著者
大宮司 信
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-4, 2012

イムは日本の北方の島である北海道に住むアイヌ民族に見られる,行動面並びに言語面における特徴的な状態であ る。もちろんアイヌ民族は日常生活の中でこの現象は見慣れたものであり,病気とみなしてはいなかった。一方西洋 医学の立場に立つ精神科医は,これを精神医学的ないし異常精神症状として記載してきた。その特徴的な症状は,ア イヌ語で蛇を意味する「トッコニ」などの言語的な刺激によって惹起される,エコラリアやコプロラリアといった爆 発的な言語表現,および自動運動や退行した性的行動などを含む乱暴で突発的な制御できない反響症状である。しか し我々が調査した現在では,このような古典的で特徴的なイム現象は既に失われていて,わずかに断片的なエコラリ アや反響行動のみが,あたかも残された足跡のように,アイヌ民族のごく少数の者に見られるだけであった。本論文 では,イムの精神学的側面と,アイヌ民族の歴史の視点からみた文化的な背景,そしてイムの過去から現在への変容 について述べる。
著者
飯田 昭人 野口 直美 斉藤 美香 丸岡 里香 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2014

本研究報告は,平成26年1月11日(土)に開催されたポルト市民講座『青年期の自殺予防を考える』における3名の話題提供者の文章を加筆修正して,研究報告としてまとめたものである。そもそもこの市民講座は,丸岡里香准教授が代表を務める「思春期教育グループ」と,飯田昭人が代表を務める「学生支援グループ」との共催で開催されたものである。本講座では,特に若者の自死・自死念慮にまつわる思いや背景について考えていくことを目的とし,テーマは「自殺予防」であるが,自殺を"させない"ための対策というよりも,若者年代の人間に自分自身の人生をいかにして生きてもらうか,死を選択する気持ちになってしまった若者に対して私たち大人はどうあるべきかなどを率直に考える時間にしたいと考え,企画したものである。話題提供者は,思春期教育グループより旭川東栄高校で養護教諭をされている野口直美氏に,学生支援グループからは北海道大学保健センター講師でカウンセラーをされている斉藤美香氏に,日ごろの臨床実践を語っていただいた。そして,両グループを代表して,学生支援グループの飯田昭人より,自殺問題に関する統計資料における自殺問題の特徴やいくつかの提言をしたものが本報告に収録されている。なお,当日は約50名の参加者の方々にお越しいただき,質疑応答も多く活発な議論ができたことを付言し,自殺予防活動に少しでも寄与できればと思い,改めてここに当日の市民講座でのやりとりを再現したいと考える。
著者
飯田 昭人 野口 直美 斉藤 美香 丸岡 里香 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2014

本研究報告は,平成26年1月11日(土)に開催されたポルト市民講座『青年期の自殺予防を考える』における3名の話題提供者の文章を加筆修正して,研究報告としてまとめたものである。そもそもこの市民講座は,丸岡里香准教授が代表を務める「思春期教育グループ」と,飯田昭人が代表を務める「学生支援グループ」との共催で開催されたものである。本講座では,特に若者の自死・自死念慮にまつわる思いや背景について考えていくことを目的とし,テーマは「自殺予防」であるが,自殺を"させない"ための対策というよりも,若者年代の人間に自分自身の人生をいかにして生きてもらうか,死を選択する気持ちになってしまった若者に対して私たち大人はどうあるべきかなどを率直に考える時間にしたいと考え,企画したものである。話題提供者は,思春期教育グループより旭川東栄高校で養護教諭をされている野口直美氏に,学生支援グループからは北海道大学保健センター講師でカウンセラーをされている斉藤美香氏に,日ごろの臨床実践を語っていただいた。そして,両グループを代表して,学生支援グループの飯田昭人より,自殺問題に関する統計資料における自殺問題の特徴やいくつかの提言をしたものが本報告に収録されている。なお,当日は約50名の参加者の方々にお越しいただき,質疑応答も多く活発な議論ができたことを付言し,自殺予防活動に少しでも寄与できればと思い,改めてここに当日の市民講座でのやりとりを再現したいと考える。
著者
杉浦 正人 水野 信太郎
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.109-122, 2015

