著者
寄藤 晶子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.245-256, 2012-01-31

「女性」を描くことから出発したフェミニスト地理学は生産/再生産/、公的/私的という二元論的知が世界を構成し、「男性」ですら排除や抑圧の対象となることを示した。ジェンダーは歴史・地理的な状況を通して再生産され、その過程では道徳的言説を伴う差異の空間を弁証法的に構築する。規範的な「男性」像を作り出す過程と空間の関係を分析するには、規範を脅かすものとして表象される空間・場所に対する道徳的言説と排除の地理にも注目する必要がある。
著者
佐藤 茂太郎 斉藤 雄佑
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.151-157, 2023-03-10

割合の意味理解や活用は、児童にとって困難であることが指摘されている。そこで、第5学年の小数の乗法に焦点をあて、割合の意味理解を促すために、割合の見方を意識した指導と再測定(基準をかえて測定し直すこと)を意識した指導を行い、乗法の意味をどのように拡張させ、成長させていけばよいかを検証した。また、「ユニット化とノルム化」を分析枠組みとして、小数の乗法において児童がどのように比例的推論を働かせているかを分析することとした。本研究の結果、小数の乗法で単元を通して再測定を行うことで、基準を変えるという考えを児童が自らできるようになった。また、乗法で用いた考えを除法でも活用できることがわかった。
著者
小松 茂美
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.69-78, 2017-01-31

学校には様々な校務分掌がある。運動部活動の顧問もその一つであるが、運動部活動顧問の場合その勤務形態は複雑で負担も大きい。本ノートは、運動部活動顧問の立場に立ち、勤務形態の改善に取り組んだ事例研究である。
著者
浜崎 央 片庭 美咲 柴田 幸一 住吉 廣行
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.77-85, 2014-03-18

We aim to propose an index to evaluate the level of educational success performed in line with curriculum policy.We will point out that there exist two conditions for checking the improvement of the educational performance by teachers at universities. Enhancing various teaching skills by "student evaluation" and/or "classroom observation" can be regarded as a "necessary condition" but not "sufficient condition". Therefore, we propose the "sufficient condition" to obtain satisfactory educational results based on university curriculum policy. Because, the curriculum is systematically constructed by each department according to its own educational policy, this "sufficient condition" plays the role of evaluating the validity of the policy itself. We strongly suggest that the "annual transition of the GPA distribution" becomes a suitable candidate for this "sufficient condition". In addition, we would like to mention that this work of proposing the index is a good result of the Institutional Research accomplished by the ideal collaboration between academic and office staff. The latter deal with the various data of students.
著者
大蔵 真由美
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-67, 2020-03

戦時期日本において地域において組織的に展開されていった農村文化運動を取り上げ、その中心的存在となっていた社団法人農山漁村文化協会が行った取り組みの一端を明らかにし、社会教育の機能をどのようにして取り入れようとしたのか考察することを目的とする。文化施設実験村は農村文化運動の効果を調査するために千葉県の3つの町村で行われたものであり、芸能や読書などの事業が展開された。文化施設実験村の数々の取り組みは方法面では社会教育的な機能を取り入れていたが、その内容は総力戦体制に組み込まれていく過程となっていき、地域課題への気付きを糸口とした抵抗の可能性はすり抜けてしまったと言える。
著者
真次 宏典
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-7, 2014-03-18

軟性憲法と硬性憲法という概念は日本の憲法学においても基礎概念となっている。まず、この概念について、実質的意味の憲法、近代的意味の憲法、立憲的意味の憲法という憲法の諸概念の検討と確認を行う。そして、軟性憲法と硬性憲法という概念が日本憲法学でどのように受容されてきたかを検討し、日本の憲法秩序は、制定後60年以上にわたって「憲法改正」を経験していない憲法典(日本国憲法)と国会の制定する法律以下の憲法附属法によって形成されていることを分析するための理論的基礎作業を行う。
著者
清水 聡子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.159-175, 2014-03-18

