著者
芝 祐輔 坂井 亮太 綿野 亮太 奥田 泰考 若林 宏海 荒川 昌史 中澤 寛仁 須藤 俊明 梶井 英治 長谷川 剛 岡山 雅信
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.23-26, 2013 (Released:2013-05-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

要 旨目的 : これまで長期災害支援の報告は数少ない. そこで今回我々が経験した東日本大震災の長期災害医療支援として巡回診療で得られた診療記録と処方箋から薬剤関連データを解析した. 方法 : 巡回診療で得られた診療記録と処方箋から患者数と医薬品の処方件数ならびに処方件数の多かった上位3位の医薬品使用量の推移について解析した. 結果 : 患者数は支援を開始した3/26から1週間後の166名/日 (中央値48.5名, 範囲14-166) をピークに減少し, 4/11以降は24名 (中央値)/日 (範囲0-47) であった. 医薬品の処方件数は感冒薬, 降圧薬, 抗アレルギー薬の順で多かった. また医薬品の使用量は感冒薬と降圧薬は時間経過とともに減少したが, 抗アレルギー薬は継続的に処方されていた. 結論 : 災害医療支援チームは被災地の医療機関の復興状況に応じて急性期だけでなく長期の支援を行うべきである. また支援の介入が早いほど, 急性疾患と慢性疾患の両方の治療薬を災害医療支援チームは必要とする.
著者
家 研也 岡田 唯男
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.157-161, 2012 (Released:2012-10-05)
参考文献数
9

要 旨 帯下異常の主因となる感染性の膣炎のうち, 最多の細菌性膣症の有病率は10∼40%1) , カンジダ外陰膣炎の生涯罹患率は75%2) と高頻度であるが, 帯下異常を主訴にプライマリケア医を受診する頻度は少なく3) , 患者・医療者双方に心理的障壁がある. 一方で, 帯下異常の主因を占める感染性の膣炎は診断・治療に関するエビデンスが集積されており, 膣鏡がなくとも膣【扁】平上皮を含む膣分泌物が採取できれば可能なアプローチも存在する. 本稿では疫学データや国内外の診療ガイドラインをレビューし膣鏡や経膣エコーのない施設でも実現可能な「帯下異常」へのアプローチを紹介する. なお妊娠中の治療および, 不正性器出血については紙面の都合上割愛しており, 詳細は成書をご参照頂きたい.