著者
田中 譲
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.2-5, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
5

ビッグデータは通常、3V (Volume, Velocity, and Variety)とか、これにデータの正しさ( Veracity)を加えた4Vとか、更に創成すべき価値(Value)を加えた5Vで特徴づけられるが、この言葉は、ミッション先導型R&Dからデータ先導型R&Dへのパラダイムシフトを象徴する言葉ととらえた方が理解しやすい。本講演では、このようなシフトをもたらした契機を明らかにし、期待される応用分野と基盤技術の現状を述べ、今後の技術課題と、社会的課題について述べる。
著者
長谷川 亜樹 藤原 康広 森本 元太郎 平野 秀典 沖本 憲明 泰地 真弘人 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.50-51, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9

創薬プロセスの初期段階における、仮想スクリーニングの対象となる仮想化合物ライブラリでは、新規骨格を持つ化合物を豊富に含みかつそれらが合成可能であることと、そこから有用な情報を効率良く取り出せることが重要である。我々は、主要な人名反応から抽出した構造変換規則を繰返し適用することにより、一千万化合物の化学構造から重複の無い17億の仮想化合物の化学構造を生成した。これら全ての仮想化合物は合成経路情報によって結ばれ、合成戦略の検討材料を提供することが可能となる。更に我々は、これらの化学構造と合成経路情報に、記述子及びフィンガープリントを付加してデータベースを構築し、部分構造、類似性、及び物性値に基づく検索機能を実装した。今後はライブラリに含まれる化合物の特性をケミカルスペースにおいて把握するための可視化技術の開発・高度化を進め実効性に富む仮想化合物ライブラリを構築していく。
著者
堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.42-45, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
4

我々は研究や分子化学教育の現場における量子化学計算結果の利用を容易にするため、理論計算結果を集めたデータベース(QMRDB)の構築を行ってきた。このシステムは、WebブラウザとPostgreSQLを使用し、php言語で記述され、ネットワークを介してどこからでも容易にアクセスが可能である。分子名やキーワードによる検索だけではなく、OpenBabelを用いた構造検索機能も実装している。このデータベースの利用を促すためには、データ数増加やそれらの正確性を担保することは重要である。その目的で、データ登録作業の効率向上を目指したWebブラウザベースのプログラム開発をおこなった。更に、QMRDB中データを反応記述子で関連付けることにより、遷移状態データベース(TSDB)も構築している。このデータベースは、TOSP等の合成経路設計システムが網羅的に発生する合成経路で目的化合物が合成できるかどうか検証を行う理論計算(in silicoスクリーニング)を支援するために利用される。
著者
土井 龍大 岩根 陵 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.40-41, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

我々のグループで開発した 分子形状解析手法の効率向上について検討した。はじめに解析のための複数のプログラムを統率プログラムによって実行することで解析の自動 化を図った。次に、プローブを配置する範囲を分子近辺のみに絞ることで計算コストの削減を行った。水分子を例としてテストを行ったところ 計算数を4分の1程度まで減らすことに成功し、大きな分子に関しても比較的低コストで解析することが可能となった。この結果を受け、手法 の有効性を示すことを目的とし、生物学的等価体の解析を行った。ターゲット分子とイオンプローブとの相互作用領域もとに類似性の定量化を行った。
著者
宮尾 知幸 金子 弘昌 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.36-39, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
6

Inverse-QSPR とはQSPR モデルを反対方向に解析することにより、望ましい物性値を持つ化学構造を生成する手法である。目的変数: y の値に対応する記述子: x の情報をモデルの逆解析により取得し、記述子の情報から化学構造を生成する。発表者らは以前、y を所与とした際のxの事後確率密度関数を導出することにより、効率的にinverse-QSPR 解析が行えることを示した。しかしその際に用いることができる回帰手法は線形重回帰モデルのみであり、非線形性を持つデータに手法を適応することができなかった。本発表では、x の事前分布で規定されたクラスタ毎に回帰モデルを設定することで、擬似的に非線形性を表現する手法と、Gaussian Mixture Regressionによる手法を検討した。ケーススタディとしてシミュレーションデータに対して両手法を適用した結果、非線形を示すデータに対して、両手法は妥当な形状のx の事後分布を生成することができた。
著者
新井 直樹 吉川 舜亮 安尾 信明 中嶋 悠介 吉野 龍之介 関嶋 政和
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.104-105, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
2

Structure Based Drug Discovery (SBDD)では、標的となる蛋白質の構造に対して、ヒット化合物の探索が行われる。ヒット化合物が得られた後に、活性をあげたり物性を改善するなど、化合物をよりドラッグライクな化合物へと変化させていく。本研究では、実際に合成が可能であるように化合物の成長を行うことが可能となるよう、Hydrogen Bonding Donor (HBD), Hydrogen BondingAcceptor (HBA)の数、安定性の増加に関与する合成ルールを多段階に適用することで化合物をドラッグライクに変化させることを可能にした。さらに、webサービスとして実装することで、ユーザがヒット化合物を得た後に、インタラクティブに合成ルールを確認しながらヒット化合物から合成可能なドラッグライクな化合物群を獲得することを可能にしている。
著者
小杉 侑誠 岩根 陵 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.88-89, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9