「札幌軟石」を札幌の地域資源として仮説的に位置づけ,`こんにち的'に考証することを目的とした。札幌の市民グループが2005年から続けてきた札幌軟石の建造物に関する調査を基礎資料として,特に対象を建物に絞り,定量的・定性的考察を試みた。その結果,2005年から2015年の間に,築50年以上の軟石建物が約320棟,札幌市内に存在することが判った。一方,そのうちの約40棟が,この10年間に解体され,消失した。建物の分布状況も明らかとなり,軟石をとおして札幌の地誌の一面を浮き彫りにすることができた。豊平川の複数の支流の,しかも多くの箇所で軟石が採掘されていたことも判った。建物が多種多彩に再利用されている様子も窺われた。
著者
大宮司 信
出版者
北翔大学北方圏学術情報センター
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of Northern Regions Academic Information Center Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-6, 2014

日本における憑依の精神医学的研究の歴史を,宗教をひとつの要素として加え検討した。女性の教祖のばあい,日本では憑依体験をもとに宗教を始めた例が多く,苦しい生活を送った女性の心の回復のひとつの型として考えた。また人格の変性という点で共通する解離に関する精神医学研究が最近増加していることが明らかとなった。
著者
島津 彰
出版者
北翔大学北方圏学術情報センター
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.41-55, 2017

日本においてキリスト教の禁教が解かれた直後の明治期に,一農村に成立したハリスト正教会(ギリシャ正教,ロシア正教との呼称もある)の歴史を社会的な事象の中で俯瞰する。教会創立の根底には深い信仰がある事は言うまでもないが,キリスト教への理解が十分でない明治初期に,因習の残る農村地帯で教会の基盤を作り,幾多の困難を乗越えて発展を遂げ,特に日露戦争時には敵国の宗教と思われていた逆境を逆手にとって,日露戦争の俘虜への信仰慰安事業に参加し,俘虜への国際法を遵守する中で,日本の近代化の一翼を担い日本の結んだ不平等条約解消への役割を果たした正教会の活動を検証する。この検証は異なる宗教・文化に対して自国中心主義が勢いを増している世界にあって,マイノリティの立場の人々の自国の発展への寄与を顧みる時,多様性が実は豊かさを保障するものである事に気づく。同時に他宗教・他文化に属する人々が取り組んでいる事象の本質を冷静に見つめる事の大切さを示唆する。
著者
今野 洋子 佐藤 満雄 舟橋 彰子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-7, 2011

現在,子どもの心を育てる教育として,国際社会において動物介在教育が推進されている。本稿では,北海道内小学校の動物介在教育(AAE)の実態から課題を把握し,動物介在教育実践校での例等をもとに,動物介在教育(AAE)の展開例と支援体制について提案することを目的とする。動物介在教育(AAE)の実践校の例から,動物介在教育を学校の教育計画に取り入れるための動物飼育と教科への位置づけおよび獣医師や専門家による動物愛護教室の全校集会案を示した。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-10, 2009

本研究は,大学生が関わる動物介在教育(Animal Assisted Education,以下AAEと表記する)実践として,大学祭において実施した「猫カフェ」における体験が,来場者の気分に及ぼす影響を分析することを目的とした。大学祭における猫カフェに訪れた計114名(男性30名・女性84名,平均年齢21.0±6.83歳)を対象に質問紙調査を実施し,以下の諸点を把握した。1.来場者の86.0%に動物の飼育経験(26.5%に猫の飼育経験)があり,動物に興味関心のある者が猫カフェに訪れた。2.猫カフェでの体験は,「触った」(72,8%),「見た」(65.8%)が多く,「一緒に遊んだ」(19.3%)や「抱っこした」(7.0%)は少なく,「抱っこした」者には,猫の飼育経験を持つ者が多かった。3.来場者の感想の「かわいかった」(71.1%)から猫の愛らしさ,「癒された」(63.2%),「和んだ」(60.5%)等からリラクセーション効果,「ふわふわしていた」(50.9%)「やわらかかった」(44.7%)等からのリラクセーションに結びつく触感,「楽しかった」(34.2%)「うれしかった」(30.7%)から喜びが得られた。4.猫を「触った」「抱っこした」「一緒に遊んだ」者は,直接的な触感の心地よさやリラクセーション効果が得られたが,猫を「見た」だけでも,リラクセーション効果が得られた。5.「猫カフェ」という場で初めて出会った猫に対して,来場者はリラクセーション効果を得,喜びを感じていた。6.猫カフェで過ごしたことによって,動物を飼いたいと思う者が増加した。これらの結果から,「猫カフェ」滞在型AAEは,初めて会う猫であっても,来場者の気分に影響を及ぼし,リラクセーション効果につながること,および動物飼育に対する興味関心が高まることが示された。
著者
佐々木 浩子 木下 教子 高橋 光彦 志渡 晃一
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-16, 2013

