著者
佐野 智也 増田 知子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.147-150, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
4

「日本研究のための歴史情報」プロジェクトでは、様々な資料のデータベース化に取り組み、研究に利用している。研究利用のためには、テキストデータであることが重要であるが、明治~占領期の資料について、テキストデータの作成はあまり活発におこなわれていないように思われる。本報告では、『人事興信録』データベースと「SCAPIN」データベースについて、テキストデータの作成方法を説明する。また、データベース化にあたっては、研究利用の立場からの様々な要請に応えており、これらデータベースと研究利用の関係についても報告する。
著者
島袋 美由紀 三嶋 啓二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.89-92, 2020

<p>沖縄には「ユイマール」(相互扶助)という言葉がある。他にも「肝心(チムグクル)」(真心)や「イチャリバチョーデー」(一度会ったら皆兄弟)などがあり、これらは沖縄の人々が培ってきた社会観を表象している。しかし、現在は、個人の価値観やライフスタイルの多様化に伴い、プライバシーやプライベートが重視され、固定的で干渉される人間関係は疎まれるようになってきた。その副次的な現象として、多くの自治体では地域活動を担う人材が確保できず、住民間の紐帯が希薄になってきている。しかし、在住地域は暮らしの基盤であり、最も身近な社会である。安心安全な地域社会は、主体である住民自ら築くことが望ましく、その原動力となるのがシビックプライド(愛着や誇り)ではないだろうか。</p><p>本稿では、地域デジタルアーカイブの構築と活用を支援するNPOの活動を紹介するとともに、被支援地域におけるシビックプライド調査について報告し、その課題について明らかにする。</p>
著者
須之内 元洋
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.163-166, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
2

文化資源の蓄積と永続的継承を意図して構築されるデジタルアーカイブにおいて、その長期的ケアを具体的に計画し実践することは、運用者の倫理的な義務である。しかし、様々な要因によって、運用中のアーカイブの停止や規模縮小、意図しないデータ消失といった問題が顕在化している。特に、コミュニティアーカイブのような中小規模のデジタルアーカイブにとっては、こうした問題に対する論理的対応手順の検討と事前準備を行っておくことが、喫緊の課題となってきている。運用開始から11年となる森正洋デザインアーカイブを例として、システムマイグレーション・フローチャートの構築を試み、その考察を行った。
著者
橋本 雄太
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.169-172, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
9

近年多数の文献資料がデジタルアーカイブ化されているが、専門知識を有さない一般の人々には前近代の文献資料の読解は困難である。国立歴史民俗博物館では、同館が所蔵する中世文書資料のオンライン展示システム『日本の中世文書WEB』(以下、『中世文書WEB』)を開発・公開した。『中世文書WEB』は、展示資料の内容解説に加えて、音声による文書の読み上げとアニメーションによる翻字の強調を組み合わせた「カラオケ」式のプレゼンテーションを採用している。この手法は非常によく機能し、2020年1月8日のシステム公開後、1週間の評価期間中に5,000人を超える人々がWebサイトを訪問した。また、サイト利用者48名に対して実施したオンラインアンケートにおいても、「カラオケ」式のインターフェイスが高く評価された。これらの結果は、前近代の文献資料を幅広い利用者に展示する手法として、読み上げ音声の提供が効果的にはたらくことを示唆している。
著者
尾鷲 瑞穂
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.171-174, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
5

オープンサイエンスの潮流が広がる中、研究データの公開とその方法についても関心が高まっている。科学研究の学術論文投稿時には、その研究を通して生産された研究データの公開が求められ、メタデータと併せて永続的固有識別子であるDOI(Digital Object Identifier)をその研究データに付与することが求められるようになってきている。その際には、データの再利用や引用のしやすさを考慮した上で、その粒度やメタデータへの記載にも留意する必要がある。しかし、その考え方は、分野によっても相違があり、統一した方法があるわけではない。今回は、気象観測データや環境モニタリングなど、先に集積的なデータが公開されており、それを解析して研究を行うようなケースと、社会調査や疫学調査など、データ集計の経過途中で論文が出版されるケースを取り上げ、学術論文の出版を見据えた研究データへのDOI付与の考え方の必要性を報告する。
著者
長谷川 智子 櫻井 順子 須崎 正美 山本 美知 長島 豊太
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.148-149, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
3

