著者
中島 弘毅 大窄 貴史 張 勇 根本 賢一 山崎 信幸
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.185-195, 2012-01-31

長野県A市にある6保育園に在籍する4歳から6歳の園児311名を対象に園庭が芝と土という園庭環境の違いが園児の身体活動量と運動能力にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。調査の結果、芝生の園庭を有する園の園児は、男女共に土の園庭を有する園の園児に比して明らかに平日の身体活動量(歩数およびエネルギー消費量)が多く、また、男児においては立ち幅跳びおよび25m走、後方ハイハイ走における運動能力が高かった。
著者
福島 智子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-89, 2020-03

本稿では、社会学的視点から、家庭で毎日の献立を考える人びと(多くは女性)の選択に影響を与える「家庭料理」規範を分析する。諸外国における「家庭料理」研究を参照しながら、現代日本におけるジェンダー化されたフードワーク(献立の作成や食材の調達、調理など)のあり方を明らかにする。
著者
船越 克己
出版者
松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.105-125, 2006-01-15

製造業(以下企業)が、「プロダクト・イノベーション」を重視した研究開発方針にシフトすることを求められて久しいが、未だに機能してきた様に窺えない。本論文では、この要因を職務発明の特許訴訟事案から探るとともに、推進する方策として「セレンディピティ」について研究した。研究開発力は、企業競争力を支える中核の「見えざる経営資源:Invisible Assets」であるが、最近それを揺るがす"技術者の反乱"と言える民事訴訟が多発している。技術者が、元の勤務先企業で出願した特許に対して、改めて「相当の対価」を請求した訴訟事件で、背後に組織に潜む不文律の影響が強く想定される。特に、昨年1月に東京地裁が被告企業に200億円の支払を命じた「青色LED(発光ダイオード)事件」が、今年9月に東京高裁の上告審で8.4億円の高額和解判決に終わったことに、多くの関係者から賛否両論の見解が交錯している。本報では、まず一連の訴訟事案が提訴された要因を探った。訴訟が提起された要因として、一般的には特許法第35条の影響が指摘されているが、筆者はプロダクト・イノベーションの研究における"セレンディピティ価値"を、経営者が理解し、個人の能力を真撃に尊重する意識が欠けているため、企業価値の向上に貢献した技術の本質を評価する文化が育たなかったことが根本的な問題と考えている。これは、経営者が述べた勝利宣言などからも窺えるが、原告の感情を逆撫でした発言により、他の研究者がモチベーションを無くしたことが懸念される。また、裁判の争点が、事業利益に対する原告と特許技術の貢献度について定量的評価の方法論に終始して、肝心の技術の本質や、企業価値へのシナジー効果は考慮されず、真因を言及できない民事裁判の限界を示したことは、当事者間の問題に止まらず他企業の研究開発力や競争力に致命的な影響を与えたと考えている。また、一連の訴訟事案も検討して、多くの企業も同様に建前の"技術立社"の戦略を掲げているに過ぎないように見える。したがって、これらの視点を踏まえて、本論文では研究における「セレンディピティ評価方法」の概念を考察し、提起した。これに関連して、昨年末アメリカ「競争力評議会」が発表した『21世紀の国家政策』を示唆していると言われる通称"パルミザーノ・レポート"は、イノベーションの必要性とともに先端研究分野で、日本等を仮装競争国とした行動も示しており、産業戦略の重要性が窺える。日本でも、経済産業省でカウンターポリシーが検討されているが、企業の競争力を推進するために、改めて研究開発における"セレンディピティ価値を評価し、個人の能力を尊重する企業文化を育成"することが、最重要な課題であると確信する。
著者
小林 俊一
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.95-104, 2012-01

二値関数と集合の分割に関する述語論理について成り立つ定理を提案し、その定理の厳格な証明を行った。ここでの述語論理とは「すべての~について」や「ある~について」に関する一階述語論理を指す。本研究の目的の一つは、二値関数に集合の分割の考え方を導入することで、コンピュータの内部で行われる論理動作を、数学的にモデル化することである。デジタルの世界での論理動作を、数学的にモデル化している。
著者
室谷 心
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.117-129, 2019-03