薬理作用を持つ植物由来の分子に関する電子状態計算を行い、電子状態データベースを作成した。このデータベース作成に関する要素技術を開発し、プログラムとして実装した。作成したデータベースから抽出した分子群の電子的類似性を検討するため、新たな電子的記述子を設定した。選択したいくつかの分子群について電子的類似性を評価し、開発したデータベースと利活用ツールの有用性および問題点を議論する。
著者
井手尾 俊宏 岩根 陵 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.126-127, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

計算化学の発展に伴い、様々な化学物質の電子状態情報を容易に得られるように なった。しかし、それらのデータを効率的に活用するためには、多くの計算結果を集積・整理し、必要なデータに焦点を当てて探索できる必要 がある。そこで本研究では、計算結果を集積・整理する機能を備えたデータベースを構築し、さらに分子に関する概念情報を集積するためのシ ステムを実装した。また、登録された分子のうち、抗ガン剤や発ガン性物質などの「ガン」に関連するものについて、UV/visスペクトルやIRスペクトル、バンドギャップなどの8種類の数値から算出した量子化学的類似度を使用してクラスター解析を行い、分子 の性質による分類を試みた。クラスタリングの結果、8種全ての指標を使用するよりも、IRスペクトルと振動数スペクトル、励起エネルギースペクトル、軌道エネルギースペクトルの4つの指標を使用した場合の方が、抗ガン剤と発ガン性物質を含んだ分子群から発ガン性物質を抽出する精度が高い という結果が得られた。
著者
黒木 孝行 飯田 瑞貴 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.34-35, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
1

電子状態計算で得られる数値情報を活用すると、化学現象に潜む規則性、法則を発見できると考えられる。これを実現するために、我々の研究室では電子状態計算に基づく数値データに関する機械学習の手法(電子状態データマイニング手法)を開発している。この手法は、電子状態計算によって得られた電子的因子を用いて、単回帰分析や多変量解析を行うことで、化学現象の規則性を探索するものである。解析に使用する電子的因子は、軌道エネルギー、励起エネルギー、振動子強度、遷移双極子モーメント、双極子モーメント、イオン化エネルギー、電子親和力である。この電子状態データマイニング手法を用いて、結核の治療薬として研究されているPyrazinamide誘導体に関する解析を行ったところ、ベンゼン部位に局在化した空軌 道のエネルギーが薬理活性に影響を与えている可能性を発見した。
著者
上原 彰太
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.32-33, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
3

構造ベース創薬(SBDD)において,ターゲットタンパク質に対するリガンド(薬剤候補化合物)の結合構造およびその結合の強度を分子シミュレーションによって正確に予測すること(Docking)は困難な問題である.Dockingはタンパク質−リガンド間の相互作用エネルギーを目的関数とした数値最適化問題を解くことによってリガンドの最も安定な結合構造を予測する.しかし一般に,Dockingのスコア関数は非常に複雑であり,正確な結合構造の予測には高精度かつ高効率な最適化アルゴリズムが必須となる.本研究ではミツバチの採餌行動に基づいた最適化アルゴリズムである人工蜂コロニーアルゴリズムを応用することによってDockingの精度向上に成功した.
著者
片岡 洋右 山田 祐理
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.26-27, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
8

固体の融解で得られる液体における分子運動を見やすくするために、面心立方格子の単位胞の融解を分子動力学法で調べた。その結果,基本セルに4個の系でも864分子系の融解同様に振動的運動に加えて拡散運動が存在するという分子運動の特徴が見えることが分かった。
著者
和泉 博
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.22-23, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
12

有機分子の立体構造を表示する多くのソフトウェアではクリック操作で光学活性分子のキラリティーを簡単に表示することが可能である。一方で、ゴーシュプラス、トランスなどの有機分子のコンフォメーションを簡便に表示するソフトウェアは存在していない。クリック操作であらゆる有機分子の立体配座をコード化できるプログラム(CCOM)を作成し、その最適化分子構造ファイルの自動抽出機能によるプラバスタチンナトリウムの赤外円二色性(VCD)立体配座解析を行った。CCOMによる各コンフォマーの出力は、立体配座コードとギブズ自由エネルギー値の情報を含むsdfファイル形式として整理した。さらに、2次元の化学構造式の部分構造検索が可能なSMARTS記法と立体配座コードを結び付けることにより、メバスタチンX線結晶構造データのような異なる分子でも 3Dフラグメント構造検索が出来た。
著者
清野 淳司 大越 昌樹 中井 浩巳
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.24-25, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
5

完全基底関数極限における高精度な電子相関を含んだ電子相関エネルギーを高効率に算出することは化学的精度(1 kcal/mol以内)での量子化学計算を実現するために重要である。これまで種々の電子相関エネルギーの完全基底関数極限への外挿手法や、幾つかの計算レベル・基底関数でのエネルギーを組み合わせた複合法が提案されてきた。本研究では情報学手法を用いてより効率的に、完全基底関数極限におけるCCSD(T)レベルの電子相関エネルギーを算出する手法を提案する。