2013年9月7日、東京2020オリンピック・パラリンピック開催が決定した。プレゼンテーションで取り上げられた「お・も・て・な・し」の一言は日本の良さを端的に表現し、大きなインパクトを与えた。東京オリンピック招致に成功し、ソチ冬季オリンピックが開催された今こそ、長野県内スキー場の現状を把握し、考察することが求められている。オリンピック開催地であった志賀高原を本稿では取り上げ、事例研究とする。
著者
福島 智子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-89, 2020-03-10

本稿では、社会学的視点から、家庭で毎日の献立を考える人びと(多くは女性)の選択に影響を与える「家庭料理」規範を分析する。諸外国における「家庭料理」研究を参照しながら、現代日本におけるジェンダー化されたフードワーク(献立の作成や食材の調達、調理など)のあり方を明らかにする。
著者
本間 崇教 山本 悦史
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.107-113, 2023-03-10

本研究は、学術的な観察対象にされることの少ない野球独立リーグ観戦者を対象とした基礎資料の作成を目的とする。調査対象として、BCリーグに所属する新潟アルビレックスBCを取り上げ、観戦者及び球団のマーケティング施策に関する定量データを収集した。データ収集は新潟アルビレックスBCのホームゲームにて実施し、マーケティング施策の参考となるデータ収集のために、調査前に球団職員へヒアリングを行いながら調査票を作成した。得られたデータを用いて、一部Jリーグ観戦者調査のデータと比較しながら、独立リーグ観戦者調査の特性について明らかにした。その結果、基本属性や行動特性においてJリーグ観戦者とは異なる性質が確認された。
著者
福嶋 紀子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.11-22, 2022-03-10

長野県内の圃場では、1970年代から栽培稲品種とは異なる赤米系のイネが自生し、収穫米に混入する事例が問題視されていた。善光寺平周辺で「トウコン」と呼ばれているこの雑草イネの発生理由や、品種の起源は明確ではない。明治以前の稲作では、食味に優れた品種の栽培が領主からは奨励される一方で、生活を支える食糧米としては、天候不順や水不足にも強い強靭な多収穫米の栽培が求められる側面もある。近代以前の稲作の二重構造を、現代の圃場に発生する「雑草イネ」問題の遠因として分析した。また、現在の「トウコン」の呼称は、明治期の農業政策により塗り替えられたものと考え、近世までの稲品種の分布に再検討が必要な点を指摘した。
著者
兼村 智也
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.9-29, 2015-01-31

長野県は地方圏のなかで海外進出する企業が多い地域である。その大半は中小企業であるが、これら企業の進出の契機となったのは取引先である県内大企業の進出がある。したがって、こうした企業の海外・国内生産の動向を把握することは中小企業の進出を考えるうえで有益である。そこで本稿では海外事業活動にかかるデータ入手が可能な県内上場企業14社を対象に、それら企業の国内外の生産動向とその関連性について検証した。その結果、海外生産を行う一方、国内生産を減少させる大企業が14社中10社確認された。このうち4社はまさに海外生産増加による影響である。ところが残りの6社は海外生産も減少していることから、その影響ではなく、個別企業の経営上の問題であることが明らかになった。一方、海外も国内の生産も増加する企業は4社確認されたが、これらの企業には市場、製品、供給方法、分業などに特性があることが明らかになった。
著者
中島 弘毅 大窄 貴史 張 勇 根本 賢一 山崎 信幸
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.185-195, 2012-01-31

長野県A市にある6保育園に在籍する4歳から6歳の園児311名を対象に園庭が芝と土という園庭環境の違いが園児の身体活動量と運動能力にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。調査の結果、芝生の園庭を有する園の園児は、男女共に土の園庭を有する園の園児に比して明らかに平日の身体活動量(歩数およびエネルギー消費量)が多く、また、男児においては立ち幅跳びおよび25m走、後方ハイハイ走における運動能力が高かった。
著者
福島 智子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.81-89, 2020-03

本稿では、社会学的視点から、家庭で毎日の献立を考える人びと(多くは女性)の選択に影響を与える「家庭料理」規範を分析する。諸外国における「家庭料理」研究を参照しながら、現代日本におけるジェンダー化されたフードワーク(献立の作成や食材の調達、調理など)のあり方を明らかにする。
著者
室谷 心
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.117-129, 2019-03

