著者
足立 圭司
出版者
別府大学短期大学部紀要編集委員会
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.30, pp.55-64, 2011-02

大分県内の各知的障害者施設に,利用者の高齢化と老化についてアンケート調査を行った.その結果,多くの高齢知的障害者は知的障害者更生施設へ集中していることが明らかになった.知的障害者施設の介護力不足の問題と介護老人福祉施設へ容易に入所できない実態が示された.施設からは高齢知的障害者のケアと一般の認知症高齢者や身体介護を要する高齢者のケアは,基本的に異なるといった声が多く見られた.また新体系への移行に伴い高齢者生活支援プラス知的障害者固有のニーズに基づくサービスの提供,あるいは介護保険での認知症対応型共同生活介護等を高齢知的障害者に利用しやすい形態にして地域ケアの方向へシステム化するという二方向の意見に整理された.今後,高齢知的障害者固有のニーズについて,認知症対応ケアとの相違も含めて調査研究を続けていく必要がある.
著者
荒金 正憲
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-16, 1996-01

挿図あり
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.53-66, 2012-02

紛争、和平プロセス、和平合意と社会の変化に伴って北アイルランド小説のテーマも変遷を遂げてきた。1970年代から1990年代にかけては「紛争小説」が書かれ、1998年のベルファスト和平合意前後からは、紛争を振り返りながら和平の過程の中で生きる人間の姿を描いた小説が書かれ始めた。そして2000年を過ぎてからは、紛争は背景に置いただけの、日常的な人生体験をテーマにした小説が書かれ始めた。シャロン・オウエンス『マルベリー通りの喫茶店』(2003)は、ベルファストのある喫茶店の常連客たちの様々な人生体験を描いた。苦難を乗り越えて新たな人生を踏み出す彼らは、北アイルランド内外の多くの読者たちの共感を呼び、「北アイルランドは紛争が終わったら書くべき題材は無くなる」というメディアや批評家たちの見解を一蹴した。また彼らの新たな人生は、平和と発展に向けて歩み始めた北アイルランドのメタファーと見なすこともできる。そして登場人物の女性たちは、紛争小説に見られた受動的な女性たちとは違った能動的な女性たちである。The themes of Northern Irish fiction have changed as Northern Irish society has witnessed events such as the Troubles and the peace process. The so-called "Troubles novels" were written from the 1970s until the 1990s. Since a few years past 2000, novels of which the main themes are people's simple experiences of living have been coming out.The Tea House on Mulberry Street (2003)by Sharon Owens is a novel about various experiences of living of the customers in a Belfast tea house. The new lives which they have attained after overcoming many hardships can be regarded as a metaphor for Belfast which is now on her way to peace and development after overcoming the Troubles.Another characteristic of the novel is the appearance of active women, which presents a striking contrast to passive women appearing in many Troubles novels.
著者
立松 洋子
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.27, pp.137-157, 2008-03

(1)今回の調査で大分県の郷土料理で高い認知度を示したのは,ひじきごはん,高菜ご飯,とり飯,けんちん汁,団子汁,とりてん,やせうま,カボスゼリーである。郷土料理の種類で認知度の差があるが,この8品だけが認知度が60%以上である。郷土料理は子どもにはあまり知られていない(伝承されていない)と考える。1つの根拠と考えられるのは,一般的に大分県は小藩分立の影響が残り,郷土料理が県全体で食べられていないと考える。(2)学校や家庭や外食で作られ普及している郷土料理の方が,子どもへの認知度が高くなると考える。家庭でも大事に引き継がれている郷土料理ほど認知度は低い。これらの認知度の低い郷土料理を絶やさず,次世代に伝承していくことが重要であると考える。(3)ほとんどの郷土料理は地域性があるが,学校給食でだされている郷土料理は地域を超えて伝承されている。このことからも,学校での食育は重要であると考える。(4)郷土料理が体に良いと思う・美味しいと思うと60%が認識しているが,郷土料理が本当に身近な料理と思っている子は31%しかいないことからも郷土料理は子どもに浸透していない。また,郷土料理は家庭で, 1か月に数回しか食べられていないことからも郷土料理が作られていないことがわかる。また,非常に伝えていきたい,作れるようになりたいと思う子どもも少なく,郷土料理にあまり関心がないようである。これからどのように取り組みをするかが重要になる。(5)外食については, 69%の子どもたちは1ヶ月に数回以上外食の頻度があり,外食が日常化している。また,家庭では芋類・豆類・果物が食べられていない。家庭での調理が少なくなり外食やコンビニ弁当・インスタント食品では芋や豆・果物をとる機会が少なくなると考えられる。家庭でも心がけて郷土料理の素材である芋や豆を使った料理を作ることで,郷土料理が家庭で一層普及し,さらに,学校給食がこれまで以上に食育の立場で郷土料理の伝承に大きな役割を果たすことを期待している。また,外食での郷土料理の普及も重要な鍵となると考えられる。
著者
村田 勝 神戸 保 江崎 一子 岩本 佳子 村田 みどり
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-7, 2006-02

