- 著者
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吉中 季子
- 出版者
- 名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
- 雑誌
- 名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.3-15, 2014-03-31
1942年に公表されたイギリスのヘヴァリッジ報告は、日本や各国の福祉国家形成に大きく影響を与えたといわれている。ヘヴァリッジ報告のなかの女性の位置づけを当時の歴史的背景とともにみたところ、国民の分類に「主婦」という独立したカテゴリーがあったことや、それに伴う社会保障上の証として「主婦保険証券」の提案があったこと、無業の既婚女性にきわめて優遇された制度の提案であったことがわかる。その背景には、当時のイギリスの主婦たちの家事労働は非常に重労働で、主婦たちの意識のなかに、家事労働に対する「職業観」が強いといったことがある。ヘヴァリッジ報告でも「家事労働」を高く評価して制度設計の計画をしていた。このようなヘヴァリッジ報告は、日本の社会保障制度の萌芽期においても強く影響を受け、ヘヴァリッジ報告を青写真に設計していたことが明らかになった。