著者
中出 佳操 Frank Jerrold 丸岡 里香 百瀬 いづみ
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-90, 2009

思春期は若者が健康な身体や生活習慣を築く上で大切な時期であるが,この時期は若者が容易に健康リスクにさらされる時期でもある。我々はこれまで若者が正しい知識を身につけ適切な行動を行うという目標のもとに若者に対するピアエデュケーションを実践し,効果が見られているが,今回,学校のスタッフのみならず若者の親も巻き込んだ思春期健康教育導入の必要性を感じたため,地域に思春期の若者と親の教育と相談のための健康センターを開設した。Adolescence is a crucial period in one's life in that young people build healthy body and lifestyles,however,young people are also easily exposed to health risk during this period.Although we have alreadyconducted a peer education for the young people with the goal that they have correct knowledge and actappropriately and have got the positive education effect,this time,we established a health center for theyoung people in a community because we felt the need to introduce adolescent health education which notonly school staff but also young people's parents are involve in.In this study,we examined the need for the education activity in a community as a new approach foradolescent health education and its future direction,through the results of the health education in a highschool by university students,study sessions between parent supporters and young people's parents in acommunity,and holding liaison conference among relevant people.
著者
玉木 裕
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.73-81, 2009

1994年に制定された音楽振興法注1)は,生涯学習社会への移行を意識して,学校教育や社会教育などでの音楽学習について環境を整備し,我が国の音楽文化の振興を図ることを目的としている。このために,音楽文化創造が設立されたが,その活動は主に社会教育の範囲内にあり,学校教育以外の場が中心である。一方,学校教育には,教育内容や学習事項の編成基準を示す法令として,学習指導要領が存在する。音楽振興法は,その学習指導要領にどのような変化をもたらしたのであろうか。本研究は,音楽振興法の理念が学校教育に対して与えた影響を,学習指導要領の教科・科目の目標の変遷をとおして考えようとするものである。そして,生涯学習からの視点で学習指導要領を考察することにより,学校教育でのこれからの音楽学習のあり方を見つめる。With consciousness of the transition to a lifelong learning society, the Law for the Promotion of MusicCulture1(1994) is intended to improve music education environments through school and social educationand to promote music culture in Japan. For that reason, the Ongaku Bunka Souzou (Music Culture Creation)Foundation was established. Their activities, however, remain primarily limited to social education, centeringon fields outside school education.Meanwhile, for school education, curriculum guidelines regulate and indicate the formulation standards ofeducational content and learning items. What changes has the Law for the Promotion of Music Culturebrought about to curriculum guidelines?This study undertakes consideration of the effects of the idea of the Law for the Promotion of MusicCulture on school education through examination of changes in goals of subjects and courses in thecurriculum guidelines. Future music education in school education is closely examined by scrutinizing thecurriculum guidelines from the perspective of lifelong learning.
著者
飯田 昭人 寺田 香 黒澤 直子 斉藤 美香
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-12, 2009

本研究では,臨床心理士や社会福祉士,臨床発達心理士,教師の資格を有し,総合病院や発達障害児者対象の相談機関,児童養護施設,特別支援学校で働いている5名の対人援助職者を対象に,クライエントの「家族」をどう考えているのか,家族と接する上でどのようなことに配慮しているのかといった,家族の視点について,主に質的分析により明らかにすることを目的とした。クライエントの家族に対する対人援助職者の視点として,以下の5点が見出された。①家族への情報等の伝え方に対する配慮~家族に分かってもらえたと思ってもらえるような伝え方,②家族への直接的な働きかけだけではなく,家族が主体的に考えたり活動したりできるための関わりの工夫,③クライエントが自分の家族をどう捉えているのかということを深く考えること。クライエントの家族を捉える視点に思いめぐらすこと,④家族を支援することが目的なのではなく,クライエントの最善の利益のために,クライエントの家族について関わっていくという視点,⑤家族の「今」だけではなく,家族の「その後」の生活や人生を見据えた上での関わり。左記の結果より,対人援助職者の職種や領域が異なっても,家族への視点として重要な点は変わらないということを考察した。なお,質的分析のあり方についても,若干の考察を行った。得られたインタビューデータは,インタビュー対象者(語り手)とインタビュアー(聴き手)との相互作用によって生じたものであり,本論では,インタビュアーの要因について考えていくことの重要性を指摘した。