大学生の睡眠の質と生活習慣及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的として,北海道及び東北の大学生に「生活習慣と精神的健康状態に関する調査」を実施し,男女差及び睡眠障害の有無による比較及び検討を行った。 その結果,男子に比較して,女子では起床時刻が早く,食事の規則性などが良好で,喫煙や飲酒の習慣のある者や運動習慣のある者の割合が低いものの,ストレスの自覚の割合が高く,睡眠時間が短いなど男女の生活習慣に有意な差があることが明らかとなった。しかし,睡眠の質の評価としたPSQI-J の総得点および総得点により群分けした睡眠障害の有無の割合では男女差は認められなかった。 睡眠障害の有無による比較結果から,睡眠に関して問題をもつ者は,定期的運動習慣のある者の割合が低く,喫煙習慣のある者の割合が高く,遅い就床時刻,短い睡眠時間,長い入眠時間で,食生活に対する意識も低いなど,生活習慣においても良好な状態になく,同時に精神的な問題も抱えていることが示唆された。また,睡眠に関する問題は男女差なく,大学生の多くが共通して抱えている問題であることが明らかとなり,睡眠と生活のリズムに関する教育の必要性があるとの結論を得た。
著者
梶 晴美 高波 千代子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.5-14, 2012

本稿は,フィンランドのパーソナル・アシスタンス(PA)制度の制定経緯とそれに対する当事者運動のかかわり,および2008年12月に改正されたフィンランドの障害者のためのサービス及び援助法について,新PA制度の内容,特に改正による障害者,行政,ソーシャルワーカーへの影響について,2011年1月に実施した現地での聞き取り調査をもとに検討した。1987年の障害者のためのサービス及び援助法制定時も2008年の法改正にも障害者団体の運動が強く影響していると考えられた。特に,最初の法制定時は障害者団体が単体で運動していたものが,2005年以降複数の種別の異なる障害者団体がネットワークを築いたことが,2008年の法改正,PA 制度義務化への大きな原動力になったと思われる。改正法での新PA 制度は,理念として障害者の自己決定権をより強く打ち出しているものの,実際には雇用者モデル以外では自己決定権が十分保障されているとは言い難く,雇用者としての義務と責任を果たすことが難しい人への支援策も十分ではないと思われた。国民性の違いを考慮すると一概には言えないが,雇用者の義務と責任を第三者がどのように支援すれば,雇用者モデルでPA を利用できるようになるのかを検討することに意義はあるだろう。また,新PA で課せられたサービス計画の策定は,ソーシャルワーカーがゲートキーパーとなり自治体の支出をコントロールする重要な役割を負っている反面,ワーカーにとっては非常に負荷の大きい作業であり,策定後のモニタリング不足などの課題があることが示唆された。In this essay, the Personal AssistancePASystem in Finland is examined in a way how it was establishedand the disabled movements were involved, and to study the Finish Act on Services for the Disabled whichwas revised in December , especially relating to new contents of the act which have an impact on thedisabled, community administrations and their social workers, by conducting research interviews in their fieldin January .It has been seen that the disabled movements had a great influence on both the enactment of the Act onServices for the Disabled in and its reform in . While each disabled association took anindependent action for the first enactment, several organizations in different fields have started to gettogether to establish a network since , which could be noted as a great power of motivation to makePA system legally regulated in amendment.Though ideology which guarantees a disabled persons right to selfdetermination is more clearly representedin the new PA system, in practice it is difficult to say that their right to selfdetermination is fully securedin the services except that of the employer model, and also it seemed to be insufficient in support for thosewho have difficulty in playing an employer role with its duties and responsibilities. Considering differences ofour national characters it is not necessarily so, but in order to make the PA system accessible to everydisabled person, it is still essential to discuss the way how a third party can provide the support toemployers when they carry out their duties and responsibilities.In the new PA system, communities became liable to make a service plan for each user, which is essentialfor social workers to play an important role as gatekeepers in order to control expenses. In other hand,however, setting a service plan for each user could be a workers heavy workload. And an issue ofinsufficient system for monitoring the implementation of a service plan is emerged.
著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.101-108, 2009