プログラミング教育が近年特に注目を集めているが、我々は学習者の動機を維持するために、" 楽しさで引っ張る" ような教材の開発を進めている。マルチメディアに対応した楽しいアプリを目標とするということで、HTML5+JavaScript という組み合わせでのスマートフォンアプリの作成はその一つの解答である、本稿ではスマートフォンアプリの作成というゴールに話を絞り、アシアル社が提供するMonaca を使う可能性について検討した。
著者
木村 晴壽
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-31, 2018-03-12

本論は、戦前の松本地方(さしあたって現在の松本市域を想定している)で電気事業がどのように展開したのかを、可能な限り具体的に跡づけることで、地域経済発展の基盤となるいわゆるインフラ整備のあり方を検証することが狙いである。わが国の戦前電気事業は、民間事業者が発電・送電・配電のすべてを担った点に特徴があるが、公共・公益事業であることから、当然のごとく、厳密な法的規制を受けていた。したがって本論は、まずもって電気事業者がどのような法規制を受けていたかを十分に踏まえた上で、松本地方での電気事業の展開過程を検証した。当該地方での電気事業は、松本電灯という事業者が市街地に電気を供給したことから始まる。松本電灯には、当時最大の輸出産業だった製糸業の有力企業幹部で、後に松本商業会議所会頭に就任する人物が大きく関わっていた。背後に有数の山岳地帯を擁する松本地方は、電源確保には極めて適した地の利があったにもかかわらず、松本電灯は電源開発に遅れを取っていた。松本電灯以外の電気供給事業者との関係も含め、当該地方で電気事業がどのように展開したかを詳述することで、地方のインフラ整備の一形態を提示した。
著者
大蔵 真由美
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-67, 2020-03-10

戦時期日本において地域において組織的に展開されていった農村文化運動を取り上げ、その中心的存在となっていた社団法人農山漁村文化協会が行った取り組みの一端を明らかにし、社会教育の機能をどのようにして取り入れようとしたのか考察することを目的とする。文化施設実験村は農村文化運動の効果を調査するために千葉県の3つの町村で行われたものであり、芸能や読書などの事業が展開された。文化施設実験村の数々の取り組みは方法面では社会教育的な機能を取り入れていたが、その内容は総力戦体制に組み込まれていく過程となっていき、地域課題への気付きを糸口とした抵抗の可能性はすり抜けてしまったと言える。
著者
山﨑 保寿
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.147-160, 2020-03-10

教職キャリア形成の観点から、総経・人間教職センターでは、教職課程で育成を目指す教員像を踏まえ、2大ミッションと6ビジョンの推進、M-TOP構想、松本大学教育実践改善賞の推進、教職科目の授業の工夫などを行っている。目指す教員像の第4の柱として、学び続ける教員像を基本に、教員育成指標との関係が位置付けられている。M-TOP構想の内容は、教職課程カリキュラムの履修がコアであり、学生の希望により小学校二種免許取得カリキュラムの選択等のオプションがある。文部科学省の教職課程認定において、教職課程コアカリキュラムの必須事項にカリキュラム・マネジメントが含まれたことに対応した授業の工夫を行っている。
著者
齊藤 茂 内田 若希
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.37-49, 2017-01

本研究では、大学生サッカー選手が審判員の判定に対してもっている印象について、以下の仮説検証を目的とした統計的分析及び考察を行った。主な仮説は、勝利チームは判定を有利もしくは公平であったと感じている、敗戦チームは判定と試合結果との因果関係を感じやすく、また判定が気になっている、及び誤審の有無の程度がその試合全体の判定に関する印象に影響を及ぼす、であった。結果として、1.勝利チームは敗戦チームに比して、審判員の判定を不利だと感じている者が多く、また、判定を「公平」だと感じている者の割合に試合の勝敗による有意な差はない、2.勝利チームは敗戦チームに比して、審判員の判定が気になっている、3.勝利チームと敗戦チーム間には、審判員の判定と試合結果との因果関係の感じ方について有意な差がない、4.審判員による誤審は、その試合全体の判定に関する印象に影響を及ぼす、等が明らかとなった。
著者
佐藤 哲郎
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-31, 2014-03-18