プログラミング教育が近年特に注目を集めているが、我々は学習者の動機を維持するために、" 楽しさで引っ張る" ような教材の開発を進めている。マルチメディアに対応した楽しいアプリを目標とするということで、HTML5+JavaScript という組み合わせでのスマートフォンアプリの作成はその一つの解答である、本稿ではスマートフォンアプリの作成というゴールに話を絞り、アシアル社が提供するMonaca を使う可能性について検討した。
著者
木村 晴壽
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-31, 2018-03-12

本論は、戦前の松本地方(さしあたって現在の松本市域を想定している)で電気事業がどのように展開したのかを、可能な限り具体的に跡づけることで、地域経済発展の基盤となるいわゆるインフラ整備のあり方を検証することが狙いである。わが国の戦前電気事業は、民間事業者が発電・送電・配電のすべてを担った点に特徴があるが、公共・公益事業であることから、当然のごとく、厳密な法的規制を受けていた。したがって本論は、まずもって電気事業者がどのような法規制を受けていたかを十分に踏まえた上で、松本地方での電気事業の展開過程を検証した。当該地方での電気事業は、松本電灯という事業者が市街地に電気を供給したことから始まる。松本電灯には、当時最大の輸出産業だった製糸業の有力企業幹部で、後に松本商業会議所会頭に就任する人物が大きく関わっていた。背後に有数の山岳地帯を擁する松本地方は、電源確保には極めて適した地の利があったにもかかわらず、松本電灯は電源開発に遅れを取っていた。松本電灯以外の電気供給事業者との関係も含め、当該地方で電気事業がどのように展開したかを詳述することで、地方のインフラ整備の一形態を提示した。
著者
大蔵 真由美
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-67, 2020-03-10

戦時期日本において地域において組織的に展開されていった農村文化運動を取り上げ、その中心的存在となっていた社団法人農山漁村文化協会が行った取り組みの一端を明らかにし、社会教育の機能をどのようにして取り入れようとしたのか考察することを目的とする。文化施設実験村は農村文化運動の効果を調査するために千葉県の3つの町村で行われたものであり、芸能や読書などの事業が展開された。文化施設実験村の数々の取り組みは方法面では社会教育的な機能を取り入れていたが、その内容は総力戦体制に組み込まれていく過程となっていき、地域課題への気付きを糸口とした抵抗の可能性はすり抜けてしまったと言える。
著者
山﨑 保寿
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.147-160, 2020-03-10

教職キャリア形成の観点から、総経・人間教職センターでは、教職課程で育成を目指す教員像を踏まえ、2大ミッションと6ビジョンの推進、M-TOP構想、松本大学教育実践改善賞の推進、教職科目の授業の工夫などを行っている。目指す教員像の第4の柱として、学び続ける教員像を基本に、教員育成指標との関係が位置付けられている。M-TOP構想の内容は、教職課程カリキュラムの履修がコアであり、学生の希望により小学校二種免許取得カリキュラムの選択等のオプションがある。文部科学省の教職課程認定において、教職課程コアカリキュラムの必須事項にカリキュラム・マネジメントが含まれたことに対応した授業の工夫を行っている。
著者
齊藤 茂 内田 若希
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.37-49, 2017-01

本研究では、大学生サッカー選手が審判員の判定に対してもっている印象について、以下の仮説検証を目的とした統計的分析及び考察を行った。主な仮説は、勝利チームは判定を有利もしくは公平であったと感じている、敗戦チームは判定と試合結果との因果関係を感じやすく、また判定が気になっている、及び誤審の有無の程度がその試合全体の判定に関する印象に影響を及ぼす、であった。結果として、1.勝利チームは敗戦チームに比して、審判員の判定を不利だと感じている者が多く、また、判定を「公平」だと感じている者の割合に試合の勝敗による有意な差はない、2.勝利チームは敗戦チームに比して、審判員の判定が気になっている、3.勝利チームと敗戦チーム間には、審判員の判定と試合結果との因果関係の感じ方について有意な差がない、4.審判員による誤審は、その試合全体の判定に関する印象に影響を及ぼす、等が明らかとなった。