本研究は北海道における特別養護老人ホームでの動物介在活動の実施状況や評価および未実施の施設の認識を把握することを目的とした。研究の結果明らかになったことは以下の点である。・道内の特別養護老人ホームの中で22施設において動物介在活動を実施している。・すべての実施施設で動物介在活動の効果があると回答されていた。
著者
菊地 達夫
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-8, 2013

本稿は,人権問題の一つアイヌ民族の問題に着目しながら,中学校社会科・道徳における専門博物館資料を活用した単元開発を行うものである。その過程において,従来のアイヌ民族学習の動向,現行課程におけるアイヌ民族学習の導入(社会科)の可能性について,確認した。 それをふまえ,専門博物館資料を含む各種資料を用いながら,社会科(公民的分野)と道徳の時間について,授業内容を例示した。とりわけ,人権問題に関する内容は,専門博物館の活用(資料,構成の利用を含む)することで,従来の課題解決の一助になる可能性を示唆した。
著者
伏見 千悦子 澤田 悦子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.137-143, 2014

本稿は,生涯学習に位置づけられる子どもの放課後支援として,平成25(2013)年度に本学内で実施した「障がいのある子ども達の音楽あそび」の活動内容を報告するとともに,参加者のアンケートから,その意義と可能性を探るものである。文部科学省生涯学習政策局は,放課後や週末等に,子どもたちに学習や様々な体験・交流活動の機会を提供する「放課後子供教室」などの教育支援活動を促進し社会全体で子どもを支える方針を打ち出している。しかし,障がいのある子ども達が安心して放課後を過ごせる居場所が十分に確保されているとは言えない。そこで,生理的,心理的,社会的働きにより,心身の癒しや治療,療育にも用いられてきた音楽の特性を有効的に活用し,聴く,歌う,動く,奏する,創るなどの多様な遊びを通して,障がいのある子ども達と参加者が交流を深める機会を提供したいと考えた。毎回の活動は,音楽遊びを中心としたプログラムであるが,造形活動や運動遊び,伝承遊びなどを組み合わせることによって,個性豊かな子ども達のニーズを反映することができたのではないだろうか。また,学生スタッフと活動終了後に反省会を持ち,感想や疑問について話し合うことで情報共有と次回への課題意識を高めることができたと考える。
著者
大宮司 信
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.35-40, 2015

関西にある円応教を対象とし,教祖が体験した神がかりがどのように継承され,どのように変容していったかを,「修法」という同教団の宗教儀礼を通して検討した。
著者
今井 博康 高志 博明
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-41, 2013

国家資格化後,新人精神保健福祉士の急増をみる一方で,若手精神保健福祉士の転退職も増加の一途をたどっている。障害者総合支援法により必置義務がなくなったことを背景とした雇用の不安定性も無視できないだろう。しかし筆者らに届く転退職に関する相談では,業務上抱えた悩みやジレンマを適切に扱ってくれる職場上司や先輩が存在しないという声が少なくない。そこで本報告では,比較的経験の浅い精神保健福祉士へのグループインタビューを実施し,転退職に至る要因がどこにあるかについて,就職当初の動機からその後の業務内容,抱えたジレンマとそれへの対処を経過的に探り,新人精神保健福祉士養成に必要な手立てを検証した。その結果,所属機関の業務に従事する中で感じる課題やジレンマについて,各人なりの自己点検を行っているものの,その自律性を支えるものとして支持的スーパービジョンの存在が浮上した。またインタビュー結果から,養成に当たる精神保健福祉士や上司,養成校,専門職能団体に求められる役割を検討した。
著者
丸岡 里香 百々瀬 いづみ フランク J.J. 中出 佳操
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.33-38, 2008

思春期の若者の健康は,次世代のわが国の健康レベルを左右する大きな問題である。しかし,若者が抱える多くの健康問題は今までの健康教育では解決できないものが多くあり知識教育以上のものが求められている。現在様々な方法による健康教育が試みられているが,われわれはそのひとつの方法として,近年行動変容に効果が認められている仲間同士の教育活動(ピア・エデュケーション活動)を継続的に高等学校の教育カリキュラムの中に組み入れ実践した。本研究はその結果を評価し,効果と課題を検討した。The health of adolescents' is an issue related to the health level of the next generation of our country.Many of the health problems that young people face today cannot simply be solved through education. Atpresent, many methods of health education are being tested and we have found that "peer education" hashad positive results in recent years as a way to educate young people in regard to health related issues.This study examines and evaluates the level of knowledge and changes in behaviors resulting from thepractice of "peer education" as it continues into higher education.