となってきた。これは近年、ワールドカップを開催したスタジアムでも問題となっており、その活用方法や採算性が問題となっている。また、J リーグの試合では、スタジアムを満員にできない状況にある。そこで、J リーグ発足とワールドカップ招致という取り組みにおけるJFA の活動理念を踏まえて、JFA 発行の「サッカースタジアム標準」の変遷に着目する。ここからスタジアム開発の意図を掴み、その課題について考察を行った。この考察から、以下の点が明らかとなった。 (1) J リーグ発足とワールドカップ招致は、サッカー及びスポーツの普及と同時にスタジアムの整備を目的に進められてきた。 (2) スタジアム標準は、イベントを契機として変化してきた。 (3) 一過性のイベントを契機とした開発は批判の的となってきた。そこで、建設基準は、巨視的に設定されなければならない。
著者
土屋 渉
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-85, 2014-03-31

最近、わが国を訪れる外客者数は、2011 年の東日本大震災による影響によって大幅に落ち込んだが、大幅に回復し、2013 年には1,000 万人目の外客を迎え、政府の目標を達成した。本稿は、特に伸び率が大きいASEAN 主要国からの訪日旅行者について検証したものである。 ASEAN 主要国は、日本から距離的にも比較的近く、アニメ等のサブカルチャーや和食に対し強い関心を持つなど、訪日旅行市場としての有望性が高いことから、GDP 成長率推移、可処分所得、宗教別人口、日本語学習者、日本在留者、日本への留学生、日本企業への留学生の就職状況、外国旅行、訪日旅行、日本における旅行の実態等の入手可能なデータを集め、今後のASEAN 主要国からの訪日旅行の動向を取りまとめたものである。
著者
堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.121-140, 2012-03-15

本研究は、看護師の離職防止対策の示唆を得ることを目的として、1)自己効力感、達成動機、キャリアレジリエンス、キャリアパースペクティブの各要因が組織コミットメントに対してどのような効果を持っているのか、2)組織コミットメントは職業継続意思にどのような効果を持っているのかをキャリアステージ別に検討する多母集団解析を実施した。調査は、801 名の女性看護師を対象に実施した。分析の結果、中期キャリアにある看護師の組織コミットメントを規定する要因は他のキャリアステージのそれとは異なっていることに加えて、組織コミットメントが低い傾向が見出された。以上の結果から、中期キャリアにある看護師の離職防止を強化する必要性が示唆された。
著者
高田 智之
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2013-03-31

『満蒙』という76 年の歴史を持つ筆者の実家の老舗鮮魚店の屋号と、実家に保管されていた戦前の写真グラフなどを通して、内地の日本人として祖父と父が満洲(現・中国東北部)に対してどのような理解を得ていたかを考察した。一方、実家の店以外にも満洲にちなんだ屋号を持つ商店や旅館があることが分かり、それらの屋号の由来について経営者に聞いた。その結果、筆者の祖父や父を含め、彼らが満洲に対して繁栄、希望、懐古といったシンプルかつ独善的なイメージを抱いていたことが確認された。そのようなイメージは日本の傀儡国家・満洲国に代表される当時の満洲の実態とはかけ離れたものであるが、今日の尖閣諸島問題のような日中間の歴史認識の隔たりを理解する手掛かりを提供してくれる。
著者
内田 学 平田 博紀 堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.93-106, 2013-03-31

現在、家電量販業界では、熾烈な戦いが繰り広げられている。本稿ではその中でマーケットリーダーのヤマダ電機と人材教育に定評があるヨドバシカメラを採りあげる。ヤマダ電機とヨドバシカメラの戦略はマイケル・E・ポーターの3 つの基本戦略に照らし合せると、現在のところ、それぞれコストリーダーシップ戦略、差別化戦略を採って成功している。本論文では、両社のそれぞれの戦略について詳述し、さらに今後の激変する環境の中で両社が採っている戦略をどのような変化させていくのかを検討する。
著者
平井 宏典
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.141-155, 2012-03-15

本稿は、企業ミュージアムにおける基本的性質の分析に資するフレームワークの構築を目的とした研究である。企業ミュージアムの設立は、企業社会責任の観点から公益に資する目的に加え、その経営において企業の意思が反映されているという特徴を有している。このことから、公益性を前提とした博物館学における既存の館種の分類では企業ミュージアムの特質を適切に捉えることが困難であると考えられる。 このような状況を踏まえ、本研究では企業ミュージアムの特質を適切に反映するために縦軸に事業の関係性、横軸に機能の充実度という2 つの軸による分析フレームワークを構築した。事業の関係性とは企業ミュージアムにおける企業の意思を反映する軸であり、機能の充実度は博物館機能にどれほどの重点を置いているかを示す軸である。このフレームワークにより企業ミュージアムの基本的性質として殿堂型、事業志向型、機能志向型、シナジー志向型の4 つの類型を見出すことができた。
著者
田中 卓也
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.121-138, 2013-03-31

講談社刊行雑誌『少年倶楽部』(のちに『少年クラブ』改称)は、発刊された1914(大正3)年から昭和戦前期にかけて、当時小学校高学年から中学生までの読者層の多くを"愛読者"として獲得することに成功した。彼らは立身出世による進学意識、勤勉かつ真面目であり国家に奉公できる少年像をメルクマールに、投書欄に集い次第に読者共同体を形成していった。戦後多くの少年の夢や希望を与えることを使命に、復刊を果たした。復刊されたが、投書欄の登場は発刊から数年を経てからであった。戦後の同誌は民主化政策の影響で投書内容も戦前のものとは異なり「学級新聞」や「日記」等が見られた。また誌面で仲間を求める内容のものも見られなかった。昭和30 年代中ごろより「テレビ」、「まんが」といったマス=メディアの影響を大きく受け、誌面構成に大きく波及した。後進の新興雑誌などと販売競争しながらも継続発行されたが、1962(昭和37)年にその役割を終えた。
著者
村田 美由紀
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.55-74, 2013-03-31

