著者
金 甫榮
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.70, pp.15-36, 2016-03-25

本稿では、ビジネス・アーカイブズの保存・利用について長年にわたり国を挙げ戦略的に取り組んで来たイギリスの先進事例から、その歴史的背景を含め基本理念と具体的な実践スキームについて紹介する。そして、現在までの日本のビジネス・アーカイブズの状況を整理しつつ、ビジネス・アーカイブズのとらえ方、実践面でどのような課題があるかを明らかにする。その上で、イギリスのビジネス・アーカイブズのための戦略を評価軸にして、日本におけるビジネス・アーカイブズの将来像を意識しつつ、その発展に資する戦略や方法について検討する。具体的には、ビジネス・アーカイブズの連携及び統合化のための共有プラットフォームとも言える「全国ビジネス・アーカイブズ登録簿」の構築を提案すると共に帝国データバンク史料館を例にあげ、有効な登録簿の構築方法を具体的に示す。
著者
小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.70, pp.3-14, 2016-03-25

2015年3月15-16日、当時の記録管理学会理事会メンバーによるブレーンストーミングを行った。記録管理学の体系化をめざし、記録管理学会の将来像を描きたいというのが、その企画の根底にあった。以下はその成果報告書である。主な報告内容は、記録管理学とは(1.)、記録管理法制度(2.)、記録管理の実務と実業(3.、4.)、記録管理の道程(5,)、記録管理と社会(6.)、多用な記録管理(7.)にまとめ、執筆者は末尾に掲げた。
著者
清水 惠枝
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.54, pp.30-40, 2007-12-25

これまで公文書館の設置は、歴史資料保存運動や自治体史編纂事業と関連付けられ、資料保存に力点をおいて進められてきた。このことから公文書館の性格は文化的側面が強調されてきた傾向がある。しかし、近年では社会の変容とともに、公文書館が担う役割に変化が生じ、公文書館の趣旨に行政的な側面が表れるようになった。そのような傾向であるにもかかわらず、公文書館の組織における権限や位置付けは弱く、業務基盤が貧弱である。非現用の文書を扱う公文書館が行政的な役割を担うには、自治体と公文書館で同一の情報資源を扱うことを考慮した業務が図られなければならない。公文書館が行政情報を着実に蓄積して恒久的にそれを提供することにより、住民の行政参画が促進され、より民主的な自治運営が期待される。
著者
橋本 陽
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.42-56, 2014-03-15

本稿は、個人文書の編成を論じるものである。編成はISAD(G)などのある記述とは反対に標準が未だ決定されていない。その上、個人文書やマニュスクリプトは、組織のアーカイブズとは異なり、多くの場合において出所及び原秩序の尊重の原則が適用できず、編成は非常に困難である。本稿の狙いは、このような大きな問題を解決するために貢献し得る一事例を提示することにある。本稿は法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズが所蔵するサリドマイド関連資料を素材として、その特質を丹念に調べ、日本と英語圈における編成の方法論を検討し適応可能なモデルを探した。最終的には、これらの方法論を組み合わせ新しい編成の方法論を作り上げ、それをサリドマイド関連資料に適応することで、資料を編成することが可能となった。ここで示した方法論は、同種のマニュスクリプトや個人文書を編成するための一つの道標となるはずである。
著者
嶋田 典人
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.19-41, 2014-03-15

国の公文書管理法に基づき各地方自治体でも公文書管理条例が制定されている。また、公文書館の設置も進みつつある。それら動向は古文書等の「収集アーカイブズ」よりも公文書の「組織内アーカイブズ」が中心である。そこで「収集アーカイブズ」を中心にアーカイブズの現状と課題、望ましい方向性について述べる。そして、現実的な「収集アーカイブズ」の積極的・戦略的保存と利活用の方策について提言したい。
著者
壷阪 龍哉
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.12-18, 2014-03-15

どのような記録を残し、後世の人々がこれらを利用して過去の事実を検証し、将来の動向を予想することができるだろうか。このテーマと取り組むには、アーカイブズの役割をさまざまな角度から議論を深め、広く社会的認知を高めることが前提となろう。しかしながら、我が国は、アーカイブズあるいは記録管理の分野において、後発の発展途上国と評価されている。そこで、現用、半現用文書の改善整備活動に携わってきたコンサルタントの視点から、非現用文書(古文書)の評価選別、安全な保存・保護、公開利用、そして専門職養成と働く場の確保など、現状および問題点を明らかにし、アーカイブズの未来のために役立つ提言をする。
著者
高山 正也
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.4-11, 2014-03-15

