著者
稲葉 通将 鳥海 不二夫 高橋 健一
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.144-147, 2012-11-09

本研究では,自然言語によるコミュニケーションによってゲームを進行する対話型ゲーム「人狼」を研究対象とする.人狼は世界各地で行われている人気のパーティゲームであるにもかかわらず,ゲームの基本的性質はほとんど明らかになっていない.そこで,本論文ではオンラインネットゲームとして提供されている「人狼BBS」で行われたゲームデータを用いて統計的分析を行い,人狼側と人間側が勝敗において平等にするための条件を明らかにする.また,人狼BBS の現行ルールが各陣営において,勝敗において平等でない場合があることを明らかにし,それを是正するための新たなルールの提案を行う.
著者
三宅 陽一郎
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.108-113, 2012-11-09

デジタルゲームにおける人工知能技術は、この10 年でゲームメカニクスやキャラクター制御と言った要素から独立し、明確に一つの分野として独立した.同時に、ゲーム製作の中で引き受けることになった諸問題は大きく深い.デジタルゲームにおける人工知能は、そういった問題に対して、従来の人工知能技術のみならず、認知科学、心理学、生物学などから概念を借用しながら、徐々に問題を整理し技術を確立して来た.ここでは、これまで確立されて来た概念を基礎に、これからの次世代デジタルゲームにおいて中心的研究課題となる問題をリストし順番に簡単な解説を行う.それによって本分野の全体像を描く.
著者
宮崎 敦広 松原 仁
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.137-140, 2012-11-09

ポーカーのような不完全情報ゲームにおいては,得られている情報から優勢劣勢の判断をして行動を決定することが重要である.本研究では,テキサス・ホールデムというポーカーを題材に勝率を基にした優劣推定から行動を選択するコンピュータプレイヤを作成し,評価を行った.優劣推定の正解率から優勢と判断していい状況の基準を定めることができた.さらに勝率に加え相手の賭け金を考慮することによって,対人戦において失点を抑えることに成功した.
著者
古居 敬大 浦 晃 三輪 誠 鶴岡 慶雅 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.211-218, 2012-11-09

3人以上で行われるポーカーのような多人数ゲームにおいて,相手プレイヤの人数が多少変わったとしても有効な戦略の性質は変わらないことが予想される.そこで本稿では相手プレイヤの行動を削減・抽象化を行うことで,多くのプレイヤが存在するゲームで実際のゲームより少ない人数のゲームを想定し,少人数ゲームで学習した戦略を適用する手法を提案する.簡易的な多人数のポーカーでの実験の結果,特に多人数でのゲームで十分に学習ができていない場合は提案手法が有効になり大きな報酬が得られることがわかった.
著者
今田 智大 橋本 剛
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.151-154, 2012-11-09

オセロにおいて一般的に設けられているハンディキャップは隅に石を置くものであるが、そのハンディキャップは実力差を埋めるのにあまり妥当でないと言われている。本研究では実力差が大きい時に一般に設けられているオセロのハンディキャップが妥当でないことを示し、新しく大きな実力差を埋めるハンディキャップを提案する。
著者
大町 洋 池田 心
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.197-204, 2012-11-09

近年,チェスや囲碁,将棋など様々なボードゲームのAI が研究され,既に人間のプロのレベルに到達しているものも存在する.しかし,ボードゲームは着手の同時公開の困難からか交互ゲームが多く,ジャンケンなどのそれぞれのプレイヤが着手を決定してから同時に公開する同時進行ゲームのAI 開発に関する研究は少ない.本稿では,同時進行ゲームのAI 開発の足掛かりとして,ナッシュ均衡を考慮した確率的なノード探索をモンテカルロ木探索に適用する手法を提案する.提案手法は二人零和完全確定情報同時進行ゲームである同時進行Triomineering にて,モンテカルロ法に対して優位な結果を示すことに成功した.
著者
池田 心 Viennot Simon
出版者
情報処理学会
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.47-54, 2012-11-09

ゲーム木探索手法の発展・評価関数の精度向上・計算機資源の増大に伴い,コンピュータ囲碁・将棋の棋力は多くのアマチュアにとって十分な強さに到達しつつある.一方で,人間プレイヤを楽しませたり指導するための学術研究はボードゲームではあまり行われていない.本稿では,人間プレイヤを楽しませるために必要と思われる要素技術を列挙することを第一の目標としたうえで,モンテカルロ碁を用いた場合のアプローチをいくつか紹介する.
著者
石飛 太一 飯田 弘之
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.163-166, 2012-11-09

本論文では証明数を利用した詰将棋問題の感性評価について調査を行った.そこで,証明数と反証数についての統計情報を得るため,Allis(1994) によって提案されたProof-Number Search を利用し,コンテストにおける上位問題の分析を行った.また,上位入賞問題とその他一般問題について違いを調べ比較した.結論として,証明数と詰将棋問題の感性評価の間には一定の関わりがあることが分かった。
著者
澤 宣成 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.183-186, 2012-11-09

将棋におけるプレイスタイルである棋風に着目し,人間がどういった特徴要素に対してそれを感じているかを棋譜から抽出した特徴要素の統計的分析によって明らかにすることを試みた.その結果、いくつかの特徴を発見した.
著者
西村 友伸 大用 庫智 高橋 達二
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.191-196, 2012-11-09

本研究では甲野により提案された可変参照型緩対称推論をモンテカルロ木探索に応用させ,その効果を測る為にリバーシのAI に実装し,モンテカルロ木探索で広く利用されているUCT を実装したAI と対戦させた.その結果ある程度のプレイアウトの上ではUCT に勝ち越し,可変参照が木探索においても有効に作用することが分かった.
著者
滝瀬 竜司 田中 哲朗
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.159-162, 2012-11-09

現在の将棋プログラムの多くは入玉が絡む局面の扱いを苦手としているが,トッププロに勝つためには,入玉が絡む局面を正しく扱い「自玉が入玉したら宣言勝ちを目指す」,「敵玉の入玉を正しく阻止する」将棋プログラムの作成が不可欠だと考えられる.本稿ではオープンソースの将棋プログラム bonanza 1) で入玉した局面から学習することにより入玉後評価関数を作成する試みをおこなった.その結果,入玉後評価関数を用いて元のbonanza と対戦させたところ,勝率を上げることができた.