社会福祉制度は、社会福祉基礎構造改革を経て、措置から契約へとパラダイム転換がはかられ、利用者主体のシステム構築が進められてきた。社会福祉サービス運営においては、マネジメントの視点が求められるようになってきた。それに伴い、社会福祉士養成課程においても制度改正が行われ、福祉経営教育が重要視されるようになった。そこで、現場実習を終了した学生にインタビューを実施、その結果、福祉経営については具体的な事例を伴った授業での理解度が高く、現場実習を経験することで実践力につながることがわかった。以上を踏まえて、今後の課題としては「科目間連携」、「実習カリキュラムの検討」などが示唆された。
著者
長崎 等
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.171-187, 2004-03-31

現状の大学におけるコンピュータ実習室の環境下において個々の教員の管理可能な範囲(授業のレベル)でも実現可能な、出欠・進捗状況管理支援システムBACHELORを開発した。本システムはコンピュータ室がネットワークで結ばれていることが前提であり、学生がログインしてプログラムを動かすことにより出席遅刻の把握を行う、また課題等の進捗状況の入力により全体の進捗状況を教員側が視覚的に把握できる。更に表計算ソフトとの連携により、出欠管理や進捗状況を分析でき、その情報をフィードバックできる。本稿では実際に現在運用されているそのシステムの目的、構成、機能、授業への運用状況について言及し、様々な大学での運用経験からその問題点や利点を再考し、次期システムに導入するべき内容について検討する。
著者
加曽利岳美
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.106-122, 2005-03-31
被引用文献数
1

本研究は、神経症傾向、うつ傾向などを含む精神的健康に問題のある大学生に見られるバウムテストの特徴を定量的に明らかにする目的で行われた。精神的健康度の指標としてGHQ(General Health Questionnaire)総得点および4要素スケール得点を使用した。バウム指標として、基本的なもの10項目、付加的なもの26項目を使用した。重回帰分析、X2検定、判別分析などにより、以下の結果が得られた。1)「樹冠の高さ」が高いこと、「樹冠の幅」が小さいこと、「主枝」数が少ないことは、「不安と不眠」、「社会的活動障害」、「うつ傾向」、「神経症傾向」を予測する。2)神経症傾向低群では、「地平線」、「用紙からのはみ出し」、「幹の模様」などの出現が多く、神経症傾向高群では曲幹が多い。3)神経症傾向高低群間の判別に寄与する説明変数は、「主枝」、「成長指標」、「樹冠の幅」、「幹の幅/ 樹冠の幅」である。This study sought to quantitatively identify features of the Baumtest in university students with mental health problems including tendency toward neurosis or depression. The indices of mental health were the entire scores and four elemental scales of the General Health Questionnaire (GHQ). Ten basic tree features and 26 additional features were used as Baum indices. Multi-regression analysis, Chi-square tests and Discriminant analysis revealed the following: 1) Higher tree-crown, smaller width of tree-crown and fewer main branches predict anxiety or less sleep, disorders of social activities and a tendency toward neurosis and depression. 2) The Baum features seen in students with a low tendency toward neurosis were horizontal line, drawing out of the paper, and .gures on trunk, whereas a winding trunk was seen in students with a high tendency toward neurosis. 3) The variables to predict a high tendency toward neurosis were the number of main branches, tree-crown width, and tree-crown width-to-trunk width proportion.
著者
森田 麻登
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.305-316, 2012-03-15

本研究は、日本の精神科医療において、伝統的な診断分類と操作的な診断基準の両者が並列的に存在している現状を明らかにした。精神医学領域の各分野からの報告をもとに、伝統的な診断分類と操作的な診断分類の有用性と限界についてまとめた。操作的な診断基準は客観的であり有用な道具であるものの、使い方によっては弊害とも成り得る。一方、伝統的な診断分類は、精神科患者の主観的な体験を理解する手がかりを提供するため、臨床場面で有用である。そこで、操作的な診断名に伝統的な診断分類からの記述を加えることは、患者や家族が精神障害の原因や経過についての理解を容易にする可能性が示唆された。操作的な診断基準は科学性を持ち、伝統的な診断分類は有益性を持っているため、両者をうまく活用することで治療者は多面的に患者を捉えることができ、全人的な医療を進められる。つまり、伝統的な診断分類と操作的診断基準を相対するものとして捉えるのではなく、臨床場面で有益な精神病理学的と研究において有益なDSM 診断と認識し、両者を相補的に用いることが必要である。
著者
海老原 武
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.37-46, 2009-03-31

2008年6月24日、埼玉県立蓮田高校と共栄大学は高大連携を締結した。蓮田高校は、2010年に埼玉県立菖蒲高校との合併が予定されている。新校では単位制高校となり多様なカリキュラムを採用する。今回の高大連携プログラムは、本学のICT技術を活用し蓮田高校全体をサポートするものである。大学の授業や講演を高校生の進路学習に取り込む従来型の高大連携とは大きく異なるものであり、蓮田高校側からも期待されている。埼玉県立蓮田高校とのICT活用による高大連携プログラムの実践報告と今後の可能性を考察する