成熟(黄色)したカボスを用いて,食品を中心とした加工品開発を行った。この開発研究のコンセプトは,黄色化したカボス全体をすべて加工に使用することである。種子も果皮も,もちろん果汁も利用し,廃棄物をゼロにすることである。また,高齢者や病弱者に美味しく食べてもらえる黄色カボスの加工品開発も,この研究の目的の一つである。開発した53品目の中には,高齢者や病弱者向けに特に開発した食品5品目がある。これらは,健常者にとっても食べやすく美味しい食品である。53品目中で商品化予定のものは,現在3品目である。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.34, pp.89-99, 2015-02

ジョージ・A・バーミンガムの演劇『ジョン・リーガン将軍』(1913)はロンドン、ニューヨークで上演された時大成功を収めた。しかし翌年、この作品の舞台とみなされているアイルランド西部の町ウェストポートで上演された時、「アイルランド人を侮辱した」と多くの観客から誤解され、暴動が起き劇は途中で中止に追い込まれ、20人以上の逮捕者が出るというアイルランド演劇史上最悪の事件となった。この作品を高く評価した作家に、後にノーベル文学賞を獲得し世界文学史上に永遠に名前をとどめているジョージ・バーナード・ショーがいる。バーミンガムもショーもアイルランドの生れであるが、もともと祖先はイギリスのプロテスタント教徒であった。『ジョン・リーガン将軍』とショーの『ジョン・ブルのもうひとつの島』(1904)はともにアイルランドとイギリスの関係を扱った演劇であり、アイルランドに対する彼らの複雑な感情と愛着が表現されている。本稿ではショーがバーミンガムに宛てた手紙とふたつの演劇の論考を通して『ジョン・リーガン将軍』の再評価を試みる。
著者
足立 圭司
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.36, pp.77-84, 2017-02

1997年介護保険法が制定され施行以降16年をへた。介護保険は高齢者介護の社会化を目指し社会保険方式をとり、民間介護サービスの導入を図りながら現在に至っている。制度が始まってサービス量の確保の問題や介護報酬の不正請求への対処の時期をへて増大する介護保険給付に対応すべく介護サービス量の抑制と介護給付対象者の絞り込みが始まっている。また介護保険への地域包括ケアシステムの導入により要介護者の地域生活のありようを変えようとする市町村による「総合事業」が開始されている。そして、財源論によるバイアスから地域包括ケアシステムを担う役割が公助・共助から自助・互助とへ動き出している。これらは、社会保障の分野が経済分野の一つと捉えられ「コスト削減」すべき領域として認識されている事から来る介護保険の持つ本質的問題である。今後、介護保険サービスに大きな影響を持つ地域包括ケアシステムのゆくえに注目する必要がある。
著者
岩本 貴光 神田 智浩 阿部 淳
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.34, pp.179-184, 2015-02

本稿は、筆者らが2014年8月12日から8月22日までの期間、「カナダ国バンクーバー市で剣道の普及・発展」を目的として、外国人(主にカナダ国バンクーバー市)が剣道を志す上での基礎的修練の在り方を実証的に明らかにしたものである。本派遣後の2015年5月に第16回世界剣道選手権大会が東京都の日本武道館にて開催されることが決定しており、本は見地のバンクーバー市からも代表選手を多数輩出していることから、剣道の競技力向上と普及活動は大切なものとして位置づけられていた。本事例では、カナダ国バンクーバー市を中心に、日本の伝統文化である剣道を正しく伝えるための活動を行った経緯を明示し、剣道のグローバル化に資する一資料として提示する。
著者
立松 洋子 衛藤 大青
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.177-186, 2012-02

平成20年度から23年度3月卒業した学生の調理実習達成度調査から年々上達している様子が見受けられるが、実際の調理実習では年々実技が低下しているように伺える。達成度の項目では、記憶する項目は達成度は高いが濃度や吸油率等の数学的化学的項目や相互関係が必要とされる項目については達成度が低い。また、各学年ごとの性格や学習態度により達成度が異なっているので、教師の指導方法や教育環境を整備し、調理実習にあたらなければならないと感じている。さらに、高い達成度をもつ学生についてはもっと高いレベルの実習をしなければならないと考える。
著者
池口 功晃
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.79-92, 2012-02

宿泊観光は日帰り観光に比べ、その消費額が大きいことから、観光入込客の増加を目的とした各地方自治体の観光施策は、宿泊観光に焦点を当てたものが多い。しかし、近年、国内の高速道路を中心とした交通インフラは一部の例外を除き、漸次整備されつつあり、その結果、日帰り観光需要は従来に比べ高まりつつある。そこで、本稿においては佐賀県嬉野市、武雄市、伊万里市の3都市を事例とし、GIS(MANDARA)及びGoogle Maps を用いて、それぞれの日帰り観光客誘致圏を導出し、その特徴を比較考察した。また、小売商圏の研究で用いられてきた修正ハフモデル(ハフモデル)を援用することで、これら3都市相互間の理論上の日帰り観光客誘致力を明らかにした。
著者
恒松 栖
出版者
別府大学
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-11, 2005-03-29

挿図あり