社会福祉協議会の結成時から現在に至るまで活動の拠り所としてきた理論であるコミュニティ・オーガニゼーション(以下、「CO」という)に関して先行研究等を踏まえながら年代別に整理することにより、COが各年代でどのように認識され実践として位置づけられていったのかを関連する政策的動向も含めて明らかにしながら社会福祉協議会発展の経過をまとめる。
著者
中山 文子 藤岡 由美子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.139-153, 2011-01

本研究では、大学生と高校生の食事を主とした生活習慣と精神的健康について検討した。大学生(同居)・大学生(一人暮らし)・高校生の3郡比較をした結果、一人暮らしの学生は生活習慣・食事内容が低得点だったが、精神的健康度は一番高かった。関係を検定すると、特に一人暮らしの学生に生活習慣・食事内容と精神的健康度の相関関係が多く認められた。
著者
清水 聡子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.101-115, 2013-01-31

今年は長野県スキー発祥100周年である。本稿では、「人口減少に向き合う地域」として、長野県で行われる余暇活動、山岳スポーツであり、ウィンタースポーツであるスキー・スノーボードに焦点を絞って考察した。日本の余暇の現状を分析し、余暇活動の現状を分析し、余暇活動の現場として長野県を捉え、地域の独自性や魅力は、大地のエネルギーを五感(視・聴・嗅・味・触)、場合によっては第六感で吸収するしくみをデザインすることであると指摘した。
著者
藤波 大三郎
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-32, 2019-03-08

アベノミクスの金融政策によりわが国はデフレを脱却しつつあり、物価は徐々に上昇し、円高と呼ばれる状況はなくなった。デフレの原因については様々な論争があるがインフレ目標を設定した大胆な金融緩和政策が物価の上昇と雇用情勢、企業利益等に効果があった点からはデフレは短期的にも基本的には貨幣的現象であるが、賃金が上がりにくく、インフレ目標が未達の点からは金融市場と労働市場等の制度的問題と言える。労働市場が流動性の高い市場に変化すれば賃金は上昇しやすくなるが、かつての日本的経営を支えた株式持合いの解消、株主の声の復活を踏まえて、新しい企業経営、雇用制度、公的保障等の総合的な見直しと再構築が求められている。
著者
太田 勉
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.11, pp.39-56, 2013-01

長野県経済を取り巻く内外の情勢変化は目まぐるしい。円高や消費増税のほか、TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題や原発ゼロ社会指向の行方は、県内産業や市民生活にも大きな影響を及ぼすとみられる。今後の成長産業分野としては、環境(エネルギーを含む)、健康(医療・介護・高齢者ビジネス)、観光の「新3K分野」に加え、農業分野などが挙げられるが、課題も少なくない。内外の情勢変化を踏まえ、長野県経済の未来を展望してみたい。
著者
大窄 貴史 成 耆政 鈴木 尚通 中島 弘毅 葛西 和廣 竹内 信江 田中 正敏
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-44, 2012-01-31

本稿は地域スポーツイベントの経済波及効果及び参加者の健康増進への影響について、明らかにすることを目的とした。経済波及効果は大会運営経費の2.01倍であった。満足度における肯定的回答が、およそ8割であった。リピーターの運動機会は、参加者全体の4割で運動機会が増加した。本大会が他の関係団体と共同し、魅力あふれる大会を創造していくことが、塩尻市を中心とする地域の活性化、地域住民への活力及び健康増進に寄与すると考える。
著者
室谷 心
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.269-281, 2013-01-31

まつもと広域ものづくりフェアで実施した、松本大学キッズプログラミング教室での、小学生を対象としたプログラミング教室の教育実践を報告する。
著者
矢内 和博
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.155-167, 2011-01

上諏訪温泉において食事調査を実施し、食事について問題点の抽出、メニュー開発および提案を目的とした。食事調査の結果、肉、魚の使用量および野菜の使用量に大きなばらつきが見られた。肉魚を多用することで華やかなイメージを持たせるが、野菜の使用量が少なくなり、タンパク質、脂質の摂取量が多くなる傾向がある。観光客が長野県に来てたべたい食事内容についてさらに検討すべきである。