科学がわかるたのしさを伝えてくれる岩波科学教育映画は,制作後50年を経ても学校および市民のための科学教育に力を発揮してくれる。科学の原理や基本法則は,時代を経ても変わらない。それを初学者に教えるとき、科学の方法(仮説・実験)を取り入れ,視聴者を惹きつけるストーリーでできた科学教育映画は,現代の科学教育の課題への道を開く手段となりうる。映像と科学教育の研究会では,16mmフィルムで制作された映画をデジタル化し,活用への道を開いてきた。さらに映像と視聴者とをつなぐコミュニケーションの工夫を重ね成果をあげている。
著者
大久保 ゆう
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.87-90, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
2

1997年7月に創設された「青空文庫」は、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、図書館のようにインターネット上に集めようと考えて、20年のあいだ民間ボランティアによる活動を続けてきた。また初期から電子化の軸となるファイルに「テキストファイル」を選び、書籍から電子化する際のルールを厳格に定めるとともに、ファイル共有の実現のために必要かつ妥当なあり方を作業するなかで探求し続けてきた。その活動のなかで確立された電子化ルールは、通称「青空文庫形式」とも呼ばれているが、現在は作業マニュアルおよび「注記一覧」としてまとめられた上で一般公開され、青空文庫内外で活用されている。本発表では、青空文庫で用いられているテキストファイル化のルールについて、その誕生から発展・活用に至った経緯、そしてその品質管理を論じるものである。20年の電子化活動から生まれた、日本語(による/のための)マークアップの可能性を再考したい。
著者
西川 開
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.123-126, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
16

本発表ではデジタルアーカイブの制度分析の方法論として「知識コモンズ(Knowledge Commons)」研究と呼ばれる領域で系統化されている方法を用いることを提案する。知識コモンズ研究は、自然資源の管理制度に関する研究領域である「コモンズ」研究から派生した領域であり、「知識」(文化情報資源に相当する概念)のガバナンス・メカニズムを実証的・帰納的な方法で明らかにすることを目的としている。発表内容として、まず「制度」という概念の複合性を指摘し、デジタルアーカイブと(知識)コモンズ研究の関係を示し、知識コモンズ研究の前身であるコモンズ研究と照応しつつ知識コモンズ研究の概要および同方法の詳細を明らかにする。最後にデジタルアーカイブ研究における同方法論の意義を考察する。
著者
永崎 研宣
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.151-154, 2019

<p>現在、世界中のデジタルアーカイブ公開機関から多くのコレクションが公開されている。しかしながら、「コレクション」への興味を持つ人はそれほど多いわけではない。むしろ、自らの関心のあるテーマに沿って各地のコレクション中の個別の資料を横断して閲覧したり注記したりすることを望む利用者への対応が課題であり、IIIFはそれを解決し得るものである。そこで、筆者らはIIIFの採用を推進すべく各地で活動を行ってきた。国際規格の普及活動は今後も必要になることが予想されるため、情報共有のためにこの活動について報告する。さらに、IIIFのグローバルな普及から得られる公開者・利用者双方のメリットについて事例とともに紹介する。</p>
著者
日下 九八
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.120-123, 2018

<p>初回の企画立ち上げから、各地のウィキペディアタウンをサポートし、またファシリテーター養成講座や甲州エディットソンなど関連イベントにも関わってきた経験から、各事例を報告し、ウィキペディアタウンに期待されるもの、得られるものを、デジタルアーカイビングの観点から整理する。</p>
著者
小泉 真理子 上條 由紀子 寺田 遊
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.156-157, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
3

2000年以降、経済や外交において文化の影響力が注目されている。その中で、戦後直後に現在の日本文化の基礎がいかに築かれたかを探究することは必須である。しかしながら、国内において当時の関係資料の多くは失われている。本研究では、米国大学所蔵の貴重な文化資料を、国内外で誰もが閲覧可能にすることを目的とし、グローバルな産学の連携により、デジタル化と公開作業を実施している。具体的には、ハワイ大学マノア校図書館の、連合国最高司令官総司令部が1945年から4年間に日本において検閲した歌舞伎脚本の英語版原本(“Stanley Kaizawa Kabuki Collection”)をデジタル化・テキスト化し、一部をインターネットで公開予定である。今後は資料の背景をヒアリング調査等により明らかにする。本研究が、占領期の日本における表現活動の実態を多面的に明らかにすることに寄与し、日本文化史の欠落を補う一助となるとともに、米国の対日文化政策等の関連研究を誘発することが期待される。

1 0 0 0 OA 表紙

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.j1, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)

1 0 0 0 OA 学会規約

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.362-363, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)