著者は2006年4月から理事として、2009年7月から館長として勤めていた(独)国立公文書館を2013年5月で、退職した。国立公文書館在職中に課せられた主な使命は、主要諸外国に比較し、異常に小規模で低水準の国立公文書館の水準を向上させるべく、関連法令の制定、施行に始まり、末端行政組織と化した国立公文書館の活性化とそれを公文書館本来のアーカイブズ専門業務担当組織に変質させることにあった。しかし、長い伝統の下で硬直化した公文書館のような公的な組織の変革は著者のごとき理屈だけを、公文書館同様日陰の存在になっている図書館を対象とした経験しかない者の手には余るものであった。その様子が法律の制定、公文書館業務の実態等を経営の要素としての、ヒト、カネ、資料等の扱いといった具体例に触れて記述される。結局、日本における国際標準から外れた公文書類の扱いは公的組織の奥深くまで浸透しており、今後息の長い取り組みが必要との結論が述べられる。
著者
橋本 陽
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.42-56, 2014-03-15

本稿は、個人文書の編成を論じるものである。編成はISAD(G)などのある記述とは反対に標準が未だ決定されていない。その上、個人文書やマニュスクリプトは、組織のアーカイブズとは異なり、多くの場合において出所及び原秩序の尊重の原則が適用できず、編成は非常に困難である。本稿の狙いは、このような大きな問題を解決するために貢献し得る一事例を提示することにある。本稿は法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズが所蔵するサリドマイド関連資料を素材として、その特質を丹念に調べ、日本と英語圈における編成の方法論を検討し適応可能なモデルを探した。最終的には、これらの方法論を組み合わせ新しい編成の方法論を作り上げ、それをサリドマイド関連資料に適応することで、資料を編成することが可能となった。ここで示した方法論は、同種のマニュスクリプトや個人文書を編成するための一つの道標となるはずである。
著者
嶋田 典人
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.19-41, 2014-03-15

国の公文書管理法に基づき各地方自治体でも公文書管理条例が制定されている。また、公文書館の設置も進みつつある。それら動向は古文書等の「収集アーカイブズ」よりも公文書の「組織内アーカイブズ」が中心である。そこで「収集アーカイブズ」を中心にアーカイブズの現状と課題、望ましい方向性について述べる。そして、現実的な「収集アーカイブズ」の積極的・戦略的保存と利活用の方策について提言したい。
著者
壷阪 龍哉
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.12-18, 2014-03-15

どのような記録を残し、後世の人々がこれらを利用して過去の事実を検証し、将来の動向を予想することができるだろうか。このテーマと取り組むには、アーカイブズの役割をさまざまな角度から議論を深め、広く社会的認知を高めることが前提となろう。しかしながら、我が国は、アーカイブズあるいは記録管理の分野において、後発の発展途上国と評価されている。そこで、現用、半現用文書の改善整備活動に携わってきたコンサルタントの視点から、非現用文書(古文書)の評価選別、安全な保存・保護、公開利用、そして専門職養成と働く場の確保など、現状および問題点を明らかにし、アーカイブズの未来のために役立つ提言をする。
著者
高山 正也
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.4-11, 2014-03-15

著者は2006年4月から理事として、2009年7月から館長として勤めていた(独)国立公文書館を2013年5月で、退職した。国立公文書館在職中に課せられた主な使命は、主要諸外国に比較し、異常に小規模で低水準の国立公文書館の水準を向上させるべく、関連法令の制定、施行に始まり、末端行政組織と化した国立公文書館の活性化とそれを公文書館本来のアーカイブズ専門業務担当組織に変質させることにあった。しかし、長い伝統の下で硬直化した公文書館のような公的な組織の変革は著者のごとき理屈だけを、公文書館同様日陰の存在になっている図書館を対象とした経験しかない者の手には余るものであった。その様子が法律の制定、公文書館業務の実態等を経営の要素としての、ヒト、カネ、資料等の扱いといった具体例に触れて記述される。結局、日本における国際標準から外れた公文書類の扱いは公的組織の奥深くまで浸透しており、今後息の長い取り組みが必要との結論が述べられる。